第3話 なんかURばっかりなんですけど!?

「俺は、スライムの倒し方を学んだぞメレル」

「そうですか、剣を投げる事ですね、剣士として終わってますね」


「ひどくね? もうちょっと褒めてくれても良いってもんだろうが」

「残念でした。ロイ殿下はもっとけなされるべきかと思います」


「掛かってこい、スライムどもめ、俺は剣を投げるぞ」


 そんな事を言いながら、最高級のオリハルコン製の剣を投げまくるロイ。

 剣はスライムの核に命中していく。

 

「なんか俺の命中率が滅茶苦茶良いんだが」

「ただ運が良いだけでしょう」


「そうかな、俺は物凄く運が悪かったはずなんだけどな」

「あれじゃないですか、国が滅んで、アンラッキーからラッキーにでも変わったのではないでしょうか?」


「お、レベルが上がった。次はガチャ2回出来るな」


「早速ですか、楽しみですね」

「ほれほれ、またガチャを2回回してやろうぜ」


【UR=七代将軍ラガディ・ヘルマ】

【UR=七代将軍ウィーバー・パリー】


 カプセルの中から出現したのは、七代将軍と呼ばれているラガディ・ヘルマ。

 彼は老人であり、背丈が人間の半分程しかなかった。


「情報によると、ヒゲムール族と呼ばれていて、ドワーフ族の成れの果てだそうだけど、情報がないな、発明と建築の達人だそうだけど」


「ふぉっふぉ、久しいのうロイ殿下」

「出た、またパラレルワールドの話をしているのか」

「ふむ、わしの知っているロイ殿下ではないようじゃ」


「えーと」

「わしは建物ならなんでも建てられる自信がある【スキル:建築】で自動で建てる事が出来るでのう、わしの記憶にあるエルレイム王国を再現してもよかろうか?」


「あ、助かるけど、人が今、トメイロさんくらいしかいないんですが」

「あのトメイロがいるのかいのう、そうかいそうかい」


 そう言いながら、ラガディがいなくなると。

 次に、黒い服を身に着けている青い髪の毛のおっさんが立っていた。


「俺は、空の覇者なんて呼ばれてる。グレイスフリアを召喚して空を飛ぶ事が出来る。さらには医者でもあるぜ」


「それならウィーバーさんのスキルはえーと」

「【スキル:ポーション製作】と【スキル:呼び出し】くらいだな、ポーション製作は草があれば何でも作れる。呼び出しは相棒しか呼び出せられないけどな、使いようによっては、人間を呼び出す事が出来る。この世界だと、今認知出来ているロイ殿下とラガディの爺さんとメレルとトメイロくらいか」


「それもおいおい考えていきましょう、ポーションを沢山作ってくれると助かります」

「おうよ」


 そう言いながら、ウィーバーは草むしりを始める為にいなくなってしまった。


「よーしレベル4を目指して頑張ろうとしますかー」


 レベル3になったあたりから、ロイはスライムを簡単に倒せるようになっていった。


「やっぱしスライム20体くらい倒してもレベルは上がらないかー」

「それはそうでしょう、でもオカシイですよね、レベル10までは大抵が簡単にレベルアップできると聞いていますし、今のロイの討伐数は100体を超えていますよ、スライム無双ですね」


「ちょっと恥ずかしいんだけどさ」

「所であのでかいスライム倒したらどうです?」


「さすがに怖いよ」

「そしたら簡単にレベルが4を通り越して5になるかもしれませんよ?」


「そうかもしれないけどさ、やってみるか」


 その日ロイは命を懸けてバカでかいスライムと殺し合ったのであった。



「ぜはーぜはー」


 バカでかいスライム討伐にかかった時間2時間。

 攻撃を仕掛けては逃げるの繰り返し。

 ぶよぶよの肉体はスライムの核までの攻撃を通してくれなかった。

 さすがのオリハルコン製の剣も使い手が剣術ダメなせいか上手く攻撃が伝わらない。

 何度も何度も攻撃を繰り返す事によって活路を導きだせるかと思ったが、結局は逃げ続けて。

 スライムの木の上からジャンプして威力を付けた状態でスライムの核を串刺しにする事にようやく成功したという形だ。


「よっしゃあああ、レベルが5になったぞ、ガチャが3回出来る」

「おめでとうございます。さて、何が出るかなー」


 メレルも少しだけ興味深そうにこちらを見ている。


【UR=七代将軍ドガリル・ウェイト】

【UR=七代将軍ピロルム・ダザック】

【UR=七代将軍ガロン】


「なんか、このガチャってURしか出ないのかな」

「いえ、文献にはRランクとかSRランクとかSURランクとか色々出るそうですよ」


「へぇ、それが本当なら俺って相当な運の良さなのかもしれないね」

「かもしれませんね」

「あと、七代将軍ばっかり出るのは何かの予言かな?」


「いえ、思い過ごしでしょうね」

「そうかなー」


 そんな事を言いながら。


 ドガリル・ウェイトをカプセルから取り出す。

 彼は寝ているおっさんのマントを背中に纏っており、パジャマのような恰好をしている。

 頭はぼさぼさで今にも起き出したばかりという顔つき。


「ふわぁああ、よーく寝たよ、お、これはこれはロイ殿下、そうだなーどうしようかなー【スキル:夢世界】に戻っても良いかな?」


「夢世界?」

「そこはアイテムボックスの中と呼ばれていてね、アイテムボックスはほれ、これなんだけど、ロイ殿下に渡しておくよ、俺はいつでも夢世界に入って武具を作る事が出来るんよ、アイテムボックスから取り出してもらってもいいぜ、あ、どうやらこの世界に着た事で今まで作ってきた武具が消滅したみたいだなーいやーあちらの世界においていかれちゃったのかなー」


「事情は飲み込めないけど、伝説級のアイテムボックスを貰えるのなら非常に助かるよ」

「そうかいそうかい」


 ドガリルからアイテムボックスを受け取ると。

 彼は異空間に消えていってしまった。


 次に、道化の仮面を身に着けている男性がいた。

 彼は道化の衣服を着用している。


「ほほう、わたくしがこの世界に来るとは、それに懐かしきメレルじゃないか、我が娘よ」

「いえ、私の両親はとっくの昔に死んでいますわ」


「ほほう、そういう世界の悲しき伝説かなー【スキル:道化分身】で労力を増やせるからいつでもおっしゃってくれロイ殿下」

「道化分身は何体くらいまでいけそうです?」

「ざっと1499かなー道化の仮面で拾ってるのはそれくらいだ」


「道化の仮面?」

「そういうスキルみたいなものさ、さてと、仕事をしようか」

「そう言えば、ロイ、近くに鉱山があったから、働かせてみては?」

「そうさせてもらおうよー」


 その時、ラガディの小さな体が見えてきた。

 彼はこちらに走ってくると。


「すまんが、瓦礫の数では足りぬ。よってスキル発動の為に、鉱石やら岩やら石やらを集めて欲しいのじゃが」

「それならわたくしがするよー」


 ピロルムの体がまどろみのように薄れていく。

 一瞬の間の隙に1499体の道化の仮面を身に着けたピロルムが出現して。

 彼等は山がある方向へ面白おかしく、手足をぶらぶらさせながら走り出した。


「えーとガロンさんは」


 いかめしい黒い甲冑を身に着けている男性。

 七代将軍は男性ばかりのようだ。

 彼はこちらを真っ直ぐに見つめていた。

 そして突如として抱き着いてきた。


 無精ひげが痛かったが。


「このおれは、嬉しいぞロイよ、お主とは永遠に合えぬと思っておった。おじさんとしてお前に出来る事が無かった。別の世界としてロイの為に戦おうぞ【スキル:軍団】を使えば、どんな敵だろうと鎧の軍団を率いて敵を駆逐するまで戦おうぞ」

「どうやらガロンと俺は血のつながりがあるようですけど、こちらの世界ではガロンと言うおじさんはいないんだけどなー」


「それはあれですよ、パラレルワールドだから何でもありなんですよ」

「そうかなーじゃあ、ガロンはまた神の軍勢の残党が来ないか見張っててよ、たぶん、山賊とか盗賊がエルレイム王国の地下ダンジョンを狙ってくると思うから、討伐して欲しい」


「うむ!」


 ガロンがいなくなると。


「せめて、女性を当てたいんだけど」

「ロイ殿下、女性ならここにいるではないですか」


「キミは女性というよりかは道化だろ?」

「道化ですが、1人の女性でもあるのですよ?」

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