第19話 ゴミの追加

 今日はゴミの日だ。

 だから市の指定のゴミ袋に、生ごみをはじめとした幾つかを詰めこみ、ゴミ集積所に捨てにいった。


 家に帰ってくると「ああっ、1番肝心なものを捨ててなかった!」という妻の声が聞こえてきた。

 冷蔵庫の中にあった期限切れの肉類だ。


 まだゴミ袋が家の中にある段階なら、くくったものをほどいて追加で入れればいい。

 が、もう捨ててしまった場合はどうするんだべ?


 新しいゴミ袋を出して使うのも勿体ないし。


 という事でゴミ集積所から自分の捨てたゴミ袋を取ってきた。

 捨てたばかりだから、どの場所に置いたか、何が入っていたかは分かっている。

 だから迷う事なく自分のゴミ袋が分かった。


「変な人と思われなかった? ゴミ袋を持って帰るなんて」

 

 そう妻には言われたが、実際のところ変な人には違いない。

 もし人に尋ねられたら「いやあ、ゴミを追加で入れようと思いましてね」とか何とか、ホントの事を言えばいいだけだし。


 というわけで、無事に期限切れの肉類を追加する事ができた。

 そのゴミ袋を再び集積所に捨てたら、不思議なことに、何事かを成し遂げた感がある。

 

 それにしても有りがちな状況。

 新たな技を1つ身につけた気分だ。


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