自責の念

当然ながら、引っ越してきた東北の土地に知り合いはおらず、近所の顔なじみ等もゼロだ。この状況になると流石に人恋しくなるもので、そもそも僕は東京の雑踏に慣れてしまっていたが故、街の静けさ

そのものに「生きづらさ」を感じ始めてしまう。


そうもなると兄弟仲が必然的に良化。数日しか経っていないとはいえ、今までの遅れを取り返すかのように、ケイと僕との心的距離は「グッ」と近づいた。一人っ子として育った僕にとって、ある意味でこれも青天の霹靂である。


一つだけ心残りがあるならば、「生きるために少しココを離れたい」と、育ての親である大槻の両親に伝えて「置いてきた」事だろうか。平穏を求める代償として、それ以上でもそれ以下でもない言い回しだけを「実家のリビング」に残して。


一段と北の寒さが身に沁みてきた1月下旬。僕は自らのメンタルに不調を感じ始めていた。当初は慣れない冷え込みによって、活性が落ちただけだと思っていたし、みるみるうちに朝起きれなくなったのも、転入した通信制の高校には登校する義務がないからだと、高をくくっていた。


それに伴い急増していたケイとの会話も、ジェットコースターのような下振れにより、ほぼゼロに近くなってしまった。


ケイはもう成人済みの、れっきとした大人である。新しいコミュニティに入っていくという事を、彼は少なからず経験して来ている筈だ。極論を言えば生きた年数等も含めて、少なくとも僕よりは環境の変化に対応する能力を持ち合わせていると思う。


そんなことに劣等感など感じなくて良いはずなのに、何だか自分が急に情けなくなった。育ての両親に対しても「僕が悪いんだ」「自分のせいで」と、気が付けば何でもかんでも自分を責める思考が、どんどん当たり前になっていった。


「このままでは、本格的におかしくなる…」と、収入が欲しいという理由ではなく、外との関わりを持つためだけに、とにかくアルバイトをしようと思い始めた矢先。


僕の心のキャパシティが限界を迎え、涙のダムが所構わず突然決壊した。

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