入学式

 科学の発展により次第に皆の興味が失われていったもの、否、あるいはその力故に意図的に封印されたもの。


 しかしそれでもそれらを受け継ぐ者が確かにいて、それらが少しだけ残っている世界。



 ルナ王国ファリアス市、2人の青年が歩いている。

 向かう先は今日入学式が行われる魔法学園である。


「魔法学園か、どんな魔法が学べるんだろうな」


「それより気になるのがあの志願書に本当の事を書いて大丈夫だったのかってことだよ」


 一人は赤髪の青年グレン・コディア、もう一人は青髪の青年レイ・ビレモス。二人は兄弟のように育ってきた。


か、まあ入学出来てるんだから大丈夫だろ」


「だと良いんだけどね」


 そんな会話をしている内に学園に到着した。

 2人は体育館に行き、どこに座っても良いとの事だったので適当な席に座る。


「30人くらいか」


「まあ、今時魔法なんて学んだって仕方ないって思う人は多いからね」


「まさかここにいる全員が復讐で入学したんじゃないだろうな」


「どうなんだろうね、ただここに来る人間は僕たちみたいなのかよほどの変わり者くらいだろうね」


 ステージ横のカーテンから入学生の様子を見ていた者がいた。

 この学園の教頭である。


 教頭は裏からステージを降り、横の扉から渡り廊下を通り教師に話しかける。


「見つかりましたか?」


 話しかけられた教師、ブラウン・レイキットは答える。


「いえまだ、これ以上引き延ばすのもあれですし、始めた方が良いのでは?」


「しかし、いえそうするしかありませんか……」


「ひとまず私は一度職員室に戻ります」


「頼みました」

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