第5話 提案と行動

 「これからのことを話したいと思います」


 村長とジョーダンの会話を聞いていた一同がビアンカに注目する。

 

 ジョーダンの話から村を柵で囲う時間がないことがわかったので、すぐにでも男爵邸に避難することを提案した。

 ゾンビからの避難は長期戦になるだろうから、着の身着のままというわけにはいかない。できるだけ食料や衣類を持っていった方が良いだろうと話す。

 村長の奥さんが、畑の作物も収穫できるものは収穫して持って行った方が良いかもしれないと提案してきた。

 大荷物になるだろうから荷車や馬と人手が足りないところへは手伝いも必要だと、アベルが提案する。


 ずっと籠城するわけにもいかないし、武器になるものも必要だとビアンカが提案する。ゾンビは頭が弱点なので、斧やナタ。それから、鋤や鍬などの農具も武器として使えないだろうかと相談する。

 

 籠城するなら薬もあった方が良いのじゃないかと村長の奥さんが提案する。

 他にもあった方が良い物、必要な物を提案していく。



 あらかた出尽くしたところで行動開始となる。

 時刻は、朝には遅く昼には早い時間。人によっては昼食の支度を始めているかもしれない。ならば自宅にいる人も多いだろう。


 いきなり村民全員で押し掛けるわけにはいかないので、村長は男爵邸に避難の許可をもらいに行くことに。男爵様はお優しい方なので許可をもらえるだろう。道すがら村民にゾンビのことを話し避難するように促そう。


 顔の広い村長の奥さんは、ご近所からゾンビのことを話し避難するように促す。話を聞いた人達から、他の人達へと情報を回してもらうことにした。時間が惜しいので、村長と村長の奥さんはすぐに家を出た。


 木こりのジョーダンも、森に近い村のはずれにある自宅に向かいがてらゾンビのことを話して避難するように促すことにした。それに忘れていたけれど、そろそろ午後から森で仕事をする奴らが森に入るかもしれないから急がないと。


 行商人は、村を出ることにした。

 アベルから一緒に避難しないかと誘われたが、固辞した。行商人は自分の性格が一つ所にとどまることを良しとしないことを知っていた。木こりのジョーダンが襲われた森と反対方向の村に向かうことにする。

 旅立つにあたり、荷馬車を軽くするために商売物をいくつか置いていくことにした。宿として借りている家に置いていくから、後で持っていってほしいとアベルとビアンカに伝える。

 アベルから嬉しい提案があった。商品の代金に足りないかもしれないけれど物々交換ということで、といくばくかの現金と手に持てるだけの食料と武器代わりの農具を渡された。



 行商人も出て行った後の村長の家で、アベルはビアンカを見つめていた。

 思案顔だったビアンカは何かを閃いたようだった。


 「ビアンカはこれからどうするんだ?」

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