私はお金のためにダンジョンに潜っています…。って配信?いやいや、根暗女には無理ですよ…
くうはく
プロローグ
「はい! 今日のあいりちゃんねるの目標は〜! 10回層まで潜ってみた! です! よかったらチャンネル登録よろしくお願いします!」
私は元気いっぱいにカメラに向かって両手を振る女の子、『
数十年前、ダンジョンと呼ばれる不思議な洞窟が全国あらゆる場所で姿を現した。
それも、全て人の往来が激しい市街地でだ。
そこから、紆余曲折あり、昨今ダンジョン内でモンスターを借りながら自動追尾するドーロンカメラにて配信を行う、所謂【ダンジョン配信者】という職業が人気になった。
男なら、勇敢な姿を見せてあわよくばモテたいという者。
女なら、自身の可愛さと一生懸命さをアピールして、承認欲求を満たしたい者など……。
理由は様々だ。
そんな中で私……『
どんな風に映っているか見るために、スマホから今の配信の状況を確認する。
すると、様々なコメントが流れていた。
・こんにちは〜!
・今日もあいりちゃんかわいい!
・ひかりちゃんもっと笑って!
・ひかりちゃん、めちゃくちゃ仏頂面で草
悪かったな、仏頂面で。
私は配信には興味ないんだけど。
そう、興味がないのだ。
なぜかあいりちゃんと、なし崩し的に配信を始めることになってしまい、今に至る。
「ひかりちゃん! もっと笑ってだって! ほらニコ〜! って」
「いや……私は興味ないから……」
「いいじゃん! いいじゃん! いっぱいバズってお金いっぱい貰おうよ!」
・正直すぎるだろ
・草
・まあ、お金が入るのは悪いことではない
・しょうがねぇな〜? ¥5000
・じゃあ俺も¥10000
「わわ! ありがとうございます〜!」
次から次へと、スパチャ……投げ銭が飛び交う。
な、なんでこんなことになったんだ。
「いや……あの……お金は大事なので投げて来ないでください……」
・くぅ〜! そう言われたら投げたくなっちゃうぜ! ¥10000
・ひかりちゃんの金投げた時のその表情を見るために俺は生きている¥10000
・おら! 金で殴られろ! ¥10000
「いや……あの……ほんとに……なんでぇ……」
「あはは! ひかりちゃん大人気!」
この危険なダンジョンの中で、私とあいりちゃんは今日も呑気に配信をする。
そう、リスナーのお金にしばかれながら。
助かる……助かるんだけども……。
「お金はぁ……大事なのでぇ…………」
「わっ! ひかりちゃん泣いちゃった! ごめん! 本当にごめんなさい!」
・マジでごめん!
・あーあ泣かした
・お前らが金でしばいたから……
・ひかりちゃんはかわいいなぁ
・これが、ダンジョン最下層にソロで潜り続けているトップ冒険者の姿なのか……
・唆る
「スパチャこれから禁止! こっちで投げれないようにしておくからね!」
「うん……」
人から貰うお金……心がとても痛い。
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