主婦四方山奇譚

ネコメチヨマル

序文

私の父方の親族は「見える」人たちばかりで、彼らの体験談をよく聞かされていた私は、幼い頃から、いわゆる「実話怪談」に触れて生きてきた。

しかし、私自身はうっすらと「なんかここいやだなあ」という気配を感じたりする程度で、ハッキリと姿を見たり、体調に異変をきたしたりということは一切なかったので、そういった体験をすることを、ちょっとなめていた節がある。

恥ずかしながら心霊スポットなどにも進んで遊びに行ってしまうような、ある意味怖いもの知らずというか、怖いものを知らないがゆえの、無鉄砲な若者として立派な成長を遂げた私。

これから書く話は、そんな私が体験した不思議だったり、なんかちょっといやだったり、だけど愛しい思い出の数々だ。

その辺によくいるバカな若者だった、一介の主婦の四方山話のようなものかもしれない。真偽の判断も、これを読んでいるあなたたちひとりひとりに任せる。

なぜなら、私も自身に降りかかったことだというのにまるで信じていないからだ。


でもこれらは今もまだ、説明がつかない何かの気配とともに私の中にくすぶっている。

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