反魂の魔術師
みなと劉
第1話
かの昔に【存在】したとする【反魂の魔術師】。
現在では、書物の中でしか反魂の魔術師のことは知ることは出来ないとされる。
どうしてか?
それは、反魂の魔術師は今から1000年前に実在したとされる人物であるから。
【ラキア村】
反魂の魔術師が産まれたとされる場所。
地図上で確認すると現在は【ラキア村】は【希望と始まりの街ラキア】になっている。
つまり、この1000年で村から街になったということ。
【僕】は、このラキアに産まれ、ラキアの街の商人の息子として生を受ける。
僕の夢は、ラキア村で産まれたとされる反魂の魔術師は本当に居たのか?それとも書物だけの所謂【フィクション】の産物なのか?それを知りたい。
ある時、僕は父の経営する【よろず屋】の手伝いをしていた。
その日の午後、僕はいつものように棚の整理をしていた。埃をかぶった古道具の山に手を伸ばしていると、奥から一冊の分厚い本が出てきた。
表紙は革で装丁され、中央に見慣れぬ紋様が刻まれている。まるで呼ばれるように、その本を手に取った瞬間、胸の奥がざわついた。それはどこか懐かしく、同時に恐ろしいような感覚だった。
「おい、それには触るな」
と、奥から父の声が飛ぶ。
「それは昔、祖父の代に持ち込まれた品でな……誰も開けてはならん、と言い伝えられてきた。」
だが僕は、父の言葉を聞き流すかのように本を開いた。ページをめくるとそこには
【魂を呼び戻す術】
と題された項目がありさらに
【ラキアの泉】
という地名が記されていた。それは、街の外れにある、今では誰も近寄らない古井戸のことだ。
「この泉が、反魂の魔術師と何か関係があるのか……?」
本に導かれるようにして、僕はその夜、こっそりとラキアの泉へと向かった。月明かりの下、泉をのぞき込むと、そこには信じられない光景が広がっていた。
静かな水面に、見たことのない文字が浮かび上がっていたのだ。
まるで、1000年前の過去から僕に語りかけてくるかのように――。
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