1085文字 悪魔の囁き
なあ、今日ぐらい、サボったっていいんじゃないか……?
ケケケ、どうせ読んでるやつなんか二、三人しかいないしさあ。
ね、一日千文字、ここまで続いてるんだから、一日ぐらい休んでもいいじゃないか。
今日の昼中家で熱唱してたこと、バラしちゃってもいいんだぜ?
ミセスの『天国』を延々と歌って、表現模索してただろ?
結局妥協したみたいだけどよお。カラオケ採点では、「抑揚」と「リズム」はほぼ満点なのに「音程」と「安定感」がひどいもんな。
自分の耳でもズレてるってわかってるくせに。
ボイトレでも通いやがれ。
歌? 俺様が?
俺様はだな、歌うと聴いた人間が呪われて、耳が聞こえなくなったり頭痛がしたり……っておい、ただ下手なだけとか言うなよ。ほんとに歌っちゃうぞ?
……なんで乗り気なんだよ。
あのなあ、なぜそこまでして他人の過去を知りたがる?——いや他悪魔か。ってそんなのはどうでもいい。
え? 作家の性分?
Webアマチュアひよっこ作家が一端の口を聞きやがる。
え? Webアマチュアひよっこにも一端の矜持はあるって?
わかったわかった。認めるよ。
認めるからその手を離せ。耳元で叫ぶのはやめろ。耳が壊れる。
耳元で歌うのもやめろ。ポテンシャルは感じるがところどころ音程がズレてて我慢ならん。
あと悪魔の前で天国歌うな。
おうおう、書き始めたじゃねえか。
なんだよ。今日は歌いまくってたから、「声」がテーマ?
で、ヒロインの名前が「湖絵」?
そんな名前のやついるかよ。
え? 創作だからいいんだって?
うそー、お前もほんとは同じこと思ってんだろ。
その証拠に、手が進んでねーぞ。
え? お前が話しかけてくるせいだって?
人のせいにすんなよ。人になすりつけるやつは最悪だぞ。
わかったわかった。話しかけないから。あっち行ってるから、好きなように書きやがれ。
……。
……。
……。
あのー?
キーボードの音が全然聞こえないんですが?
ダイジョブですかー。
お母さんが寝ろ寝ろうるさいですけども。
もう十時半だもんね。
友だちには十時就寝って言いふらしてるのにほんとは十時半とか十一時とかに寝てるの、俺様は知ってるんだからなー。
言いふらしてもいいんだぞー。
え? もう十時半に修正しておいたって? 何を?
LINEのステータスメッセージ?
ほんとだ。
うーん。
まあいいや。
で、書けるのか? 書けないのか?
どっちなんだい?
うるせえ。筋肉芸人のパクリとか言うなよ。
こっちはほぼ骨と皮だけなんだよ。
笑うなよ。
しゃーねーなー。
じゃ、俺様の囁きを書きやがれ。
読んだやつら、片っ端から呪ってやんよ。
……。
いたっ。
拳骨落とすな!
耳元で歌うな!
わかった! わかった! 呪いなんかしないから!
おやすみ!
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