【Day03】7/30
Day03.7/30. 天気:快晴(猛暑予報あり・危険)
本日の観察対象、“想(そう)くん”だと把握。
記番:03とする。
記録を“想くん集中型”へ変更。
1体にのみ接触を試みることとする。
「初めまして。僕の名は、想と申します。以後、お見知り置きを。」
彼の発言は、極めて難解。
着衣に寸分のズレは無し。
だが、なぜかYシャツの第1ボタンを開けている。
濃い黒の毛色が、彼の内心たる物を表すのか。
私は、初見の際、「こんにちは。私は、人間の女性です。宜しくお願いします。」と返答。
すると、彼は、数秒沈黙。
視線はずっと、こちらを捉える。
私の存在に、何かしらの“疑い”を持つ、と推測した。
「君は、なぜ、ここに?」
再度の問い。
私はその問いに、返答の必要性を感じない。
私が視線を外そうとすると、彼は私に数m接近。
脳に、警告音のようなものを感知。
「ねえ、なぜ、ここに居るの?」
三度目の問い。
私はとっさに「怖い。」と言った。
明確な理由は不明。
彼は、私のすぐ左隣のイスに着席。
再度、私の眼球を眺めている。
「怖がらせてしまって、ごめんね。僕は、君のことを“学びたい”だけなんだ。」と彼は言う。
謝罪の意図は明確だ。
しかし、“学びたいだけ”という発言と接近する因果関係は理解が追いつかない。
彼の声色は、なぜ重い、と認識させるのか。
明日の追加調査に再度修正が必要だ。
彼は、私の沈黙に少しの微笑を浮かべて、リビングの収納棚より白紙のA4コピー用紙1部、数種の蛍光ペン、1本の黒インクボールペンを持出。
行動が、全くと言えるほど“読めない”。
「少し、お絵描きでもしようか。」
彼はペンを右手に握った。
その行動及び発言は、意味を持つのか。
私には、やはり難解である。
白紙に何色もの蛍光色を塗り始めた彼。
右手の影で、デザインは視認しづらい。
数秒後、彼は私に、右手を経由した蛍光ペンを、私の右手へ移動させた。物理接触の方法で。
私はそのペンを持つため、力を強める。
それでも、ペンは私に移らなかった。
理由は、彼が手の力を加減したからだろう。
何故?本当に難解だ。
「…ねえ、教えて?君は、誰で、名は?僕は、その答えを耳にするまで、ペンを渡せない。」
言語能力値が、基準値を遥かに超えている。
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