3. 新感覚寿司屋

駅のガード下、夜だけ開く寿司屋。カウンター席のみで、店主の姿はのれんの奥に隠れている。見えるのは、皿を差し出す両手だけ。新しいタイプの寿司屋らしい。


寿司は絶品だった。受け答えも丁寧で、常連らしき客との会話も自然だった。「今日はカンパチがいいですよ」──顔は見えないが、気さくな感じの店主だった。


ある夜、手渡された湯呑みが傾き、思わずこちらから手を伸ばして店主の指に触れた。


まるでゴムのような質感で、体温がなかった。


「……今日はカンパチが 今日は かん……パチが ……いいで……で……す……」


声が壊れたスピーカーのように歪み、繰り返される。


恐怖を感じて会計を済ませようと入り口の方を見たとき、ある注意書きが目に入った。


≪店主に触れないでください 故障の原因になります≫

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