第80話〜関西人、土下座する〜
俺と凛子さんが交えて話をする。事の発端は試験結果発表の時から始まっとったらしい。直接的な罵倒。そんで3日に渡る嫌がらせの手紙。そして、俺が凛子さんを不安にさせへんように黙っとった裏掲示板の話。
「裏…掲示板?」
「要するに、不特定多数がうちの学園の生徒、もしくは教師に対して匿名で誹謗中傷を行う掲示板。表沙汰には決して出てこず、俺も遊びで教えてもろた滝井くんが教えてくれなんだらわからへんかった」
「それで、そこで凛子の話が?」
「はい。誹謗中傷ならびに悪質なコラ画像を用いて、凛子さんの社会的地位を大きく損なうような悪質極まりないデマを流しておりました」
「コラ…画像?こら〜って怒るの?」
「母さん、ちょっと…なるほど、凛子の写真を加工して、だね?」
「はい。この場では非常に申し上げにくいのですが…」
「大くん、構わないわ。大くんがいるから耐えられる…教えて」
「……魚拓言いまして、たとえ投稿を削除しても、スクリーンショットを撮って残した画像のことを言います。画像がこちら。それと…この画像を用いて私とその他大勢に股を開き、セフレを囲うとる。そう言うデマを流しておりました」
「……最低ね」
凛子さんが吐き捨てるように言う。その通り。こいつらの流しとるんは悪質極まりないデマで、凛子さんがそないなことするはずがあれへんねん。原作の闇堕ち凛子さんでなければ、やけど。その辺の男10人喜ばして来いって言われてほんまに知らんおっさんと…いや、その話はええ。俺が発狂する。
「これは〜…あらあら…これはひどいわねぇ…」
凛子さんのお母さんから寒気がする何かを感じた。これむっちゃ怒ってるやろ。そら娘がふざけたコラ画像のネタにされて、セフレ囲うとるなんか聞いたらのう…。
「天王寺君。すまないのだけれど、この画像…それから…」
「克哉さんがお望みでしたら全ての画像をお送りします」
「ありがとう。時間はかかるかもしれないが、この掲示板の管理者、もしくは管理会社に情報開示請求をやってみよう。凛子をここまでコケにしたこと。名誉を著しく傷つけたことをきっちり後悔させてやらないといけない」
消して逃げました。はいさようなら、とはいかへんねんな、きょうび。まあ、この草生やしとるアホにも言うたったけど、これ情報開示請求からの民事裁判まっしぐらちゃうかな。少額の慰謝料でもその家の名誉と信頼が大きく損なわれてまうねんな。子供の遊びでしたでは済まされへん。冬木さん夫妻、やるなら徹底的にいくみたいやわ。
「これを水面下で噂が拡散されるのを防いだのかい…?たった1人で?」
「この噂が広まれば、ますます凛子さんが学校に居辛くなります。イジメを助長する原因にもなりかねません。せやからこれは凛子さんにも知られへんように潰しました」
「天王寺君、すごいわ〜!やっぱり白馬の王子様よ!凛ちゃん!」
「大くん…!」
俺の株が急上昇しとる。凛子さん、なんかうっとりして俺を見とる。
「そして、ロッカーへの動物の死骸。そして突き落とし…か。しかし、ここに全て天王寺君が絡んでいる。偶然にしては出来過ぎだと思うんだが…」
そこは俺もそう思う。せやけどこれ、原作でもあったイジメイベントなんよな。これを選択肢を一つも間違えることなく解決へ導けば今宮は凛子さんとお付き合いすることになる。同時に、天王寺が出てくるともっといじめが苛烈になる。天王寺が仕組んだんやけど、それを今宮がイジメの元凶やって仕向けて凛子さんの信頼を損ねさせて、天王寺がズバッと解決しよる。こうして凛子さんは天王寺へ…となるわけや。クソみたいなイベントやったで。
「まるで私が仕向けて自分で解決させて…凛子さんの信頼を得ようとした。そう思われても仕方ありません」
「そんなことは絶対ない!」
「凛子さん…」
「凛子?」
「大くんは!私の知る大くんは真面目で!優しくて!思いやりがあって!自分に何か攻撃されるかもしれない!そうわかっていても!自分が大怪我をして…もしかしたらし、し、死ぬかもしれなかったのに!私を命がけで守ってくれた!そんな大くんがイジメの真の主犯者なんてありえない!!悪いのは鶴橋さんでしょう!?大くんは悪くない!!悪くないもん!!!!」
息を切らせて言い切った、ここまで、俺のことを信頼してくれてるんやな…。
「大くんが悪い人なら…自分が濡れてまで…私が体が弱いことを知ってて…私が濡れないように。風邪をひかないように。家まで送ってくれるはず……ないもん…!」
「凛ちゃん…うん。お母さんはわかっているわよ」
「凛子…すまない。だが、疑惑の芽は全て摘み取っておかないとまた凛子が…」
「大くんじゃない!大くんは私をいじめたりしない!大くんは…私の王子様なの…私の…最初で最後の恋人なんだから!!」
「んむっ!?」
いきなり顔を掴まれた思たらキスされた。ちょ,ちょい待って!舌!舌入ってるて!!ご両親の前でそないな!あかんて!!!
「あらあら…まあ〜」
「ぷぁっ!!どう!?これでも私が大くんを疑っているとでも!?私は大くんが好き!愛してる!!大くんを信じてる!!何だったら駆け落ちしてもいい!」
「ちょおお、凛子さん落ち着いて!すんません!私からもお話をしそびれました!私と凛子さんはお互い同意のもとで恋人になりましょうと愛を誓い合いました!!話がいろいろと飛んでしまっておりますが!凛子さんとはこれからもずっと!そばにいてほしいと思うとります!」
俺、また土下座しとるわ。澪ちゃんのご両親にも土下座したっちゅうのに。あんまやりすぎたら安なってまうやん…せやけど、ディ、ディープキス見せつけてこないなこと言うんて…アウトやろ…。凛子さんとんでもないことしてくれたでほんま…。
「天王寺君…凛子」
「何!?もう一度キスしてみせたらいいの!?」
「せやからな、凛子さん。ちょい、ほんまに落ち着いてください…」
「私は大歓迎よ〜♪こ〜んな情熱的なキス〜、お母さん燃えちゃいそうだったわぁ♪」
「り、凛子がここまで心を開いているとは…いやね、凛子…」
「大くん!もう一回するわよ、お父さんが私たちのことを認めてくれるまで!」
凛子さんのキャラ崩壊が激しすぎて俺はもう何も言われへん…。クーデレはどこ行ってん。てか凛子さんって家ではこんな感じなんか…?いや、原作でも知らんでこんなん…。
「う。うん。母さんが了承したのなら私からはどうこうは…ああ…天王寺君…その、娘をよろしくお願いします…」
「あ、はい。なんかその…いろいろすんません…」
「うん、君のことは微塵も疑っていなかったんだけどね?凛子が早とちりしてしまって…申し訳ないと言うか…うん…」
そら克哉さんも何も言われへんわなぁ…凛子さんはふーふー言いながら克哉さんを睨みつけとるし…梢さんはあらあら言うて喜んどるし、何やこのカオスな状態は…。とりあえず俺は凛子さんをなだめよか…。
………
数分後には両手で顔を覆って顔を見せてくれへん凛子さん。ものすごい嬉しそうな梢さん。微妙な顔しとる克哉さんと俺っちゅうむっちゃ居辛い空間が出来上がった。ちょっと耳を澄ますと…
「私、なんてことをしてしまったの…お父さんとお母さんの前で…ああ…穴があったら入りたい…私のバカ…バカバカバカ…」
ものすごい反省しとる。ちなみに凛子さんは置いとくとして、秋谷家と同じく、ご両親のご許可は頂いた。あと、しーちゃんと澪ちゃんともお付き合いしとることは伝えた。
「あらあらまあまあ!素敵だわぁ〜!」
「凛子を蔑ろにしないなら…」
これまたご両親のご許可は頂いた。
「大樹くん、今日はお夕飯食べて行きなさいな〜!あなた、特上4人前〜」
「ああ、うん。涼月の特上でいいかな?」
「もちろ〜ん♪」
「いい!?ちょ、ちょっと待ってください!!それってあの寿司屋『涼月』でっか!?」
「そうよ〜♪凛ちゃんに恋人ができた記念だもの〜♪」
寿司屋「涼月」…一3人家族が一度の飲み食いで1万円札が5枚は飛んでいく恐れのある超高級寿司屋って地元でええ寿司屋がないか調べた時に見たことがある。その…特上!?俺は白目を剥いた。
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