第2話転生
「おい、聞こえるか。おい、君。おい、聞こえるか。おい」
「……うん。ここは… あなたは……」
そこにはただ暗闇の中に光の粒子があった。まばゆく、そしてどこか懐かしい。
「私かい? 私は神様だよ。これまた…ずいぶん不本意な最後だったようだね」
辺りを見渡しても一面の闇。静寂の中にただ光の粒子と、神様の声が響く。
あーそうか。僕は溺れて亡くなったのか…
「あの子猫は?」
そう聞くと
「あの子猫ちゃんね。あのあと、木の枝につかまって、だいじょうぶだったよ」
と神様は言った。
「それはよかった。あれ?僕が助けようとした意味なかったのでは?」
「いや……
厳密には間違っては、いないよ。
ただ助けるのが子猫じゃないだけだよ。
まぁじゃあ、そのノリでまた頑張ってよ」
と神様。
「でも……
もう僕」
「うーんとね君は……
転生するんだよ。
これから乱暴者の教師としてね」
「転生?乱暴者の教師?」
「あっ。そうだ。
君の身体の持ち主、
性格がキツメだから……
まっ、がんばって。
言っとくけど設定変更とかできないからな……
じゃ」
とそれだけ言って光は消えた。
◆ ◆ ◆
気が付くと、僕は知らないベッドに横たわっていた。
雰囲気からして、中世ヨーロッパっぽい。どうやら転生は本当にしたらしい。
ズキン……
頭が痛い。記憶が、流れ込んでくる。
これは依り代だったゼロという人物の記憶だ。
胃の底が捻じ切れるような吐き気。自分の中で、誰かの「怒り」や「悲しみ」や「絶望」が脈打っている。
あれ、頭に言葉が流れ込んでくる。
「お前が俺の身体を使う奴か?」
「あっ、そうみたいです。
なんかすみません」
「いや、謝る必要はない。
そういう運命だからな。
でも頼みがあるんだ」
「何ですか?」
「子供達を導いてくれ。
本当は俺がやりたいが、こうなってしまっては仕方がない」
「いや……
でも私は気が弱くって、
存在感が薄い先生って言われているのです」
「あ?それは笑えない冗談だな。
気合いでなんとかしろ」
「いやゼロさんのように、
強気な性格なら良いのですが、こればっかりはどうしようもなくって」
「じゃあ、俺の性格とかを一部引き継ぐか?」
「そんなことできるのですか?」
「俺が聞いたところによると、
基本的に引き継ぐのは身体や知識、立場や金。
性格は身体や体力や経験、知識と立場によって変わってくるから、
お前が俺の性格を受け入れさえすれば、多分引き継げるぞ」
「なるほど、私でもたしかにゼロさんのような体力とか経験があれば、自信満々で立ちふるまえるかもしれないね」
「そうだな」
「特に殴り合いの喧嘩をした経験は強いぞ」
「ちょっと怖いですね……」
「まぁな、でも慣れだぞ。
殴ったって、あんまり人生変わらないから」
「いや私の国では殴ったら傷害罪とかになりますから、人生変わりますって」
「でも今は俺の世界に来たわけだから、心配いらねぇだろ」
「たしかにそうですね」
「あと…お前の中に俺の知識は入ったよな」
「入りました」
「国の状況はわかるか」
「はい。貧しい国のようですね」
「そうだ。俺はこの国をどうにかしたい」
「僕のような教師にどうしろというのですか?」
「教育で国を変えてくれ」
「教育で……
いや無理でしょ」
「無理じゃないはずだ」
「なぜそう言い切れるのですか?」
「俺が教育で変わったからだ」
「ゼロさんも……」
「お前もか……」
「僕はホームレスのおじさんに勉強方法を教わって……
ずっと落ちこぼれだったのですが、それで学校でも上のほうに
行けて」
「俺も似たようなものだよ。
昔スラムに王宮から追放された男がやってきたんだ。
そいつは貴族育ちでスラムでの生き方を知らないから、
俺が教えた。
その代わりに勉強を教わった」
「お互いに似た境遇なのですね」
「そうだな」
「わかりました。
やるだけはやってみます。
でも策はあるのですか」
「ねぇよ。
俺もずっと考えている」
「じゃあ、ちょっとずつ考えていきましょう」
「あぁ頼むぜ!相棒」
「はい」
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