第2話「異界の吸血鬼は星を見上げた。」

現在二人は落下中。


「アハハハハハ!!!」


「うぉぉぉぉぉぉ!?!?」


雲を抜けると二人の服装が変わる。

シオンは暗い深海のような深い青を基調としたドレスに星のヘアピンを付け、背には蝙蝠の羽がバサッと生えている。


一方ユウガは黒のスーツ姿に身を包み。首にはシオンのドレスと同じ青さを持つネクタイを付けている。


「気持ちいぃぃ!!」


「どーこーがーだー!!」


二人の叫び声が夜空へと響き渡る。マップはおそらく現代の東京をモチーフにした街。夜というのに、町並みは明るくまぶしい。

シオンとユウガの落下スピードは遅くなり、降り立つようにビルの屋上に降り立つ。


「まさか、乱戦上がこんな風に参加する形とはなぁ?」


同意を求めるシオンにユウガの顔文字が(@_@)にであり、その場でぐったりしている。


「うぇぇ.....気持ち悪い。酔いが回った。死にそう死にそう」


「軽口をいえるなら大丈夫だろ」


「鬼畜か?」


ユウガはそう言いながらもその場で立ち上がり武器を取り出す。レイピアとハンマーだ。

シオンはそれを見て目を見開き「アハッ!」と笑うと、その場で槍旗を突き立てる。すると二人の背後が歪み、青い夜空とそれを映し出す、地平線の彼方まで広がる水面の空間が現れ、徐々に広がる。まるで浸食するように、上書きするように。


二人は肩を合わせ、視線を合わせる。


「さて、まいりましょうか。お嬢様」


「えぇ、行きましょうか。私の忠実な執事」


そう言ってユウガは地面に飛び降りる。シオンはそれを見下ろすように見送ると視線を町に移す。


「さて、この世界を私のものにしてあげるわ」


そう宣言した瞬間、隣ビルの屋上にキラッと何かが月光の反射で光るのを横目で確認すると手の平をそっちに向けて、魔法を放った。


-------


その人物は隣に降り立った女性の頭にスナイパーライフルを向けて引き金を引こうとした。その瞬間耳先が切れて血のエフェクトが飛び散る。


「え....ぁ...?」


次に見たのは血のエフェクトが小さなナイフの形をとり自分の首に突き刺さったこと。痛みはない、しかし予想外の現象に体が動かず。そのまま地面に頭をつけ体が光の粒子となる


-------


「まずは一人ね。」


シオンは広がり続ける空間の中心にある。王座に上品に座り、槍旗を片手で持ちながら。頬に手を当てる、まるで魔王のように。


「さて、楽しませてね。原住民?」


その言葉に答えるかのように、二人のプレイヤーが壁を走ってやってくる。


「「楽しませ...」」

一人が突撃二人目がその背後で魔法を発動しようとするが、一人目は次の瞬間、槍旗の先端で心臓を貫かれ。その光景に困惑した二人目は魔法を放つが。慌てていたため。シオンの腕にかすっただけであった。

そして夜空の星が光ったと思うと、二人目は光の矢で何者かに頭を撃ち抜かれて光の粒子に代わる。種明かしをするがシオンの今回持つ異能は血液操作、星座顕現、異界侵略の三つ。

今も背には広がり続ける異界の空間。明るい夜空。そして地面には、赤い液体が広がっていた。彼女は笑う狂気的に、懇願するように。楽しませてくれと、自分に立ち向かって来いと言わんばかりに。

目を見開き、深い深い紫の瞳が怪しく光る。その姿はまるで、現代を侵略してきた別世界の魔王のようにも見えた。


「ニヒッ♪楽しませて、原住民♪」


シオンが立つていたビルはいつの間にか異界に浸食されその場で消えると。何かがせりあがってこようとしていた。

その様子を見ていたプレイヤー達は笑った、だってあそこには強い獲物プレイヤーがいるのだから。


「以外とっ。多いい。わねっ」


少しして、せりあがっている城の屋根の上。360度、囲まれている状態でシオンは戦っていた。

腕、足、顔そのすべてを的確に調節し、別々の攻撃をほかのプレイヤーに当たるように誘導しながら戦う。

前と左から魔法が接近する。突き刺した旗槍を引っこ前から迫る火の玉をはじき、揺れる旗で自分を少し隠すことで、右の相手には自分の動きが見えないようにすることができる。そして、腕を少し上げて左からくるチェーンの魔法を回避し、旗槍を突くことで右と前の敵を排除。


血しぶきが上がると異能でナイフに変えて後ろに発射。


「多すぎる!!」


旗槍一つじゃ流石に対処に送れるため、シオンは追加の武器をだす。それを見たプレイヤーは動きを一瞬止めてしまいその隙に薙ぎ払われてしまう。

シオンが出した武器は水色の水筒。たしかに、物理攻撃力はまぁまぁある方だしかしなぜこれを選んだのか?答えは簡単だ、リアルでもある意味使い慣れていて、意外性でほかのプレイヤーの動きが止まるから。


振り回すだけで「ゴンッ」と鈍い音が鳴り。血を流し光の粒子のなり消えてゆくプレイヤー。しかし、一向に減る様子はない。そのためシオンは星座顕現の異能を使う。選択したのは双子座、背を合わせるようにもう一人のシオンは。本物のシオンを真似するように自動的に動く。


「貴方達の運命は死だけよ?」


キラッと両方のシオンの目が怪しく光ると、空から、魔法の光のレイピアが降り注ぐ。地面からは血液操作でレイピアの剣先が再現されプレイヤーを次々と倒していく。その光景は旗から見たら美しく、まじかで見るなら地獄であろう。

一つ言っておくと、これは決してこれは必殺技などではなく。彼女のレベルぐらいになるとできる技であった。

一気にプレイヤー達は倒され、いなくなる。しかし終わりはない、次ぎ次ぎと復活したプレイヤーが再び向かっているからだ、その証拠に1分もたつ前にまた囲まれる。

もう一人の自分は時間切れで消えてしまうが旗槍を構えると。舞う上から槍が突き刺さり、プレイヤーが一人倒される。


「遅いじゃない」


スタッと着地したユウガに文句を言いながらも、ユウガに向かっていたプレイヤーに向けて旗槍で迎撃する。


「お嬢様が大丈夫そうなので」


ユウガもシオンに接近していたプレイヤーを。シオンが突き刺したタイミングと同じタイミングで突き刺す。

そしてお互い背を当てると、ユウガの顔文字が( ー‘дー´)になる。


「行きましょうお嬢様」


「えぇ。侵略。本格的に開始よ」


シオンの旗槍をお互いガシッとつかむと、必殺技発動の宣言をした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る