第1巻

プロローグ 1940年

――1940年、とある桜の木のそばで


「こんなのおかしいよ! なんでジュンナが一人で犠牲にならなきゃいけないの!?」


「良いんです。私の身一つで多くの人の命が助かるのであれば……。これが私の役目なのでしょう」


「あの精霊術師たちの罠だって! ジュンナに精霊術では勝てないからって、こんな……。嫌だよ……。もう会えないなんて……」


「泣かないでください……。封印なので、きっと死ぬわけではありません。あの桜の木の中で、少し長い眠りにつくだけです」


「会えなくなるのに変わりはないよ……」


「……そろそろ時間ですね……。最後に、お礼を言わせてください……」


「待って! ジュンナ、私……!」


「貴女は、私の大切な人です。共に戦えて、隣にいてくれて、私は本当に幸せでした。ありがとうございます……」


「私……ジュンナに伝えてないことが……」


「さようなら、――夜雲やぐもさん」


――そして、時は2025年へ

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