スケベな10分、愛される一生。

ねこまんま

第1話 そんなふうに、言ってくれる人──初めてだよ

──放課後の教室。

夕陽が差し込む静かな空間に、雑巾を絞る音がやけに大きく響く。


俺──志村蓮斗は、今日もひとりで掃除当番をこなしていた。

そう、また押しつけられたんだ。けどまあ、別にいい。騒ぎにもならないし、余計な絡みもない。

“目立たず過ごす”にはむしろちょうどいい時間だ。


──の、はずだった。


「あれ? 残ってたの、志村くんだけ?」


不意に教室のドアが開き、軽い足取りが入ってくる。


「うわ、本当に掃除してるー。マジメじゃん。えらいえらい♪」


その声と同時に、ふわっと甘い香りが鼻をかすめた。

篠原紅葉──明るくて、可愛くて、気さくで、男女問わず人気者。

そんな彼女が、俺に向かって当たり前のように笑っていた。


「なに、ちょっとカッコつけて残ってたとか?」


「いや……当番押しつけられただけ」


「ふふっ、じゃあちょっとだけ手伝ってあげようかなー。褒美は缶コーヒーでいいからさ♪」


俺が言う間もなく、紅葉は勝手にモップを手に取り、隣で床を磨き始める。


(……ほんと、なんでこんな子が俺に絡んでくるんだ)


からかってるつもりなのか、ただの気まぐれなのか。

でも、ひとつだけ確かなのは──目の前の紅葉が、今日も変わらずまぶしかったってことだ。


「……なあ」


ふとした拍子に、俺は声を出していた。


「ちょっとだけ、見せてくれたり……する?」


言ったあと、即座に後悔した。

いまのはさすがに、悪ノリすぎたかもしれない。


でも──


紅葉は、笑った。


「えっ、なにそれ。そういうキャラだったっけ?」


言いながら、制服の胸元にそっと手をかける。


「……冗談でしょ? でも、まあ……志村くんになら、いっか」


ぱちん。

ボタンがひとつ、外される。

ぱちん。

もうひとつ。

柔らかな谷間が、ゆるやかに姿を現す。


白地に淡いピンクのレースが縁取られたブラが、かすかに覗いていた。

シンプルだけど、どこか色気があって──紅葉の雰囲気に、よく似合っていた。


「……ほら。ちょっとだけ、ね?」


紅葉は胸元を指で寄せるようにして、俺の視線に収める。

ふわりと香る甘い匂い。肌の温度、呼吸の近さ。


(……おかしい)


自分の中で、何かが引っかかった。

だけど、それが何なのか分からなかった。


「……触っても、いいよ?」


自然な笑顔で、紅葉がそう言った。

まるで──自分からそうしたいとでも言うように。


「…………」


俺は、手を伸ばした。


制服越しに伝わる、柔らかな感触。

指先が、確かに彼女の温度を捉えている。


「……ん、けっこうガッツリ来るね〜志村くんって」


紅葉が小さく笑いながらも、逃げようとはしなかった。

その仕草は、どこまでも自然だった。


【残り1分】


「そろそろ閉めとくね。……あんまり長く見せるのも、ちょっと恥ずかしいし」


制服のボタンを一つずつ留めながら、紅葉がふとこぼす。


「志村くんって、あんまりそういうこと言わなさそうなのに、ちょっと意外だった」


「……悪かったな」


「んーん、そういうのも、嫌いじゃないよ?」


【残り10秒】


紅葉が最後のボタンをとめる。


その仕草を見ながら、俺はぽつりとこぼした。


【残り1秒】


志村の口元が、わずかに動く。


【0秒──洗脳解除】


「……お前、誰も見てないとこでも、ちゃんと頑張ってるよな。そういうとこ、……すごい、好きだよ」


紅葉の動きが止まった。


「…………」


ゆっくりと、自分の胸元を見下ろす。


「……あれ……?」


そして、俺の顔を見た。

見開かれた瞳が、ゆっくりと揺れる。


「……志村くん……いまの……」


ぽつり、震える声。


「そんなふうに言ってくれる人──初めてだよ」


「……私も、志村くんのこと──好き」


その笑顔は、さっきまでのどんな笑顔よりも、深くて、切なげだった。













※どうも!ねこまんまです。

新作作ったんでよかったら見てください^ ^

いきなりなスタートなんで2話目は能力を手に入れたきっかけを見せたいと思ってます。


ダンジョン牧場の息抜きに始めたので更新は遅いかもですが・・・


***


【ヒロインキャラプロフィール】


■名前

篠原 紅葉(しのはら もみじ)


■年齢/学年

16歳・高校1年生(志村と同じクラス)


■誕生日

11月24日


■身長・スリーサイズ

158cm/B87(Dカップ)・W57・H86


■外見

・金茶のセミロングをゆるく巻いた華やかな髪型

・ぱっちりした瞳と色白でモチモチした肌

・胸・くびれ・太ももがバランス良く整ったスタイル

・制服はスカート短め、ネイル・アクセ・ピアスなどでお洒落にも手を抜かない

・クラスどころか全学年でもトップクラスの人気を誇る存在で、男女問わず注目を集めている


■性格・立ち位置

・明るく気さくで社交性抜群、誰とでもフラットに接する

・恋愛対象としては「外見目当て」で寄ってこられる経験が多く、実は内心ではそういう扱いに疲れている

・「ちゃんと中身を見てくれる人」への憧れが強い、寂しがりな一面も



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る