コア
るる
第1話
2007年。突如として東京湾に球体型の物体が出現した。日本の技術により解析を続けると、それは無限のエネルギーを持つ物体だと判明した。人々はそれを
【コア】と呼んだ。
2008年にコアからエネルギーを摘出し生活エネルギーとして利用できるようになると、瞬く間に日本は先進国トップとなった。電気もガスもあらゆるエネルギーがコアのエネルギーに置き換わり、それが無限なのだ。日本は他国とは一線を画した存在となった。
2010年宇宙から何かが飛来し、埼玉県さいたま市に着陸した。人の形をしていながら全長が10メートル近くあるその生命体はエイリアンと呼ばれた。そのエイリアンは埼玉県さいたま市から東京湾まで何にも気に留めず歩き始めた。日本は焦った。どんな軍事力を持ってしても相手にならないエイリアンにも、コアという未開拓のものに未開拓のエイリアンが近づいているという事にも。日本はかつてないほどピンチだった。世の中では陰謀論が囁かれ始めた時、ついにコアとエイリアンは接触を果たした。エイリアンがコアに触れた途端眩い光と共に東京が消し飛んだ。
この事件以降コアを疑問視する声が上がった。コアは神が人間にもたらした試練や、コアは日本政府が作り出した空想のものだとさまざまな憶測が飛び交った。だが一つ確信している事実があった。それはエイリアンがコアに触れると甚大な被害が出るという事。それ以来コアがあった元東京湾を中心に新たな東京が作られた。新東京都ではエイリアンに対抗すべく、新たな武器を作り始めた。コアのエネルギーにより動き、エイリアンと戦う機械兵器【対生命体用人型機体】(Anti-lifeform humanoid unit)通称【アルフ】と呼ばれた。そのアルフに乗ってエイリアンと戦う人間のことを機体乗りと言い、今からその機体乗りになる資格があるのかどうかをテストする。
長々しいコアとアルフの説明で幕を開けたのは第49回地球防衛隊認定試験である。
「はい、お名前と年齢をお願いします」
「新山 新です。18歳。」
「はい、確認が取れました。どうぞあちらへ」
「住所とかいらないんですか?」
「試験では問わない事になっているんです。合格した場合こちらから調べる事になっています」
会場に着くとすごい人数が集まっていた。確かに合格すれば一発人生逆転。学歴も年齢も問わない最高の職業だがこんなにも受ける奴がいるなんて思ってなかった。
「これより!認定試験を始める!筆記試験などはない!実技試験により合否を判定する!尚、アルフに乗り受験生同士で戦うため、死者は少なからず出る!その覚悟があるやつのみこの場所に残れ!」
死者は少なからず出る。確かに受かったら命をかけて国を守るために戦わなければならない。そりゃあビビるやつも少なからずいる。そんな俺だって足は結構震えてるし、手先なんて飯も食えないくらい震えてる。ミスったら死ぬんだ。次なんかない。ゾロゾロと会場から出る人間が出始めた。
「締め切る!これより一切は途中参加を受け付けず途中退出を受け入れない!受験生総勢68人で実技試験に臨んでもらう!」
いきなり試験監督の後ろの垂れ幕が上がると、無数のアレフが鎮座していた。エイリアンとほぼ一緒の10メートル、背中にはロケット用の発射口、ほぼ人型に近くコックピットがあるであろう胸の部分だけ分厚くなっているのがロボットなのを際立たせる。
「只今より適応度チェックをする。早い者勝ちだ、順に列に並べ。」
適応度とは、コアのエネルギーをほぼそのまま利用して動かすため、現在の生態系にはないエネルギーを利用している。そのためそのエネルギーに適応できるか否かでロボットを動かせるかどうかが決まるのだ。0%なら全ての動きを自分で操作しなければならないし、100%なら自分の脳波だけで動かせるほどである
「番号276、新山 新!ここにのれ。」
俺の適応度は14%だった。受験生の平均が20な事を考えれば平均より少し下。自分の意思だけで簡単な行動なら出来るくらいだ。0よりマシだ。
「38、?すげぇ!」
受験生で一番高い数値を出したのは御手洗 玲って言うらしい。俺とは別次元だあいつは普通に受かるんだろうと考えると嫌な気持ちになった。
「これよりルールを発表する!エイリアンにもした機体を複数台用意している!硬さ、強さ、能力の高さに応じて点数をつけてある!低いので1高いので10だ!この点数を10点集めたものから合格となり出口に向かうことができる。受験生が乗っている機体を破壊した場合破壊した側に点数が移動する。それだけだ。」
さらっと人殺しを認めたことは置いておいて、一発逆転の10点の機体は正直気になる。俺が倒せるかはさておいて一目戦ってみたい気持ちもある。アレフの前に立ち深呼吸をしていると、隣の人間が話しかけてきた。
「俺嵐山!お前は?」
「新山、よろしく」
馴れ馴れしくあるが嫌ではない感じ、良い人間なのが滲み出ていた。
「お前武器なんにすんの?」
武器とはアレフに乗った時に使う巨大な武器である。種類はビックアックス、刀、剣、銃、ナックル、のいずれか一つを選んで戦う。俺の武器は最初から決まっていた。
「ビックアックスだな。緻密な操作が少なそうで使いやすそうだ」
「そうか!俺は銃だなやっぱり日本人の憧れだろ銃は〜!!まあお互い頑張ろうな!死なずに入隊先で会おう!アディオス!新!」
そう言い放つと颯爽とコックピットに乗って行った。元気をもらった気がする。嵐山のように颯爽とコックピットに乗るとアレフが起動した。システムはオールグリーンらしい。適応度14%。この数字で乗り切るしかない。歩くことはできる走ることはそれだけに集中すればできる。ビックアックスを走りながら振り落とすのは操作をしないと難しい。いわゆるハードモードってやつだ。
試験が始まった。みんなに合わせて走り出したがどこに行って良いかわからないため、とにかくまっすぐ走った。やがて一体の機体に遭遇した。胸の辺りにある2の文字、2点の機体である。飛びかかってくるその機体に対し俺は勢いよく斧を振り下ろした。ザクっと音が鳴ると機体は弾け飛びアレフ内に機械音が響いた
「新山新2ポイント獲得。」
初勝利に胸が震えた。そうこうしている間に爆音が後ろで聞こえた。残り時間は1時間。機体の数は減っていく一方でこのペースでは間に合わないと考えたおれは、爆音のなる方へ行き漁夫の利を考えついた。爆音のなる方へ行った俺は来たことを後悔した。そこにはなんだと機体を斬り、刃こぼれした刀を持った一つのアレフがそこに立っていた。睨み合うと機械音が響いた
「嵐山健のアレフ排除により、御手洗玲に5ポイントが移動します。総ポイント13点。」
俺は怒りに打ち震えた。
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