ブラックユーモア

志に異議アリ

白い空間(無)


「またですか……」


「はい……またダメでした……。」






わたしは記憶リセット係の加納です。死んだらまずわたしのとこに皆さん来ます。


死んだら即天国と地獄?そんな甘くはありませんよ?プロセスを踏まないと行けるとこも行けません。


各々課題を振られ、クリアした者だけが次のステップへいけるのです。



そこでこの……目の前にいる方の話なんですが……


「課題なかなかクリアならないって人いますけどね?あなたほど時間かかる方はなかなかいないですよ?」


「そう言われましても、わたしだけ課題かなり難しいとかじゃありません?」


「いえ、そんなことないです。チャッチャとやれそうですけどね?」


「え……チャッチャ……毎回わたしを殺す人を逆に殺すことがですか?」


「そうですよ!悔しくないんですか?毎回毎回おめおめと殺られてきて」


「悔しいに決まってるじゃないですか!」


「じゃさっさと殺りましょう!」


「はい!なんかいつもいつもごめんなさい!」


佐藤さんに喝を入れてみるが、また同じ未来が来る。と辟易している……




私、加納克明 享年54歳。

生涯独身でした。

市役所で働いていた時、生活に困窮した男がどうにかしろ!と暴れ、課長にアゴでお前どうにかしろのご指示を賜り、嫌々止めに入った私が不運にも刺され……ご臨終となりました。ここに来た時、私の前職者が課題を終わらせたタイミングだったので、そのままこの役職にスライド転職……天職?まあ、そういうことです。


なんかここの情報を持った生き返り者がアニメのネタにして人気だ。とか聞きましたが、

死んだ後までの手続きしてないから少し役所の手続きと違うみたいですけどね。


そんな私もこの役所で課題終わるとその後どうなるかまでは分からないんですよ。

人間には生まれ変わりたくないですけどね。


私の課題は【人間を嫌いにならない。】

これをここでの時間でいう100年?クリアしたら昇進?上(神様?)からお呼びがかかる。らしいです。


他人にあまり関わらない生き方をしてきたので、ここでも同じようにやってたら表情筋が動かないようになってきてしまいまして……最近は寝る前にマッサージしないと攣るのが悩みの種なんです。でも、後もう少しで難なくクリアできそうなんですが……


少しイライラしてしまうんですよ。この佐藤さん……


早く殺してくんないかなあ……


佐藤さんの場合、課題をこなしに生前の人生をやり直ししてくるのですが、これが何回繰り返しても同じ奴に殺られてしまう。


記憶リセット係に来ても人生しかリセットできない佐藤さんが不憫でしたよ?最初はね……でももう死んだ目で対応しているんです。まあ死んでるんですけどね(笑)



どんなに頑張っても足元をすくわれる人生ですね、毎回毎回。


バカなんだろうか?いや、バカだ。記憶リセットしてないんですよね……この期間。


人を信じ過ぎるとこんな終わり方しかできないのでしょうね……


少し冷めた性格なもんで。失礼しました。

本題に移りましょう。


「いいですか?佐藤さん……人は裏切るものだ。ということは身に染みているでしょう?」


「……はい。でも……人を殺すことはいけないことだと思うんです。」


「……」


「この課題をクリアしたとして、私は天国に行けるのか?と途中から疑念が……加納さんならわかりますか?」


「上からの指示ですので……」


「それは、目をつむる。ということでしょうか?」


「さあ、私にはなんとも」


「そんな……」


「人は何かを殺して生き長らえるものですよ?そこに違いはないのかと」


「そういうものなんですか?」


「さあ」


「そもそも課題ってなんなんです?」


「次のステップに移行するために必要な手続きです。としか……」


「考えたことないんですか?」


「いちいち住民票移動届出しに来た人に理由聞く役所ないでしょ?そういうことです。」


「お寂しい考えの方なんですね……」


「!!」


「私の何を知ってると言うんですか!失礼なっ!」虚を突かれたのか顔に怒気を露わにしてしまう。





―――ジリリリリリリ―――!!

【加納克明記憶リセット係から除籍。繰り返す。加納克明記憶リセット係除籍。】―


やかましい警報とともにアナウンスが流れた……


「佐藤……佐藤てめっ!?」ガタッ!!


加納さんが落とし穴に引っかかった瞬間の様に地面に消える。


「加納さん……え?加納さん?」




―――佐藤さん―――


「はい?」


アナウンスから声が届く。


「佐藤さんは規定の回数、課題とされた

【殺される前に相手を殺す。】を実施しなかった為、天国行きが確定しました。」















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