第3話 破滅ダンジョン
銅像。
大きさ巨人より大きい。
銅像の数30体程。
全てが笑っている。
巨大な剣を持っている。
一瞬にして銅像30体が走り出す。
カリナが悲鳴を上げて後ろに逃げようとするも、扉は閉まる。
赤い炎が灯り、辺りを照らす。
ガナージの脳みそが装備売りの商人から戦闘狂へと切替わる。
ナイフではなく、背中の大剣を引きぬく。
草花色のマントが翻る。
勇者の剣。
父親を殺した時に得たスキルは断罪剣。
銅像を1体両断して見せる。
だが29体の銅像に囲まれる。
スキル断罪剣から付与操作でスキルを変更する。
スキル:縮地に切り替える。
距離を縮めさせてあちこちに移動して、銅像の巨大な剣を避け続ける。
銅像の頭の上に着地すると、付与操作でもって、次に爆破に切り替える。
勇者の剣が炸裂した時。
銅像が爆発する。
頭が吹き飛んでいく。
残り28体。
銅像達はカリナに目標を切り替える。
また付与操作でスキル縮地に切り替えて、カリナの所に戻る。
もう体が限界に達する。
日々運動不足が祟ったのだ。
「はぁはぁ、カリナ聞け、今から、ワープさせる。ディレイ時間が1日だ。お前を飛ばすから後はよろしく」
「意味わかりません」
「ここで駄々をこねるな死ぬぞ」
「でも」
「気にすんなって、僕は世界一最強な装備商人だから」
にかっと笑って見せる。
マントをカリナに纏わせると、ワープで冒険者ギルドに飛ばす。
「さてと、銅像28体、リベンジと行こうか」
やはり銅像達は笑う。
それから12時間が経過した。
「はぁはぁはぁはぁ」
息を荒げながら、残り10体になった銅像達を見ている。
「こいつら、やべーな」
ガナージの体力は底抜けではない。
なぜなら、彼には母親を殺した時に得た自己再生というスキルがあり。
勇者の剣に付与操作で時たま付与して、自身を回復させていた。
「マジックポイントも切れたか」
マジックポイント、それは魔法やスキルを使うと消費される力とされるが。
普通の人間より100倍はマジックポイントを所持しているのがガナージであった。
理由はスキルを奪う事によりマジックポイントを奪っていると同じだったからだ。
「さてと、いっちょ」
そう言おうとして、銅像達が1体また1体と立ち上がる。
先程倒したはずななのに、30体復活してしまった。
「はぁ、終わったかな」
銅像達が全力疾走でこちらに走ってくる。
次の瞬間。
ガナージは死んだ。
★
死んだガナージの体は衣服に付与されていた転生スキルによって体が修復されていた。
銅像達はガナージが死んだと思って動こうとしていない。
ガナージの体はぐちゃぐちゃになっていたが、転生により体は修復されている。
【おい、俺が死んだら転生すんだぞ】
【このスキルは1回しか使えないんだ。俺は1度転生しちまったがな、どうだ? ガナージ助かる見込みもない俺を殺してスキルを奪ってくれねーか】
かつてそんな友がいた記憶があった。
ガナージはゆっくりと眼を開ける。
衣服に付与操作で付与していたスキルは消滅はしていないが、1度だけしか使用出来ない超級レアスキルだ。
転生。
一度死後の世界を見た気がする。
そこには無数の装備達が飾られていた。
「まるで、夢の様な世界だな」
小声で呟いていた。
「いつまでも死んだふりもダメか」
だが、不思議と30体の銅像を倒す方法が脳内に響き渡る気がしていた。
右手の人差し指の指輪に付与されているスキル。
装備召喚。
お店の中に飾られている奇抜な装備だけではない。
地下倉庫に無数に装備達が飾られている。
それも、鎧系の装備達だ。
彼等にはもちろん。
心など宿っていない。
「さぁ、リベンジと行こうか」
ガナージはゆったりとした動作で立ち上がった。
人差し指に付与されているスキル:装備召喚を発動させる。
無数の装備が至る所に召喚される。
その数は100個はくだらないだろう。
それ等の装備はマネキン人形のような人形に装備されている。
マネキン人形に装備されているそれらに付与されているスキルは。
【スキル:自動狩り】
これは敵対者を自動で狩りつくすというスキルだったはず。
【なぁ、俺はな自動で狩る事が出来るんだぜ? 体を自動で動かす事が出来るんだ。自分以外にも、無限大に自動で狩らせる事が出来る。ただなぁ、自動狩りは愛着がないと動かせないぜ】
そんな友もいた気がする。
彼も助けられずその手で殺した。
「いけ」
マネキン人形に装備された装備達が踊り出す。
30体の銅像とぶつかり合う最中。
ガナージは銅像が守っている巨大なダンジョンコアを見ていた。
「あれさえ壊せば良いんだな」
ガナージの靴にはスキル付与で瞬歩が付与されている。
瞬歩で走り出して、辿り着いた先で、壁にぶつかりそうになったが。
ダンジョンコアの真上に到着しており。
銅像達が自動狩りで動く鎧達を破壊しまわっている中。
「あーあ、せっかく具現化したのに」
ガナージに与えられたスキル。
それはたった3つなのかもしれない。
設計図、具現化、付与操作。
だが、特異体質でのスキル強奪により。
あらゆる戦法が可能となっていたのだが。
勇者の剣を振り落とす。
ダンジョンコアが破壊される。
爆音が響き。
このダンジョンの内部が白く染まった瞬間。
脳裏に何か声のような物が響いた。
「助けてくれてありがとう」
眼の前には銀色の髪の毛をしていた。
1人の幼い少女が立っていた。
少女とはいっても、15歳くらいと見て良いだろう。
彼女は全裸の状態で、こちらに抱き着くと。
「待ってました。主君」
と意味の分からない事を呟いて。
「スキルを返します」
「何を」
そう言って、彼女はガナージの頭に触れる。
「心です」
「スキルじゃないと思うんだが」
「あなたには心を与えるスキルがあったんです、昔」
「昔?」
「あなたは装備の軍勢を従える王」
「そうなのか?」
「装備商人の王となるのです」
「結局は装備商人なのな」
「さぁ、4つ目のスキル。心をお持ちください、30体の銅像に心を与えてください」
「無理だろ」
「今銅像達は主君を見ているのです」
銅像達は身動きすらせず、ひたすらこちらを見て膝を下ろしていた。
その大きさだけでも異常なのに。
膝を落とすだけでも巨漢である事が分かる。
「さぁ、主君!」
「その前に、君の名前は?」
「私はグリシュナでございますわ」
「質問良いか? あの銅像達は装備なのか?」
「装備でございます。いえあなたが作った装備達でございますわ」
「そうか」
ガナージは一歩歩いた。
そして、ただ呟いた。
「なぁ、お前等心って奴を与えてやるよ」
その日装備の軍勢を手に入れた。
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