ある日将棋星人が攻めてきて

雨石ウガツ

第1話 対局開始

君は知ってる?

将棋に現れうる局面のパターン。

その数は宇宙に散らばる原子の数より多いんだってさ!


-------

19xx年 5月23日

「emergency!emergency!」


側近A「突如、東京上空に未確認飛行物体が現れました!」

「米国は既に現状を認識し、現在動きは取らず観測に回っております」


この日、東京都上空に、この星の運命を変える巨大飛行物体が現れた。


側近A「総理、各国の動きも気になるところですがすぐに専門家、有識者を招集します。」


総理「ああ、頼む」

「米国の動きは気になるが」

「私が意思決定するには、大きすぎる問題だ」

「攻撃するにしても対話するにしても---」


側近A「総理、緊急会議設定が終わりました」

「すぐに会議開始します」


議論は、白熱を極めた。

”即座に、攻撃すべき”というもの。

”攻撃を仕掛けてこないということは、他に意図がある”というもの。

ただ、意図が分からない。

憶測の域もでない。

意見もまとまることなく。

時間が過ぎていった


---5時間後、事態は急変した---


側近A「総理、未確認飛行物体から日本語で要求が届きました。」

「読み上げます」


----------------------------------

この星で、1番強い将棋指しを3人集めろ。

我々と戦い勝った場合、この星を解放しよう。

負けた場合、その者たちの命は頂く。

そしてこの星を支配下に置く。君ら地球人は我々のために働いてもらう。

和解はない。


もし武力行使をしてきた場合、即座に攻撃対象は破壊する。


繰り返す、この星で、最も強い将棋指しを3名招集せよ。

勝負は、地球時間で3日後の5月26日 12:00、東京タワー最上階とする

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敵は、自らを「将棋星人」と。そう名乗った。


総理「将棋指し?」

「なぜ将棋なんだ?

侵略や、貿易、文化交流ではないのか?」


側近A「総理、アメリカはこの要求を受けて。

1日後、総攻撃をかけることに決定したようです。」


総理「すまんな。専門家たちよ

遠路はるばる来たにも関わらず無駄足になってしまったな」

「我々も、アメリカに乗っ取り同じ時に攻撃を開始することとする」

「自衛隊に連絡しろ。」


「あと、将棋連盟に

最強の将棋指しを選定してくれと伝えろ。」


「尚、この情報は、全国に放映、解禁する。」


「混乱や暴動は起きるだろうが

民主国家の我々が地球最後の時を迎えるかもしれないこの瞬間に。

国民に隠し事はできない。

それに、将棋連盟以外に強い将棋指しがいるかもしれない

なぜ将棋なのかは未だに不明だが---」


---将棋連盟---


事務員A「米田会長!総理から連絡がありました」


米田会長「うむ。敵の意図は、分からない....が

これは私が決めることではない」


「政府、テレビ局と連携し、すぐに代表3名を選定する」

「我々、プロ棋士が1人30点、3級以上の将棋指しに3点渡し、すぐさま投票を行おう」


「選択が怖いわけではない。もっと怖い局面は何度も指している。

ただ、人類の未来はみんなの一手で決める必要がある。」


即時、テレビ放映され情報は民衆に届いた。

国民の誰もが、アメリカ軍の攻撃に興味と期待を抱いていた。

ただ、将棋指しという特殊な人種を除いて。


1日後。

そして、すぐにXデーはやってきた。


米国は攻撃を開始した。


米国の攻撃は悉く撃ち落とされた。

いや、撃ち落とされたかも分からない。未知の何かに阻まれて攻撃が当たらない。


そして地球の兵器構造は敵に、学習された。

未確認飛行物体は地球上をすぐさま検索した。

同様の構造を持つ兵器が集まるエリアを瞬時にサーチし、

突如現れた光の柱がそのエリアを土地ごと焼き払い押しつぶした。

この星の軍、核兵器はすべて消滅した。


一昨日までいつも通りだった世界。

2日の間に、人々は、世界の終わりを悟り、社会システムは崩壊した。


------------

世間が、米国の攻撃に注目する中、将棋指し達は、

投票を行っていた。


将棋指しは分かっていた。

敵は将棋指しであることを。

そして、将棋指しは嘘をつかないことを。


そして信じていた。

自分があの日、憧れた

自分があの日、心を掴まれた

自分たちが選んだ将棋指し達が必ず勝つことを。


地球最強の軍隊はほろんだ

ただ、この星にはまだ将棋指しがいる。


過去最大規模の投票は終わった。

過去最大規模のたのだ。


この星、最高の三手を選び抜き。

いざ、尋常に。

対局開始。


1話完


2話

この星最高の三手

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