折角スキルを得たことだし僕もダンジョンへと挑戦……したかった。

濁烈叫悦のアスラトシカ・ジンジャー

出落ちの前振り

改めてこの小説を読まれる前に概要欄をチェック。

一番やりたいことに行くまではチュートリアルだと思って製作をしていきます。ご了承下さい。


以上作者より注意事項でした。


それではもう少し下から始まります。
















 ダンジョンが出来てから早数年、世間ではスキル持ちが冒険者になるとかならないとかで云々。そりゃあ僕もやりたいよね。それでスキルを判別してもらうっていうのをしてもらいに行ったんだ。


 いやまあね、別にそんな、ねぇ。僕がそーんな大層なスキルがあるとかは思っていない訳ですけれども。少しは期待してしまうってものでして?

 まあ漸く18歳になったし?行ってみても損は無いと言うかね?


「はい、では次の方は~、山崎さん。山崎……えーとガンラさん」

「あ、はい。ぼ、俺です」


 自覚が芽生えて初めて自覚出来るというスキル。それは勿論突然火を噴いたり消えたりとかしたら危ないのもある。しかし本当に変なシステムだな。


 そんなことは良い。今は俺のスキルがどれだけ有用か、それが全て。そうだ、全員を見返してやれるのさ。アイツも、アイツも、アイツも!今に見ていやがれよ。


「はい、では此方のお部屋にお入り下さいね」

「分かった」


 目の前にいるのは中年くらいの判断師。さっさと俺のスキルを宣伝しろ。俺こそがこの日本の、世界の覇者となる……その礎となるスキルを!


「今回山崎さんのスキル判断担当をする座対です。此処に手を翳して力を籠めて下さい」


 造作もないこと。


「フッ、ハァーーーーーッ!」

「そんなに力まなくても問題無いですよ」


 問題が無いとは即ち俺の存分の力でも良いということ。やってやる。そうすれば俺こそが……そう俺こそがメサイアとなる……


「ん~?」

「フゥーーーーーッ!」

「すいません、もう少しそのままで……」


 あれ?


「ふ、ふーっ」

「ちょ、ちょっとそのままで、籠め続けて待ってて下さいね。上の者を呼んで参りますので」

「え、あ、はい」


 なんか結果出るの数分もかからないって聞いた覚えが……あの?


 ~1分後~


 そろそろきついかな……(超絶小声)


 ~5分後~


「すいません本当にお待たせしてしまって!」

「は、はい……ん"っ、何か不具合でも?」


 っとォいかんいかん、俺としたことが力を籠め過ぎて壊してしまったかな。いや、別に俺が?強すぎることには?何も問題は?ありませんが?


「一旦お部屋移動してもらっても良いですか?少し確認を含めもう少々かかってしまうかもしれません、ご了承下さい」

「問題なし、急ぎましょう」


 やはり特別なのだ!俺が特別なのだ!ハッハッハ、愚民どもひれ伏すがよい!






「え~、結論から申しますとスキル名は一切不明ということになります」

「複数の判断師で確認致しましたがスキル名称は近しいものが無く、どのようなデメリットが存在するかなど含めて命の危険となり得ます。此方にあります国家機関にお立ち寄り頂いた上で検証するまで、スキル発動はお控え願います」

「また、このような結果が出たことは極めて稀である為、世界全体で情報を共有し行動が監視下に置かれる可能性もございます。御自宅には担当者が急ぎ通達に向かいますので、指定の住宅へお引っ越し願うことと思われます」


 随分と大事になった。歩く核弾頭の扱いをされている?



 それから数時間して、検証が始まった。


「屋外特別試験場、緊急スキル検証開始します。山崎さん、スキルを起動して下さい」

「は、はい」


 まあ危険とかを考慮すると屋外で行うのは理解出来る。ただあまりにも離れすぎじゃない?キロメートル単位で離れるとか少し寂し……いや、俺のチカラを見せて、見せつけて畏怖させてやろう。そうだ、俺がメサイアに!


「オラァッ!」


 瞬間、目の前に煙がぼふむと立った。屋外で地盤も湿った割れにくい大地であったことから土埃も巻き上がった。要するに視界に大ダメージを食らった。

 勿論目の前に浮かぶドローンはその様子を撮影していたので、その向こうから即座に声が届いた。


「山崎さん!?救護班、用意を!戦闘の可能性もある、タンクとデバッファーも構えてゆっくりと進め!」

『了解、これより対象の状況を確認』


 しかし主人に牙を剥くスキルか……これはまたピーキーなものだ。俺には丁度良い対価なのだろうな。


 そして目を開けるとそこにあったのは……




「軟弱な。眼前とはいえ砂埃程度で倒れるとは驚きですよ」

「アンタがあーしのゴシュジンサマ?なよなよしてそー」

「えっ」


 インテリ眼鏡とバチバチ褐色ギャルであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る