【資料220:セキュアチャットログ(相沢・X・Hermit)】

Hermit: やったぞ…! Xの提供してくれたコア・アルゴリズムの脆弱性リスト、ビンゴだ。ヒマワリのスコアリングには、特定条件下で「非合理な選択」への評価がバグ的に上昇するパターンが存在する。


X: それは私が意図的に埋め込んだ「詩人のための裏口」だ。効率一辺倒の世界で、非合理な美や衝動を希求する者への、せめてもの救済策だった。まさか、武器になるとはな。


相沢: それを使えば、エラーたちに干渉できるのか?


Hermit: 干渉じゃない、誘導だ。俺が今から、その「裏口」を刺激するトリガー情報をネットの海に拡散させる。無意味な文字列、忘れられた詩の一節、不協和音だけの音楽ファイル…。ヒマワリのスコア上位者で、かつシステムとの同期に葛藤を抱える「エラー」候補者だけが、このトリガーに無意識に反応するはずだ。彼らの端末が、この情報を「心地よいもの」として優先表示し始める。


相沢: 彼らは、どうなる?


Hermit: 自らの意思で、システムが推奨しない行動を取り始める。ほんの小さな逸脱だ。だが、それが数千、数万の規模で同時に起これば、世界は無視できないノイズに気づく。いくぞ、オペレーション・ノイズ、開始だ。

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