3. 新感覚寿司屋
駅のガード下、夜だけ開く寿司屋。カウンター席のみで、店主の姿はのれんの奥に隠れている。見えるのは、皿を差し出す両手だけ。新しいタイプの寿司屋らしい。
寿司は絶品だった。受け答えも丁寧で、常連らしき客との会話も自然だった。「今日はカンパチがいいですよ」──顔は見えないが、気さくな感じの店主だった。
ある夜、手渡された湯呑みが傾き、思わずこちらから手を伸ばして店主の指に触れた。
まるでゴムのような質感で、体温がなかった。
「……今日はカンパチが 今日は かん……パチが ……いいで……で……す……」
声が壊れたスピーカーのように歪み、繰り返される。
恐怖を感じて会計を済ませようと入り口の方を見たとき、ある注意書きが目に入った。
≪店主に触れないでください 故障の原因になります≫
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます