第4話 青空の下の町
ミーンミーンミーン…ジジジッ…
今日も朝からうるさく蝉の声が聞こえる。でもなぜかいつもよりうるさくはない。都会は人の声や車の音、蝉の声が混じっているが、田舎は蝉の声や風で揺られた木、風鈴の音が聞こえるため、いつもよりはうるさくないと感じてしまう。
「ああ、朝だ…朝が来てしまった…」
そんな一言で始まる私の1日。
いつも通りその言葉を言った
…はずだった。
「わぁ、おねーちゃん!おはよう!」
私の隣で寝ていた幼い子が私にそう言った。
「あ、おはよう。ユウト。」
昨日の夜、私は叔父と叔母の家でユウトに会った。ユウトは私のことを知っていて「おねーちゃん」と呼ぶが、私はユウトを知らなかった。
「おねーちゃん、今日晴れてるよ!一緒に遊べるね!」
ユウトは縁側に出て、空を覗いている。涼しい風が吹いて、金魚柄の風鈴が揺れる。
「え…私も…?」
「そう!」
「えぇぇ〜〜」
いつもとは違う、朝の楽しい話し声。田舎の蝉の声。涼しい朝風が流れる。
今日はどんな日になるんだろう
「よぉし!今日はあの山に登ろうー!」
そうユウトは小川を超えたところにある山を指した。
「えっ、えぇぇー!?」
____________
「な、なぜ…私は、山を登っているんだぁ?!」
気づくと私は、ユウトと山に登っていた。そこはまだ頂上には遠い場所でユウトが手を繋ぎながら歩いていた。ユウトの背中には、青色のリュックで、赤色のボタンが付いていた。
それに私は、登山用の靴を履いていて、登山用の服を着ていて、そしてユウトと同じリュックを背負っている。
「なんで私まで……」
そんなことを呟いていると、ユウトがこちらを振り向き
「おねーちゃんが行くって言ったんだよー!僕何回も聞いたのに、行くっていうからさぁ」
「え?そんなこと私言ったっけ?」
「おねーちゃんの願いだから、しょうがなく着いてきてあげたのに、その態度は酷くない〜?」
ん??ちょっと待てよ…私の記憶にない言葉だ。
「ほ、ほんとに、それ私言った?」
自分自身怖くなってそうユウトにたずねると、
「…あはっ、あはははっ」
そのとき、ユウトの声が山の頂上まで聞こえたのではないかと思うくらい、明るくて楽しそうな声で笑っていた。
「あははっ、おねーちゃん騙され上手だね」
「ぇ?…ということは…」
「そう!ボクに騙されてたってこと!」
だ……
「騙したなぁー!」
私の声と心の声が同じくらい大きく、森に広がって行った。
「ぷぷぷー笑、騙されたのはおねーちゃんでしょー!僕悪くないもーん!」
「はぁ??なんでよー!」
……………………………………
そんな会話をしながら頂上に着くと、私たちの目の前には青い空に照らされた町が映し出された。
私は言葉が出なかった。昔からこの町にはよく遊びに行っていたけど、こんなところがあるなんて驚きだった。
「今日も綺麗だな〜」
私より先に言葉を発したのはユウトだった。ユウトは見慣れている様子でそう言った。『今日は』じゃなくて、『今日も』なんだ。よく来るのかなっと私は疑問に思ったので、聞いてみることにした。
「ユウトは毎日来てるの?」
「ん?毎日ではないけど、よく来るんだよ。ここは風が気持ちいいし、朝から太陽の光に当たれるし」
「そうなんだね、お気に入りの場所?」
「うーん、そうだね、お気に入りの場所。『昔に』友達とよく遊んだの」
「ふーん、思い出があるのね」
この会話が終わったあとも、私たちは15分くらい光景を眺めていた。
「そろそろ、山降りよう!ももが待ってる!」
「えぇ?ちょっとだけ休憩しない?」
「もぉ!早く行くよお!」
もう少しだけ見たかった私の手を引いて、ユウトは微笑みつつ山を下山していく。
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