第6話 山に引きこもります
地図の通り歩き続けた。
山の中に小さな村がある事を知っている。
だが見つけた時には壊滅していた。
死体が転がっており、なんとなく埋葬した。
建物が無数にあったが、殆ど中が荒らされていた。
「あの盗賊団がやったのだろうな」
ケンシンは宿屋だったであろう建物に入る。
久しぶりにベッドで横になって眠った。
眠っている間に色々と考えていた。
ずっと1人ぼっちでこの世界でもMMOでも独りぼっち。
何が楽しいのか分からない。
そもそも子供の頃は沢山友達がいたはずだった。
なぜコミュ障などという者になってしまったのだろうか?
きっと成長の過程で間違えてしまったのだろうか。
なんとなく、空想の創造を発動させていた。
この世界で美少女モデリングをするとしたら、どんな美少女を作ろうか。
まず作ってみたのは、小柄で可愛らしい吸血鬼の美少女を作り上げていく。
髪色は銀髪で、背丈は腰くらいでとイメージして、3Dモデリングで理想の吸血鬼が出来上がると。
それを外部データに送信した。
眼の前に吸血鬼の美少女が出現する。
そいつはこちらをずっと見ている。
何も言葉を発する事の出来ない人形だ。
「何をしているんだか」
ケンシンが苦笑を漏らすと。
間違って美少女の人形に触れる。
ステータスが出現した。
名前項目を入力出来る。
ちゃんと種族まで入力出来る。
ジョブとスキルについては何も書かれていない。
「嘘だろ、つまりこれは」
ケンシンはベッドから立ち上がった。
つまりこれは。
「生命を創造出来るってことか」
ケンシンの目がさらに輝く。
これが出来れば友達なんて沢山作っちまえばいい。
自分が理想としている空想を現実に創造してしまえばいい。
「ふー」
息を吐き出して深呼吸する。
理想の名前。
「お前はリリィー」
赤い瞳がこちらをじーっと見ていた。
口元が少し動いた。
そしてこちらを上目遣いで見て、頭を下げた。
「こんにちはマスター」
「俺が分かるのか」
「どこにいたってリリィーのマスターです。そうだ。リリィーに色々な事が流れてきています。マスターは寂しかったのですね」
「ああ、ああそうだな、いつも誰にも理解されない」
「マスターはマスターらしくで良いんだと思います。誰にも理解されないマスターも大事ですし、リリィーはちゃんと理解しています」
「そうか、お前は吸血鬼で良いんだな」
「はい、それがマスターが望む空想ですから」
リリィーの種族は吸血鬼になった。
そして、彼女の空腹ケージが減り始めた。
それが代償。
「血が必用だな」
「はい、マスターの血を頂ければ幸いです」
「俺の血で良いのか?」
「はい」
ケンシンは取り合えず腕を差し出した。
するとリリィは口を開いた。
そこには小さな牙があり、それもモデリングしたのを思い出した。
彼女は腕にかじりつくと、ごくごくと飲み始めた。
不思議と痛みが無かった。
「さて、マスターは何がしたいんですか?」
「俺はな、友達を一杯作りたい」
「そうですか、なら、マスターどんどんモデリングしましょう」
「良いのか、作っても問題がないのか? こういうのって作れば作る程何か代償があるもんじゃないのか?」
「いえ、そんなものはありません、マスターの力はチートですから」
「そうか、なら作ろうか」
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