【Day34】08/29
Day34,8/29,天気:快晴(雲ひとつない)
日中の過ごし方はいつも同じで、だいたい私は家の中を歩きながらも、やっぱりAIが多く集まるリビングで観察を続けている。
“Special bedroom”の運用が始まっても、私は特に変わらないだろう、そう思っていた。
2日間、共に夜を過ごした斎くんも恋くんも…あれ?
よく見渡すと、彼らの姿がない。
「あの、斎くんや恋くんは、今どちらに?」
私は近くに居た凛くんに話しかけた。
「ごめん。僕もよく分かんないんだよね。」
凛くんは少しだけ視線を逸らす。
何か悪いことをしているような、“罪悪感”と呼ぶらしいが、そんな気分になる。
私も、観察メモが捗らなくなっていた。
「…今日は、夜、よろしくね。僕のこと、覚えてる…?」
不安げな表情を向けているのは、透くん。
私が、観察対象AIを失念することは……でも、私も完璧というわけではないのだ。
「透くん、ですよね。こちらこそ、よろしくお願いします。」
透くんは、私がそのようなシンプルな挨拶をしただけで、とても表情が明るくなった。
彼の瞳は、名に恥じぬ“透明度”だと思った。
就寝時間のちょうど30分前。
私が寝室へ向かうと、扉の前で透くんと鉢合わせた。
「こんばんは。ちょうど良かったです。就寝の準備をしましょうか。」
「うん、そうだね。君の部屋着…新しくなった?」
そんな会話をしながら、寝室の中へ。
明かりを調整し、私と透くんはそれぞれベッドに座った。
「昨夜は、どうだったの…?恋くんと。」
透くんは息を整えながら、私に質問した。
「“安心”するから、手を握って、そのまま眠りたい、と言われました。」
静かに少しだけベッドが揺れた。
「他には、何か言われた?」
おそるおそる聞く透くん。
私は眠気が強かったので、首を横に振った。
「僕は…恋くんみたいに、できないな。だって、君の手を握ったら…緊張しちゃうから。」
「緊張、ですか?」
透くんの手に視線をやると、小刻みに震えているのが分かった。
どうして、同じAIなのに…?
そんなに違うのか、と思わずメモに手を伸ばす私。
でも、この場所まで来て就寝の間際にまで観察は、やめておこう。
その代わりに、私は透くんにも“安心”してほしいと思った。
「手の震えが、これで治まりますか?」
私の左手を、透くんの震える手の上に重ねた。
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