第14話 話し合い
赤い髪の男の雰囲気が柔らかくなると
「そういえば名乗っていなかったな。私はバナード・アラスター。バナードと呼んでくれ」
友好的に接してきた
「私はレティシア。この子がオリアナよ。よろしく」
「俺はカルトンだ!」
「私はエメリーです。よろしくお願いします」
最後の女性だけペコりと頭を下げた
(私の名はノア。この子がエスメリアだ)
私はエスメリアのことも名乗っておく。
エスメリアは念話が使えないので私が伝える
いつか使えるようになるのか、喋れるようにでもなるのだろうか
エスメリアは私の翼に包まれてご機嫌だ
ニコニコして静かにしていた
「貴殿、いやノアと呼んでもいいだろうか?」
(構わない)
「ここはノアの縄張りなのか?」
(縄張り?ここを住処にしているに過ぎない)
私は縄張りを主張したことなどない
「少しいいかしら?」
バナードと話しているとレティシアが入ってきた
(なんだ?)
「貴方はグリフォンなのかしら?」
ステータスにグリフォンとあったのでグリフォンなのだろう、変異種となっているが
(そうだ)
レティシアが少し考えると
「本当に?確かに形は同じ、だけど色合いが違いすぎる。それに魔力の量もおかしい。貴方はその力で街を、人を襲うのかしら?」
(私が?そんな無意味なことをしてなんになるのだ。こちらに危害がなければ私は何もしない)
心の中で、ただエスメリアを守り、育て、穏やかに暮らしていければそれでいいと思った
「なら今、炎王と呼ばれるこの森の主が暴れている。それはノア、貴殿にも危険があるのでは?」
バナードはノアを戦力として期待し、そう質問した
確かにこちら側に近づいてきている。だが仮に炎王を討伐しよう
森の主などと呼ばれている魔物を討伐してしまえば森の中は荒れてしまうのではないか、
討伐したらひとまず危険は避けられるが、今後のことを考えると悩んでしまう。
それにエスメリアを住処に置いておくことも、戦いの場に連れていくのもまだ早いと思う
「貴殿は何を悩む。それだけの力があるのなら森の主となることも可能なんだぞ?」
さらに畳み掛けるバナード
(なぜ私が森の主などにならなければならないのか。それに力、恐怖による支配など私は望んでいない)
バナードは黙り思考していく。
どうにかこの魔物、ノアを戦力として連れていく方法を
「その子に、エスメリアちゃんに近づいてもいいかしら?」
期待するような目で私を見つめるレティシア
私はエスメリアに目を向けると
「クキュウ?」
私を見上げ首を傾げるとニコニコしていた
エスメリアの表情に私の心が癒される
念話でエスメリアに聞くと「クキュウ!」と鳴いた、
いいと言うことなんだろう。
(構わない)
するとゆっくりとレティシアとオリアナが近付いてきた
エスメリアは初めて見る人と精霊に興味津々だった
私の住処へと足を踏み入れるレティシアたち
蒼雷が走ることはなかった
私はそっと翼を広げてエスメリアが出入りできるだけの隙間をつくった
エスメリアは少し私の翼に身を隠すとジッとレティシアを見つめた
レティシアはしゃがみこんでエスメリアと目線を合わせるとニコニコとして待っていた
ーーー
あとがき
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