おとぼけで天然の聖女様~僕の前だけで天然の素顔を見せてくれる聖女様が可愛い件~

高月夢叶

1章 聖女様との出会い

第0話プロローグ/新歓コンパの出会い

うちの大学には聖女様と呼ばれる清楚可憐な美女がいる。 

彼女の名前は花澤はなざわざわ万里愛まりあ。大学二年生。 

 

 完璧な才女で、誰に対しても分け隔て無く接する立ち振る舞いで聖女のような性格で微笑みをくれる。その性格と相まって、彼女のライトブラウンのキレイなストレートヘアーヘアーまふまふで柔らかそうな男を虜にする大きなバストは特筆するべきことではなくあくまで彼女の魅力は整った顔立ちに時折見せるどこか抜けたあどけない少女の様な幼さが合わさり綺麗と可愛いが混合して男子学生の憧れの的となって人気が高く、一部の生徒から『聖女様』という愛称で呼ばれている。 

 

大学一年の頃。武藤むとう和志かずしも彼女を目の保養目的で追うだけの陰キャに過ぎなかった 。

 花澤さんは、僕が暮らすアパートのお隣さんなのだが、だからといって彼女と関わり、どうこうなろうなんて露にも思っていなかった。


 だが、現在、彼女と共に卓を囲み共に酒をみ交わす秘密の関係になっていた。


***

 

彼女との出会いは、一年前の大学入学当時に遡る。 

 

 

新人歓迎のコンパの飲み会のこと。 

 

花澤は、2年の先輩から、無理やり酒を飲まされそうになっていて、彼女はそれを必死で拒んでいた。 

 

「おい、一年。俺からの酒が飲めないのか!?」強引に酒を飲ませようとする先輩。 


  必死でそれを拒む花澤。斜め向かいでその光景を見ながら酒を飲む僕。


僕は、それを見かねて気づくとグラスを置き、二人の間に割って入った。 

 

「あの、先輩。彼女嫌がっているじゃないですか。無理やり飲ませるのは良くないですよ」 

 

と酒が回った勢いでいつもは発揮しない正義感が働き、二人の間に割って入り花澤を助けた。 

 

「お前には関係ないだろ!引っ込んでろ一年坊主」と酒が回っているのかウザ絡みされた。


「いや、先輩と一年しか違いがないのに坊主はないですよね?これだから酔っ払いはー」


正直、僕は酒も酔っ払いも嫌いだ。酒に酔って気分が良くなるというが僕に言わせればただ気分が悪くなるだけだ。


 持論にはなるが、コーヒーを飲んでいる時の方が一〇〇倍気分がいい。


 正直、こんな飲み会には来たくはなかった!


 そして、このことがきっかけで、僕たちは出逢ったのだった。 

 ***

飲み会からの帰り道、花澤と一緒になって、帰路につく。 


 女子の一緒に帰るなんて、高校の頃だったら、まず有り得なかったイベントに緊張して言葉が出なかった。 

 そんな沈黙を打ち破るかのように花澤からおもむろに酒を頑なに拒む理由が語られる。 

 

 

 「わたしがお酒を拒む理由は少し前に遡るのですが、あれは高校三年の冬。学校の帰り道でコンビニで買ったアルコールチョコを買い食いしたんです」 

 

「わかります。よく友達と買い食いしますよね」 

 

僕は、したことないけど。彼女の言葉を肯定した。いつもぼっちでの買い食いしか経験がなかったが、それは心の中に留めておいた。 

 

「そこで、わたしは、は酔っ払って友達に素の天然なありのままの性格で本音をぶつけたことで、相手を傷つけてしまったことがあって、それからは、人前では素の性格は見せないで口数少なく振る舞うようになったんです」とここまで一気に語る。 

 

「そう、だったんですか。相手を傷つけないために素の性格を封印したのですね」



 

「そうです。大学に入学を機にここのままではいけないと思い、『聖女様』と言う鎧を纏い、人前ではお酒は飲まないと決めて、大学のキャンパスライフをスタートさせたんです」 

 

「わたしがお酒を飲まない理由を話したのは、武藤くんが初めてなんです」 

 

彼女の顔を見ると月明かりのお陰で頬が軽く赤くなっているのがわかった。 


 でもそれが、照れや羞恥からくるものではないのを僕は気付いている。まだ、初対面なのだから。



「本当はみんなとお酒が飲みたい。でも、それはできないだから武藤くん、わたしの飲み友達になってくれませんか?」 

 

「ええっ僕がー!?」突然の申し出に僕は素っ頓狂な声を上げてしまった。 

 

「そうですよね。イヤ、ですよね。わたしなんかと…。それなら無理にとは言いません……」 

 

「違うちがう!相手が僕なんかでいいのか?って意味ですから!」慌てて訂正する。 

 

そうだよな。こんな反応したら嫌がっていると思われても仕方ないか。 

 

「なんかなんてそんなことありません!武藤くんだからいいんです」 

花澤さんはむしろ歓迎してくれていた。なんで僕なんかをと信じられない気持ちだった。 

 

「そう、なんですか。僕でよかったらいつでも相手になりますよ」 

 

でも、このモテ期というビッグウェーブに乗ってみようと思い快く了承した。 

「あの敬語はよしてくださいわたしたち同い歳なんですから、フレンドリーに行きませんか?」 

 

「う、うん。いいな!」僕はフランクに言った。 

 

が、女の子にタメ口なんて小学生以来で違和感が拭い切れなかった。 

 

「そうそう、その感じです!」花澤さんは満面の笑顔で言う。 

 

「あれ、でも花澤さんは敬語なんだね」ふと疑問に思ったことを訊く。 

 

「実はわたし、男の子にため口を使ったことがなくて恥ずかしいので敬語でお許しください……」 

 

えー!なにそれ、ズルい。僕だって女の子にタメ口は恥ずかしいのに! 

 

「わかった。恥ずかしいなら、今のままでいいよ。何より、その方が清楚な感じがして、可愛いと思うよ」 

 

「嬉しい!これから、よろしくお願いしますね」そう花澤さんは柔和な笑みを浮かべるのだった。 

 

あれ?この選択間違っていなかったむしろ、トロフィー獲得したんじゃないかな?! 

 

「じゃあ、わたしとマインの交換をしてくれませんか?宅飲みするときに連絡を入れるので」 

 

「い、いいの!?」いきなりの申し出に僕は驚いて大きな声が出てしまった。 

 

「なんでちょっと動揺しているんですか?!」フフフと花澤が」笑う。 

 

「べ、別に動揺していないしっ!」 

 

女子とのマイン交換に動揺するなという方が無理な話だ。 

高校の頃に女子との交流のなかった僕にとって、初めての女子の友達登録だったからだ。 

 と同時に心の中で興奮していた。別に初体験じゃない感を装い、慣れた手つきで連絡先を交換した。 

 

 こんな時のために、友達登録のやり方は予習済みなのだ。 

 

それからと言うもの花澤さんは、大学の一週間の講義が終わる金曜の夜になるとマインで連絡をして俺を自分の家に招いて一緒に、宅飲みをするようになった。 

 

 花澤は僕の前でだけ、素の性格を見せて、天然で抜けた柔和な顔を見せるようになのだった。 

 

 彼女は素の性格は隠したいと言っていたが、僕には素晴らしい一面だと思った。


 いつか、花澤さんにもありのままの自分を素晴らしいと自分を肯定して欲しいと思った。


そうして、僕たちは大学の飲み会には参加しないで、誰かと酒を飲んで語り合いたい時に、お互いを誘って 宅飲みをする秘密の関係が始まったのだった。


               ***

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