ラムネソーダ!!by3年A組

@vanilladesu

第1話春風と進級のきらめき

春。

3年A組の新しい教室には、窓からやわらかな風が流れ込んでいた。


「おはよーっ!ひかるくん、また一番乗り?」

扉を開けて入ってきたのは、桜井みなみ。合唱部のエースで、クラスでも姉御肌な存在。


「うん!だって今日から3年生だし!早起きして声出ししてきたんだ〜!」

朝倉ひかるは、窓を全開にして笑っていた。夢は声優。いつも声が大きいのは仕様らしい。「…相変わらず元気だね」

席に座りながら本をめくるのは、斉藤ゆうま。クールで物静かだけど、実は情熱派。そのすぐ後ろでは、高橋りながミラー片手に髪を整えていた。

「ちょ、前髪きまんな〜…。マジ今年こそ“自分史上最高の1年”にしたいんだけど!」


「え、それって青春ってやつ?」ひかるが笑いながら言うと、りなはウィンクして返した。

「そ、青春。ギャルだって全力でやるっしょ?」


「おっはよー!遅刻じゃねえぞ〜!」

山田さとしがドアを突き破りそうな勢いで入ってくる。

続いて、ツンとした表情の伊藤えりかが腕組みしながら登場。


「うるさい。そんなに騒いだら黒板割れるでしょ」「いや、そこまでじゃないって!」

さとしは笑い飛ばすが、教室の空気はどこかほんわかしていた。


そのあとも次々に集まってくるクラスメイトたち。


「中村くん、Switch持ってきてないよね?」「持ってきてないし!持ってきてないけど…ポケ〇ンはやってきた!」

ゲームオタクの中村なおきと、体育系の藤原みゆの会話が賑やかに弾ける。「ねぇねぇ、今年って…なんかやりたいよね、クラスで」

おっとりした声で話したのは小川はるか。


「俺も思ってた」

クラスを見渡しながら言ったのは、リーダー気質の松本かずき。


「このクラス、バラバラなようで、なんかまとまりそうっていうかさ…」


そのとき、朝倉ひかるが机をバンッと叩いて、

「そうだ!“青春プロジェクト”やろうぜ!」と叫んだ。「は?なにそれ」

みんなが顔をしかめた。


「いや、マジで!“今年しかできないこと”、全力でやるんだよ!文化祭とか体育祭とかさ、なんか全部!」


「でも、クラス全員を巻き込むって、ちょっと無理じゃない?」

高橋りながつぶやくと、


「無理じゃなくて、これからやっていくの!ねっ、みんなで!」

桜井みなみが笑顔で背中を押す。「……青春プロジェクト、か」

ゆうまは少しだけ口元を緩めた。


「いいじゃん。やろうよ、それ」

みなみがうなずいた。


その瞬間だった。


ガラッ!


担任が教室に入ってきた。


「おはよう。今日から君たちは、3年A組だ。君たちの最後の1年が、いい時間になるといいな」


みんなの目が合う。なんだか、ひとつのスイッチが入った気がした。

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