恋愛って、なんだろうね
ねね
壊したものはなに?
私が蓮に出会ったのは小学校3年生のときだった。同じクラスになった、それだけだった。
蓮はいつも自由奔放でやんちゃだった。でも、たまに見せる儚げな笑顔が不思議な、そんな男の子だった。顔立ちは普通で、女の子たちにきゃあきゃあ騒がれるような、そんな子じゃなかった。
不思議といつも席が近くて、そのたびに目配せして笑いあった。
蓮の見せる悪戯っぽくてどこか憎めない笑顔が、小学生の私には眩しかった。その眩しさが恋心に変わるのに、時間はかからなかった。
私が牛乳を飲もうとするたびに笑わせようとしてきたり、カーテンをからだに巻きつけてはほどいてを繰り返して笑いかけてきたり。そんなお茶目なところが好きだった。
……でも、その幸せを私が壊してしまった。些細なことだった。
5年生になってしばらくしたときだった。蓮から、好きな人に告白したいけれどどうすればいいのかわからないと言われたとき、私は自分が大切に胸にしまいこんで育てあげた想いが崩れ去ってゆくのを悟った。
こぼれ落ちる涙を隠したくて、背を向けた。
心配して蓮が伸ばしてきた手を、やり場のない怒りに任せて振りはらった。
困惑する蓮に、「もう門限なの、ばいばい」と言い、家へ走った。
そして私は、罪を犯した。
女子だけの学年LINEで、蓮の好きなひとをバラした。
蓮は私に軽蔑の目を向け、二度と笑いかけなかった。
私は、初めての恋を自分の手で壊して葬り去った。
きっと私は、蓮にこっちを向いて欲しかったのだ。でも、想い人がこちらを向くことは無くなってしまった。いいや、こちらを向きたくなくなるようにしてしまった。
残る後悔と、抱いた想いの残滓に弄ばれながら生きる私の姿はさぞ滑稽だろう。でも、私はそれでいい。その滑稽さを笑い、こちらにまた笑顔を向けてくれるかもしれないからだ。
ああ、哀れ。
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