12. 夜の次のお楽しみ(2)
リンをからかった後、部屋に戻る。
ハンナは身を清め、着替えたあとだ。お湯は新しいのに変わっている。
「じゃあ、俺も清める。」
ハンナが部屋を出ようとするので、俺は止める。
「ハンナ。お前は俺の体を見るのに慣れておく必要がある。じっくり見ろとは言わんが、気にせずにいろ。」
ハンナの顔が真っ赤になる。
「え、ついに私を…一応心の準備はできてます。」
ハンナが妙なことを言う。
「お前、何言ってるんだ。何か勘違いしてるぞ。」
俺はハンナを突き放して、身を清める。
一応石鹸らしきものがこの世の中にもあるので、それを使うことにした
だが、ただ使うわけじゃない。俺はそれにぬるぬるを混ぜる。それだけで泡立ちのいい石鹸に変わる。
それで髪の毛を洗ってすすいでから、上半身を、下半身をこすり、お湯で流す。流すといっても、手桶を使って、別の桶の中で流すだけだ。
洗い終わって体を拭く。髪は短いのですぐ乾く。
パンツ一枚の俺に、ハンナが言う。
「石鹸入りのお湯は、洗濯に使うので置いておいてください。アレンさんのも洗います。」
「じゃあ、今やっておいてくれ。」俺はそう言って、脱いだ服をハンナに渡す。
俺たち孤児の服装なんて、どうせぼろぼろの下着とシャツ、ズボンとかだ。
俺は片方の桶のお湯を替えに行く。これはすすぎ用だ。
部屋の隅に洗濯物を干し、お湯を捨てて練習再開だ・。
俺はハンナの目を見ながら言う。
「ハンナ。よく覚えておいてくれ。これからやることは、基礎マナ力(りょく)を伸ばすために必要なことだ。いまの内からやるほうが、後からやるよりずっと効果的なはずだ。
これに関しては、ハンナで仮説の検証が出来たら、今後の仲間全員にやっていく。嫌がるやつがいたら、ハンナに説得してもらいたい。」
「何をするのかわからないけど、わかりました。」
まだ何も内容を言ってないのに素直なやつだ。
「これからやることは、『マナピンポン』だ。俺がマナをお前に送る。お前はそれを俺に打ち返して戻す。まあ、ボールを打ち合うみたいなものと考えてくれ。」
「はい。」
「そのためには、まずは体を密着させる必要がある。しかも、できるだけ肌をくっつけて行う。そのほうが効率がいいからだ。「
「…」
「ハンナ、上半身を脱いで俺と密着しろ。」
ハンナがうなずいて服を脱ぐ。顔を真っ赤にしながらも、何か決意したような感じで、上半身だけでなくパンツまで脱いで全裸になる。
本当に華奢な体だ。
孤児だから栄養もいきわたっていないためか、手足も細いし、体にはあまり肉がついていない。
ちなみに十二歳だしどことは言わないが毛も一部生えていない。
俺は一応ちゃんと全体を観察してから言う。
「おい、パンツは履いたままでいいから。」
全裸になったハンナが、ふと我に返ったような顔をする。
ハンナはなぜか残念そうにパンツを履いた。
将来は美人になるだろうが、まだあどけない顔をしている。
これから鼻筋が通って目が大きくなるんだろう。ブルネットの髪もちゃんと手入れしたら美しくなりそうだ。
パンツ一枚になったハンナが、俺に近づいてくる。
俺はハンナのぺったんこの体を抱きしめる。体温が伝わってくる。ハンナの心臓の動きが激しいようだ。
俺は、ハンナの頭を優しく撫でながら、心拍が落ち着くのを待つ。
「ハンナ、リラックスだ。そうしないと始められない。」
俺?当然俺の心音は平常だ。前世で元25歳の俺は、さすがにつるぺたには欲情しない。今のハンナを好むならまあロリコンというよりペドフィリアだな。俺はノーマルだ。
「じゃあ、始めるぞ。俺が送るマナの塊を、俺に打ち返せ。」
俺は、ピンポン球くらいのマナの塊を意識し、ハンナの体の真ん中にゆっくりと打ち込む。
「…あ」
ハンナが情けない声を出した。
「ほら、打ち返すんだ。もう一度な。」
俺はまたマナをゆっくりと送る。
ハンナは今度は反応したが、そのままマナは雲散霧消した。
「ハンナ、ボールを板とか棒で打ち返すイメージだ。 イメージが大事だ。もう一度。」
「はい。頑張ります。」
…真面目か。
まあ、愚直なのはハンナのいいところでもある。
俺はまたマナを送る。
それから三十分くらいやって、やっと一発打ち返された。
「よし、今日はこれまで。」
ハンナはくたくたのようだ。
「ハンナ、服を着てベッドに入れ。」
俺が言うと、ハンナは素直にベッドに入った。疲れて眠いのだろう。
「最後のトレーニングだ。マナの絞り出しだ。」
「それって、どうするんですか?」
「簡単だよ。さっきお前はマナを打ち返して、俺に戻しただろう?あんなイメージで、体内のマナを絞り出せ。
できるだけ使いきれ。そうすると簡単に眠れる。」
「やってみます。」
ハンナは試行錯誤していたが、最終的にうつ伏せで寝ながらマナを出していた。
三回くらいで寝てしまったようだ。
絶対的なマナの量が足らない。これは鍛え甲斐がありそうだ。
まあ、俺もまだ似たようなものなのだが。
俺がやったのは三つ。
1)マナの流れを良くする。
2)マナの操作スムーズにする。
3)マナの量を増やす。
ということだ。
俺の仮説では、魔法とスキルは同じもの。どちらもマナを消費する。
一般的には魔法の方がマナの消費量が多そうだ。
だからといって、スキル持ちがマナを多く持つ必要がないかといえば、そんなことはない。
マナの量が多いほうが、スキルを何度も使える。
今日のアダムさんの農地の草取りでわかったように、スキルの連続使用にも限界がある。
これは結局マナを消費するからだ。
であれば、体内のマナの容量を増やすべきだろう。それが寝る前のトレーニングだ。というかマナ切れで倒れるだけだが。
寝る前の魔力の絞りだし、というのは多くのラノベで推奨されていたことだ。
マナでも同じことだな。
マナの流れをスムーズにするというのは当然だろう。
スキルがうまく使えてないのには、マナの流れがよくないことがあるのでは、と俺は睨んでいる。
それこそ、剣術スキルがあっても使いこなせないのは、それが原因だと思う。
そしてマナピンポン。マナの操作能力の向上のためだ。
まだまだこれからだが、こうやってマナを動かせるよういなると、スキルを楽に使えるようになるはずだ。
魔法でもコントローグが良くなる。
素肌でやることにより、うまくマナの流れをつかめるだろうと俺は思っている。
ついでに言えば、これが有効だとハンナに刷り込み、将来違う女性相手でもこれをすいるように説得されるという遠大な計画もある。
…まあ、それは長期的な話だ。
まずはハンナを鍛える。ぐるぐる(安易な名称だがいいだろう)とマナピンポン、そして絞りだしは絶対に有用だと信じている。
そして、俺が信じれば、ハンナも信じる。ハンナに刷り込むんだ。
将来男ともやらないといけないかもしれない。ま、その時はその時だし、ハンナが育っていればハンナにやらそう。そのほうが男も喜ぶだろう。
まあ、そのためにも、ハンナをちゃんと鍛えて、リンに言った通り、誰からも一目置かれるような存在にまで引き上げる必要がある。
「草取りスキルのハンナでさえ、素晴らしいことになった」という実績があれば、俺のクランには人材が集まるに違いない。
そうすれば金も儲かるし、ハーレムも実現するだろう。
それを目指して頑張ろう。
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