謎のスポーツ④

「小型の航空機には、どんなものがあったかしら?」アヤナが記憶をたどるように口にした。

「えっと。グライダーやパラシュートというものがあったと判明しています」マライカが応えた。

「しかも、グライダーもパラシュートも布を使っていたことがわかっています!」マライカが興奮気味に追加した。


「布かぁ。それなら僕たちにも再現できそうだけどね。残念ながら、どんな形状をしていたのかが不明だ」セクーが肩をすくめてつぶやいた。

「布が発見されることは、まずあり得ねぇ」エコンが続けた。


「誰か、“箒”を少しでも連想させる技術に心当たりはないかしら?」アヤナが皆の顔を見ながらたずねた。

 しかし、それに応えるものはいなかった。


 リーダーのズベリが口を開く。

「わしも箒に関係していそうな技術は思いつかん。じゃが、こうも思うんじゃ」

 全員がズベリの話に耳をかたむける。

「ロストテクノロジーの時代は長かった。そして、今の我々からは想像もできないほど広かった。つまり、この箒、さらに言えばクィディッチなるスポーツは、ロストテクノロジーの中のごく短期間、あるいは限定された地域にのみ存在していたものなのではなかろうか?」


「限定された地域……。それこそが、この“ホグワーツ”なる場所ということでしょうか?」アヤナが真剣な表情でズベリにたずねた。

 ズベリはうなずく。

「場所、で考えるなら、その可能性は極めて高い」


「つまり、このホグワーツという場所は、ロストテクノロジーの時代においても、更に特別な場所であったということですか?」セクーもたずねる。


 マライカがうなずいた「あり得ると思います。古文書に時折出てくる“呪文”という言葉。あたし、見たことも聞いたこともないんです」

「それだけ閉鎖的な場所。あるいは、特別な場所だったということか?」エコンがそれに応じる。


 ズベリがうなずいた。

「言語が限定されているのは、そこが閉ざされた場所であったと考えるのが自然じゃろう」

「では、このホグワーツという場所は、ロストテクノロジーの中でも特別な場所だったということですね?」セクーが確認する。


「もしかしたら、古文書に出てくる“魔法”という言葉。ロストテクノロジーの中でも、更に特別なロストテクノロジーにのみ使われた言葉だったのではないかしら?」アヤナが顎に手を当てながらつぶやいた。


「あり得るな。こんな奇想天外な技術、一般に知られていたなら、俺たちだってとっくに見つけてるだろ」エコンが同意した。


「秘匿されたロストテクノロジー。僕たちは、その一端に触れているということか」セクーが興奮を抑えられずに口にした。

「マライカ、この古文書の舞台はイギリス地区だったよね?」セクーがマライカに確認する。

「はい。それも、ロンドン地区が特に重要な場所だと考えて間違いありません」マライカも興奮気味に応えた。


「ロンドン地区。古い地下遺跡があったわね」アヤナも若干興奮気味に口を開く。

「だとするとよぉ。トレジャーハンターのヤツらも、結構いるんじゃねぇか?」エコンも身を乗り出している。

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