リアル体験談ノート
ポエムニスト光 (ノアキ光)
大阪・関西万博に行ってみた体験
2025年初夏
大阪・関西万博に行った日は、朝から少し曇っていましたが、気温は早くも暑さがにじんでいました。
東ゲート周辺の混雑ぶりにはちょっと驚きました。夢洲駅を出ると、すでに人の流れができていて、そのまま蛇行するように長く続く列に合流。遠くに見えるゲートまで、なかなか進まず、体感的には1時間は並んだと思います。日によっては1時間以上かかることもあるらしいので、運がよかったほうかもしれません。
中に入ると、まず感じたのは「とにかく広い」ということ。目の前にはシンボルの大屋根リングがそびえ、左右にパビリオンが広がっていて、どこから回ればいいのか一瞬迷いました。でも、全体的に歩道は広く、誘導看板も多くて、方向感覚さえつかめば動きやすいです。
とはいえ、パビリオン間の距離が想像以上にあるので、けっこう歩きます。普段から運動不足の自分には、これはちょっとした挑戦。万博って展示を見に行く場所だと思っていたけれど、同時に“歩き回るイベント”でもあるんですね。
疲れたなと思ったころ、ちょうど大屋根リングの下に差しかかりました。ここは本当にありがたい存在で、日差しを避けられる上に、風通しもよくて涼しかったです。ベンチもいくつか置いてあって、他の来場者もみんな思い思いに休んでいました。ちょっと腰を下ろして、水筒のお茶を飲みながら人の流れを眺める時間も、意外と好きでした。
ちなみに、休憩スペースはこの他にも園内にたくさんありました。小さな屋根付きベンチや、建物の影、モビリティ用の停留所近くなど、場所さえ探せば座れるところは割とある印象です。ただ、混雑時はやっぱり“椅子の争奪戦”になりがちで、なかなか空いていないこともありました。折りたたみのスツールを持っている人も見かけて、「なるほど、万博にはこれか」とちょっと感心しました。
飲み物に関しては、自販機も給水スポットもあちこちにあって助かりました。自販機はキャッシュレス専用だったりするので、スマホかICカードは必携です。給水所はやや見つけにくい場所もあるので、事前にマップでチェックしておくと安心かもしれません。
また、あとで知ったんですが、園内を走っている「e‑Mover」という有料の乗り物があって、これを使えば広い会場を効率よく回れるそうです。次回もし行くとしたら、暑い時間帯だけでもこれを利用したいと思いました。
全体としては、広くて混雑も多いけれど、案内がしっかりしているので安心感もありました。そして、何より「歩いているだけでも楽しい」と感じられる空間でした。パビリオンの見学はもちろん良かったけれど、それとは別に、ただこの場所にいて歩き、休みながら感じる空気や熱気自体が、万博ならではの体験だったと思います。
ではパビリオンのことを記します。
(無計画にうろうろした挙句、時間になり、予約して楽しみにしていたこちらに直行……)
パビリオンで、一番楽しみにしていたのが日本館。木造の円環状の外観は、まるで未来と伝統が手を取り合っているような印象で、すぐに目を奪われました。公式情報にもあった通り、国内産の杉材を用いたCLT(直交集成板)が内外壁に使用されていて、大小の木板が円を描くように並ぶそのデザインは、どこか自然の中にいるような安心感がありました。木の隙間からちらりと内部が見える造りも面白く、好奇心をそそられます。
事前に予約していたとはいえ、やはり人気パビリオンだけあって入り口には人だかりができており、20分ほど並んでからようやくチケットをスキャンして中へ。館内のテーマは「循環」──まさに「生きたパビリオン」と呼ぶにふさわしい空間でした。
最初の展示から驚きの連続です。生ゴミを再利用してバイオガス発電に活用する仕組みを、実際に体感できるインスタレーションは、視覚的にも分かりやすく、私たちの暮らしと自然のつながりをリアルに感じさせてくれました。
展示エリアは「Factory」「Plant」「Farm」の三つのゾーンに分かれていて、どれも個性豊か。
Factoryゾーンでは、ドラえもんが登場し、モノづくりの歴史と技術をナビゲートしてくれます。子ども向けかと思いきや、大人でも楽しめる作りで、工業技術の進化を楽しく学べました。
次のPlantゾーンでは、Factoryで出た廃棄物を微生物が分解して電気や水へと変えるプロセスが丁寧に示されていて、環境技術の最先端を見た気がしました。中でも発酵食品の「味」をガラス工芸で表現した展示が特に印象的で、美しさとメッセージ性の強さに思わず「すごい…」と声が漏れたほど。
最後のFarmゾーンでは、色とりどりの藻類を使った展示が幻想的で、水から新たな素材が生まれる様子がアートのように表現されていました。ここではキティちゃんがガイド役を務めていて、ユーモアと親しみやすさもありました。さらに、南極で発見された火星隕石の実物大模型に触れられるコーナーもあり、「まさか万博でこんなものまで見られるなんて!」と感動しました。
出口を出るとすぐ目の前に日本館のオフィシャルショップがあり、ドラえもんやキティちゃん、そしてミャクミャクのグッズがずらりと並んでいました。展示体験の延長として楽しめる商品が多く、クオリティの高さに感心。スタッフの方の対応も丁寧で、つい時間を忘れて買い物してしまいました。
日本館は、展示の完成度や演出力、そして「循環」というテーマに込められたメッセージの強さが圧倒的でした。自然とテクノロジーをつなげた構成がとても秀逸で、訪れて本当に良かったと心から思いました。ただし、人気館だけにやはり混雑しがちで、もう少し涼めるスペースや休憩ポイントが増えると、もっと快適に過ごせるのではと感じました。
続いて向かったのはアメリカ館。こちらは事前予約不要で、ちょうど夕方の時間帯ということもあってか、待ち時間は15分程度。入り口の左右に配置された巨大LEDスクリーンには、アメリカの自然や都市の映像が流れており、並んでいる間も飽きることがありませんでした。日本語でのアナウンスもあり、外国人スタッフの方も丁寧に対応してくれて安心感がありました。
アメリカ館の外観は、木造の三角屋根が2棟並び、上に浮かぶようなキューブ型の構造が印象的。夜になるとキューブが淡い光を放ち、幻想的な雰囲気に包まれます。館内は「つながり」「イノベーション」「旅」「宇宙」の4つのテーマで構成され、それぞれが視覚的にとても凝っていて、まるで映画のセットの中に迷い込んだような没入感がありました。
NASA監修のシミュレーション映像では、まるで宇宙に飛び立つような感覚が味わえ、最新のVR体験ではアメリカの未来都市を旅している気分に。特に印象的だったのは、展示だけでなく、ステージでのパフォーマンスや本格的なアメリカ料理を楽しめるフードエリアの充実ぶりです。アラスカのサーモン、メイン州のロブスター・ロール、そしてアメリカンビーフのコーンドッグまで、味も雰囲気も大満足でした。
出口付近にはグッズショップもあり、星条旗モチーフの雑貨やNASAグッズ、ポップなアメリカンアイテムが揃っていて、ここでも「アメリカらしさ」を感じる演出が光っていました。スタッフの誘導もスムーズで、80〜100人単位のグループごとにきびきびと案内される様子に、ホスピタリティの高さを実感しました。
万博を通して感じたのは、それぞれの国が持つ「未来への問いかけ」がとても刺激的だったということ。日本館では環境と技術の融合、アメリカ館では宇宙とイノベーションへの挑戦。それぞれが異なる視点から、私たちがどう未来を創っていくかを考えさせてくれました。
ただ、人気パビリオンはどうしても混雑が避けられず、事前予約やスケジュール調整には少し苦労しました。今後は多言語対応の充実や、休憩スペースの増設などがあれば、もっと快適に楽しめると思います。
それでも、この万博は私にとって、ただ展示を見るだけでなく、未来の一端を「感じ、考える」体験となりました。行ってよかったと心から思える、そんな一日でした。
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