第5話ミカちゃんとの思い出

 小学生の頃、近所にミカちゃんという2歳くらい年下の女の子がいた。

 なんでか知らないが、いつの間にか夏休みはよく遊ぶようになった。

 女の子と遊ぶといっても、まだ女の子がどんな遊びが好きかとか全く知らない頃、ミカちゃんと遊ぶ時は、虫取りくらいしか遊び方を知らなかった。

 私がセミなどを捕まえると、ミカちゃんは大げさなほど喜んだ。ミカちゃん、けっこう私を喜ばすのがうまかった。女の子がセミとか好きだとは思えないのだが、ミカちゃん、全力で喜んでくれた。

 よく公園のベンチなどで、二人でたわいもないことを話していた。だが、どうもその様子を近所の私の同級生が見ていたらしく、次第に「ポンポコ、女の子と遊んでばかりいるよな」とからかわれ始めた。

 私はそれがすごく嫌だったが、ミカちゃんは周りのことはあまり気にしていないようで、相変わらず、私を楽しませるのがうまかった。

 しかし、ある時、突然「ポンポコ君、こんど引っ越すことになったの」とミカちゃんがいい出した。私はかなりショックでなんと言っていいのか分からなかったが「さみしくなるね」とだけ一言いった。

 それがたぶん最後の言葉だったと思う。ミカちゃんは引っ越していった。


 ミカちゃんの笑顔、とても素敵だった。

 それ以来、ミカちゃんがどうしているのかは、全く知らないのだった。

 元気にしているといいなぁ。

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