13.ソリチュード①


「つめたっ、あ、雨?」


頭に伝った感覚は、ひんやりとしたものだった。

反射的に手を頭に当てた。


水だった。


ただの水が、雨粒となって私の頭上へ落ちた。


「さっきまで快晴だったのに...突然だね」


「ほんとに」


ゲリラ的に降るもの。

そう考えても、何かと答えがつかない。

さっきまで空は青色だった。空色、という名前に恥じないほど。


だが、空を見れば灰色の雲が空を覆っていた。

突然。まるでそれは"出現"したかのようだった。


「なんだかついてないねぇ、雨宿りする?」


「...雨は好きだよ」


「あそなの?以外。でも私もだよ。たまにはありかも」


雨は好きだ。

誰かが私を見てくれるから。


「風邪とかになるのはあんまりだけど、たまには」


「お客様方?」


アーデルヘイトは言葉を続けようとした。

だが、私と彼女の間に入ってきた、一人の人間によってそれは遮られた。

目の前に見える景色は、アーデルヘイトと後ろに存在する風景。

そして

それら全ての手前にある、一つの腕。

白衣のようなものがブカブカで、確認からか手を振っていた。


「...なんでそんな固まってるんです?そんな不思議なことですかね」


その声は妙に落ち着いていた。

私は視線を下に落とす。それに共鳴しているように、アーデルヘイトも視線を落とした。


「...子供?」


「は?!」


私がそういうと、彼女はそう叫んだ。

視線の先には、子供のような身長に、だぼだぼの白衣を着た少女が一人。髪と瞳はモルディブの海のように綺麗だった。


「馬鹿にしないでください!私これでも21ですよ...?!」


だぼだぼの白衣を纏っている腕をバタバタさせながら、顔をむっとしそう言っていた。

え21?これで?

あいや失礼か...


「こほん、まぁいいでしょう」


わざとらしく咳をしていた。


「私の名前はガルシア・レベッカ」


彼女は言葉を続けていた。


「この花畑の、管理人です」


そういって、一度微笑んだ。

そして、私の方向を見て目を細めた。


「それで、なんの用です?"アビリタ"をお使いのお方?」


彼女の瞳は、まるで私の瞳の奥を見ているようだった。

アビリタ?

彼女の視線の方向は、きっと私以外いない。私にか言っていない筈。

じゃあ、なんだその単語は。

知らない、聞いたことがない。


「...動揺ですか?ああそれと、あなた」


私を見ながら彼女はそう言葉を紡ぎ続けた。

わからない

だけど、何か不味い予感がする。


身体が熱い。


まるで


「先に謝っておきますね、ごめんなさい」


身体が警告をしてくれているような


「"ソリチュード"」


彼女はそういっていた。

身体が熱い。

マクベスが呼び出せ、そういっているような。

私は思考ではなく、本能的に感じた。

なら!


「"マクベス"!」


私はそう叫んだ。






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