第99話〜関西人とおとんとおかんとヒロインと〜
「いやぁ…間近で見たらよりべっぴんな3人やわぁ…ほんまにぃ?ほんまに大樹の彼女さんなん?」
「は、はい。あーし…いえ、あたし達、大樹君の彼女でいさせてもらってます…」
「いやぁ!お父さん聞いた!?いさせてもろてますやって!謙虚やわぁ!若い頃のあたしみたいやわぁ!!」
「おかん」
「ほんまべっぴんで謙虚で言うことないわぁ…!」
「お母さんの若い頃にそっくりやなぁ…なにわのクレオパトラ言うてやなぁ、寄ってくる男をちぎっては投げちぎっては投げしとってん…そんで出会うたんがお父さんや」
「おとん」
「んまぁ男前でなぁ!もう一目惚れや!一目見て抱いてー!言うたんやで!」
「せやけど会うて1分も経てへん女の人抱くわけにもいかへんやろ?せやからそこから誠実なお付き合いしてやなぁ…付き合うて半年の記念日に初めてや。あの時のお母さんかわいかったんやでぇ?」
「話聞いてくれへんやろか」
「いややわぁ!恥ずかしい!もうそこからラブラブやぁ!そんで付き合って1年の記念日にうっかり避妊忘れてな?そんでできたんが大樹やねんわぁ」
「俺はうっかりで産まれる子供やったんかい」
「出来ちゃった結婚やったなぁ…敦子ちゃんのお父さん…大樹のお爺ちゃんに伝えたら俺、顔がトマトになるくらいどつかれてなぁ…それでも敦子さんをお嫁さんにくださいー言うて…」
「結婚認めへんねやったら縁切るー!言う啖呵切ったらお父さん折れてなぁ。それでええ式場拵えてもろてぇ…そらもう華やかやったで!」
「さよか。ところで話聞いてくれへんか?」
「生まれてきた大樹がほんっまかわいいて…うちらの宝物やねん…!それがちょっとやんちゃなことしてもうたけど今はなんか人が変わって…ねね、あなた名前は?」
「あ、秋谷 澪と申します…」
「澪ちゃんやね!いやぁ!かいらしいわぁこの子!いやどの子もかいらしいんやけどな?澪ちゃんどう?大樹がなんかひどいことしたりせえへん?」
「せやせや、ひどいことするんやったらおっちゃんが大樹怒ったるで正直に言い!」
「い、いえ…大樹君はとても誠実な人で…心の底から信用できます。怖くないですし、むしろとても優しくしてくれて…いつも感謝しています」
「お父さん聞いた!?いやぁ!大樹が誠実!ええこと澪ちゃんが言うたわぁ!」
「大樹、やるやないか!これならもうすぐにでも式あげてるな!どや!あべのハルカスで結婚式あげよか!」
「できひんやろ」
「お父さんあかんてぇ!あげるなら通天閣や!」
「せやな!そんでそこから難波までオープンカーでセレモニーや!パァッといくでぇ!」
「人の話を聞いてくれへんやろかなぁ」
この世界のおとんとおかんと面と向かって話すん初めてなんやけど、なにこれ、ここだけ新喜劇やないかい。3人とも空いた口が塞がらん状態なんやけど。黙らさなひたっすら喋っとるでこの2人。あかん、いまのでごっつい疲れた。
……
「改めて自己紹介してええか?」
「うっかり喋りすぎたなぁ母さん」
「こないな素敵な彼女たちおったらついつい喋りすぎてまうわぁ」
「ええから自己紹介して」
あかんまた喋り出すぞこの2人。仕切らなやばい。たぶん朝まで喋りおるぞ。
「あー、失礼しました。私、天王寺 悟(てんのうじ さとる)言いますぅ。一応大樹の父です」
「一応てなんやねん」
「うち、天王寺 敦子(てんのうじ あつこ)と申します…生まれも育ちも大阪は千里山でございます…以後よしなに…さぁさぁ!彼女さんたち紹介してえな大樹!」
「…あーうん…はい…まずこちらが夏目 詩奈ちゃん」
「は、初めまして!夏目 詩奈です!大樹君にはいつもお世話になっておりまして…」
「見た感じギャルやね!健康的なお腹がええわぁ!」
「おかん、セクハラや。まあ確かにギャルやけども」
「お母さんの若い頃のギャルとはちゃうなぁ…あれ履いたりせえへんの?ルーズソックスとか。アムラー!」
「古すぎるわ!!」
「あーしと大ちゃんは…」
俺はため息を吐きながらしーちゃんがどないして俺と付き合うたかって話を聞いとった。おとんなんか急に泣き出したで。
「詩奈ちゃん…いつでもうちらのことお父さんとお母さんって呼んでええんやで…」
「せやせや…!でもお母ちゃんとは和解できたんやろ…?いやぁ、よかったわぁ…」
「あ、あはは…」
「次ええか?この子が秋谷 澪ちゃんな。いつも弁当作ってもろてるねん」
「あらぁ家庭的な子やねぇ!大樹がお世話になっとりますぅ!」
「い、いえ!わたしもいつも大樹君にはお世話になっておりまして!」
「ご飯代ちゃんともろてる?もろてへんかったらお母さん怒ったるから言いや!」
「い、いえ!ちゃんともらってます!それにおいしいって言ってもらえて毎日幸せで!」
「お父さん聞いた!?大樹とおって幸せやって!いやぁ!ベタ惚れやないのぉ!」
「ええやんええやん!お父さんもお母さんに弁当作ってもろて毎日幸せやで!」
「お父さんあんた恥ずかしいわぁ!」
「いや惚けんでええから。で、この子が冬木 凛子さん」
「お義父さん、お義母さん。初めまして、冬木 凛子と申します。大樹君には本当にお世話になっております」
「冬木さんの!?いやいやいや!冬木さんご夫妻にはほんまにお世話になっておりまして!まさかそのご息女が大樹の彼女さんやったとは…あとでご挨拶にお伺いしよう思とりましてん!あ、これあとでお持ちさせていただきますぅ!白いバウム!おいしいんでっせ!」
「あ、いえ!そんなお気遣いなく!」
「あかんのよぉ凛子ちゃん。お世話になってるんやから…大樹が命張って凛子ちゃん守ったんやって?怪我とかはどないやったん?」
「はい!私は打撲だけで…それよりも大くんが大変なことになりまして…本当に申し訳ございません…」
「いや凛子が謝る必要ないて。悪いんは鶴橋やねんから。俺も大したことなかったわけやし。然るべき措置は克哉さんがやってくれる言うてはるし。お世話になってるんはこっちやで」
「でも…一歩間違えたら大くんが…」
「それを言うなら凛子もやん。お互い様やで」
「仲がええわぁ…見てて微笑ましいわぁ…ほんま3人と仲良うやってるんやね。ひどいことしてたらあんた、大阪湾に沈めたろか思ったけど」
「物騒やのう…3人とは仲良うやっとる。家事もやっとる。何も心配要らへんわ。彼女に暴言吐いたり手ぇあげるとか…そんなモラハラ、DVするんやったら付き合うてへんわ」
「ほ、本当なんです!大ちゃんはほんっとーに優しくて!あーしなんてママよりもいろいろ…たった3ヶ月くらいだけどいーっぱい心配してくれて…ご飯作ってくれたりとか!あ、お弁当とかも!」
「そうなんです。大くんには助けられてばかりで…」
「お弁当を作ることでせめてもの恩返しをしていまして…」
「あらぁ、みんなええ子ばっかりやわぁ…3人とも大樹と仲良うしてなぁ?あ、せやっ!POINE教えて!おばちゃんになんかしてほしいことあったら何でも言うてええからね!」
「いや教えんでええからなみんな。大変なことなるで。俺が窓口になるからええやろ」
「ほんまぁ?いややわ、お母さんかて若い女の子とお話しして若いエキスをもらわなあかんねんで?」
「まだおかんそない歳ちゃうやろ。エキス言うなエキス」
「おおっ、母さん、そろそろ冬木さんとこ行ってご挨拶して行かな飛行機時間やで!」
「えっ!?もうそんな時間!?いややわぁ!もうほんま邪魔したら悪いわぁ思て日帰りは強行策やったわ!」
「は?もう帰るんか?」
「夫婦水入らずで楽しんだ方がええやろ?これ、お金!みんなで何か食べ!ほな凛子ちゃん、ちょっとお家寄らせてもらうからね〜!大樹!あんたちゃんと詩奈ちゃん、澪ちゃん、凛子ちゃんと仲良うするんやで!泣かせたらお母さん怒るからな!」
「わかっとるわ、はよ帰れもう!」
「ほなな大樹!式には呼んでや!」
「数年後な」
「ほなまた会おなー!あ、大樹!お正月明けたらホタテ送るわ!今北海道のホタテはええでー!」
「はよ行け!」
こうしておかんとおとんは嵐のようにひとしきり喋るだけ喋って帰って行った。つ、疲れたわ…。
「晩ご飯、今度にしよか…しーちゃんはうちで今日食べるとして…」
「う、うん。さすがに今日は…」
「そう、よね…」
「大ちゃんのパパとママ…すごい…」
3人も何かグッタリしとるわ。そらせやわな…しばらく会いとうない…。
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