魔道具屋のかわいい年下銀髪美少女に、一日店員として付き合う話
汐海有真(白木犀)
Chapter.1 お買い物と一日店員
//SE 主人公が魔道具屋のドアを開き、ドアベルが鳴る音
//SE ドアが閉まる音
//SE ルルテアナが主人公の方へと走り寄ってくる音
「後輩さんじゃないですか……! 魔道具屋ミルスィーネに、ようこそいらっしゃいませ」
「……はい、そうですよ。今日はわたしが、ひとりで店番をしているんです!」
//悲しそうに
「というのも、お父さんが昨日、魔物に襲われて怪我しちゃいまして……」
「あ、全然、命に別状とかはないですよ! ただ、大事を取って、明日まで入院期間なんです」
「という訳で、お父さんに代わって、今日はわたしがこのお店の店長さんという訳です」
//得意げに
「ふふ、どうですか後輩さん? 頑張る先輩の姿、とってもかっこいいでしょう?」
「……え? そもそもわたしのことを、先輩だと思ってない?」
「むう、何度言えばわかってくれるんですか! 後輩さんが冒険者としてこの町に来たのは半年前で、わたしは赤ちゃんの頃からこの町にいます。どう考えてもわたしは、『この町』基準で君の先輩という訳なんです!」
「……年齢で言えば、わたしの方が後輩?」
「い、一歳しか変わらないじゃないですか! たった一年で先輩ぶろうだなんて、笑止千万! 後輩さんは大人しく、わたしの後輩さんでいてください!」
//小声で
「だってわたし、小さい頃しか学校に行かなかったから、ちゃんとした後輩ができた記憶がないんですもん……」
「な、何でもないですっ! とにかく、後輩さんは後輩さんですから。先輩の言葉には、ちゃんと従わないとだめですからね?」
「はっ、そういえば! ここに来たということは、何か買いに来たんですか?」
「……ああ、何となく立ち寄っただけなんですね。なるほど、なるほど」
「そうしたら、わたしが後輩さんに素敵な新商品を二つご紹介してあげましょう! なんとどちらも、本日から発売なんです」
「まずは、こっちの棚ですね……」
//SE ふたりが店内を歩く音
(少しして、足を止める)
「これです、これ! 虹色に光る砂を使用した砂時計です。視覚的にも綺麗ですし――」
(ルルテアナが砂時計をひっくり返す)
//SE 砂時計の砂がサラサラと零れ落ちる音
「ほら、こうして砂の落ちていく音を聞くと、何だか優しい気持ちになりませんか?」
「……ね、そうでしょう? 時間を数えたいときだけでなく、リラックスしたいときにもおすすめなんです!」
「それから、あっちの棚に……」
//SE ふたりが店内を歩く音
(少しして、足を止める)
「こんなのもあります! 疲労回復の魔法が込められたキャンディがいっぱい入ってるんです。味が五種類あって――」
(ルルテアナがキャンディの箱を人さし指で優しくトントンとつついていく)
//SE キャンディの箱がつつかれる音
「木苺、林檎、葡萄、檸檬、蜜柑……どれも、すごく美味しいんですよ」
「この二つが、素敵な新商品です。どうですか、後輩さん。なかなかセンスいいでしょう、うちのお店?」
//驚きと喜びが合わさった感じで
「……え? 二つとも、買っていくんですか!?」
「ふふ、ありがとうございます。お父さんが帰ってきたら、自慢しちゃおうと思います。新商品が早速売れたって!」
「そうしたら、お会計しちゃいましょうか」
//SE ふたりが店内を歩く音
(少しして、足を止める)
「二つ合わせて……五十ルーンになります!」
//SE 主人公が十ルーン硬貨五枚を受け皿に乗せる音
「……ぴったり、ですね。お買い上げありがとうございます、後輩さん!」
//SE ルルテアナが砂時計とキャンディの箱を小さな紙袋に入れ、主人公に手渡す音
//SE 主人公が鞄に小さな紙袋を仕舞う音
「ところで後輩さんは、この後ご予定とかあるんですか?」
「……なるほど。ギルドに行って依頼を受けて、強力な魔物を討伐する予定、ですか……」
//少しばかり掠れた声で
「……あの」
「ええと、ですね。先程話した事情の通り、このお店は敏腕な店長さんことお父さんが本日不在で、とっても人手不足という訳です」
//かっこいい声を意識して
「そこで、です! 後輩さんを、本日限りの『一日店員さん』に任命しようと思います!」
「ちなみに、後輩さんに拒否権はありません。何故ならわたしは、先輩だからです。後輩は先輩の言うことを聞くものだと、古くから定まっています!」
「……古い価値観!? む、むう、そんなこと言わないでください!」
「え? 一日店員さんに、なってくれるんですか……!?」
//とても嬉しそうに
「やったあ!」
「……こ、こほん。冷静さを一瞬失ってしまいました。記憶からすぐに消しておいてください」
「それじゃあ、よろしくお願いしますね、後輩さん」
「そうしたら、まずは、一緒に素材の採集に行きましょうか!」
「……? 不思議そうな顔して、どうかしたんですか? あ、行く場所にいる魔物は、か弱いスライムさんだけなので安心してくださいね!」
「……違う? ふたりでお店を空けたら、誰もお店にいなくなっちゃう……?」
「だ、大丈夫です。『クローズ』の札をかけておけばいいんです!」
//小声で
「だって、後輩さんをお出掛けに誘えるチャンスを、みすみす見逃す訳にはいかないですし……!」
「いえいえ、何でもないですよ! さあさあ、善は急げです! しっかり戸締まりして、早速お外に向かいましょう!」
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