第9話 決別

第9章 決別


誠の告白から半月ほど経過した、とある日曜日の午後。

私は、あの日と同じ、中目黒のカフェのテーブルにいた。


誠は、約束の時間ぴったりに現れた。

どこか憔悴しているように見えたけれど、それでも背筋を伸ばし、私の前に座った。


「声をかけてくれて、ありがとう」


彼はそう言って、ほんの少しだけ微笑んだ。


「・・・うん」


私も、静かに頷いた。


カップに注がれたコーヒーの湯気が、まるでさっきよりも淡く見える。

あれから、何度も何度も考えた。

自分が何を言いたいのか、何を伝えたいのか。


でも、席について向き合った瞬間、余計な言葉は全部、消えていた。

私は、まっすぐに言った。


「・・・誠くん」


彼は、目を逸らさずに受け止めてくれた。


「私・・・あなたのこと、もう恨んでない。怒ってもいない。

むしろ、あなたが話してくれたこと、全部ちゃんと受け止めたつもり」


誠は、ほんの少しだけ目を伏せた。


「本当に色々考えたんだけど・・・でも。

・・・やっぱり、私は・・・

あなたと向き合うのは、難しい」


決めていた事だけど・・・改めて言葉にした瞬間、自分の中で何かが音を立てて崩れ落ちていくのを感じた。


誠は、一瞬だけ息を止めたようだった。

でも、すぐに、力無く微笑んだ。


「・・・そっか」


その声は、ひどく優しくて、そして、少しだけ寂しげだった。


「そうだよね。・・・そうなるよね」


「ごめん・・・誠くん。」


「謝らないで。遥が向き合ってくれただけで、僕には十分だよ」


誠は、まるで何かを手放すように、ふっと肩の力を抜いた。


「自分のやったことの重さも、馬鹿さ加減も・・・わかってるつもりだ。

 これ以上は、望んではいけない事も。」


「・・・。」


「それでも、正直に言うとね——悔しくないと言えば、ウソになる」


その言葉に、私は目を見開いた。


「こんなふうにしか、君と向き合えなかった自分が悔しいんだ。情けなくてさ」


彼は、ゆるく笑った。


「自分自身、成長したつもりだったけど結局、大人になりきれていなかった。

それに気づかせてくれたのは、遥だよ」


私は、喉の奥がつまったように感じた。


「出会った時から、遥にはもらってばかりだったね。ありがとう。

・・・本当に、ありがとう。それが遥の気持ちなら、受け止めるよ」


あの時のセリフと同じ。

誠の優しさは変わらない。

彼は、席を立つことも、手を差し出すこともなく、

ただ、最後まで、私の目を見て、そう言った。


「お互い、別の道を歩むことになると思うけど、どうか——どうか、幸せになって」


私は、小さくうなずいた。


「・・・あなたも」


それだけを伝えた——その瞬間だった。

こらえていた涙が、音もなく、頬をつうっと伝った。


自分でも、いつ泣き出したのかわからなかった。

ただ、胸の奥に溜まっていたものが、すべてこぼれ落ちていくような感覚だった。

慌てて手の甲で拭おうとしたけれど、涙はあとからあとから溢れてきて、どうしても止まらなかった。


誠は、昔からずっと優しかった。

私から理由なく別れを切り出したあの時も、あれは自分の未熟さだと受け止めて、私を責めることは一度もなかった。


仕事でも誠実に向き合い続けた結果、信頼していた企業に背を向けられ——

それでも、彼は再び立ち上がった。



そして私と再会した時、AIの力を借りてまで近づいてきたのは、ただ、私との縁を繋ぎたかったから。

誠のすべてのベクトルは、いつだって、私に向けられていた。


なぜ——誠は、AIに頼ったのだろう。

あの真実の告白を聞いた今ならわかる。

きっと、AIなんてなくたって、誠はずっと、私にとって最良のパートナーだったはずだ。


彼の気持ちは、痛いほど、わかっている。

それでも——ここまで来てしまった。

もう、後戻りはできなかった。


誠は、何も言わず、ただ黙って私を見ていた。

その目には、優しさと痛みが、まるで同居しているかのように滲んでいた。


私は、そのまなざしを見て、ますます涙が止まらなくなった。

泣きたくなんて、なかった。

だって、私はもう決めたはずだった。これでいいって、ちゃんと前を向くって。


なのに——

なんで、こんなに苦しいんだろう。

どうして、こんなにも、この人のことを、好きだったんだろう。


「さよなら。遥、元気でね。本当に、今まで・・・・ありがとう」


誠は静かに立ち上がり、力無く微笑むと店を後にした。

私は、その背中が見えなくなるまで——

ただ、じっと、席に座ったまま、見送っていた。


※ ※ ※


1ヶ月ほど経過し、確実に冬の気配を感じる様になった週末。

タカタクと私は、駅前のショッピングモールで並んでアイスを食べていた。


「さすがに、この季節にこのフレーバーはなしかな?」


タカタクが、自分の持つミントチョコのアイスを眺めて苦笑する。

私は思わず笑ってしまった。


「いや、似合ってると思うよ」


「それ、フォローになってない」


肩をすくめるタカタクに、私はほんの少しだけ微笑んだ。


デートとして会うのは、これで3度目。

敬語は自然と消えた。

一緒にいて、嫌なところなんてひとつもない。

気配り上手で、話題も豊富。

誠みたいに妙な間を作ることも、沈黙で空気が重くなることもない。


それに、今の私の気持ちを、何も深くは聞かないところも。


「遥ちゃん、来週のイベント、一緒に行かない?」


ふと、タカタクが言った。


「え?」


「やまゆりホールで、クラフト市があるんだって。いろんな作家さんの作品が並ぶらしくて。

よかったら一緒に見ない?」


「あ・・・うん」


私は、一拍だけ間を置いて、頷いた。

自然に、というよりも“そうすべきかな”という感覚で。


——このまま、こうしていればいいんじゃないだろうか。


楽しい時間は、確かにそこにある。

タカタクと話していると、心が軽くなる。

何も考えず、笑っていられる。


でも、その“何も考えず”が、ふと怖くなる。

私は、何かから逃げるために、ここにいるんじゃないだろうか。


「・・・遥ちゃん?」


タカタクの声に、はっと我に返った。


「ごめん、ちょっと考えごと」


「そっか。無理しないでね」


タカタクはそう言って、ふわりと笑った。


私は、曖昧に微笑み返した。


——相変わらず優しいな、この人。


でも・・・それだけじゃ、何かが足りないのかも。

自分でもうまく言葉にできない“何か”が、心の奥に静かに澱んでいた。


アイスがほんの少し溶けて、手の甲にひとしずく垂れた。

私はそれを、慌てて拭いながら、

心のどこかで“また今日も、何かをごまかしてる”と感じていた。


——こんなふうに、曖昧なままでいいはずがないのに。

それでも、私はまた“微笑む”ことで、会話を続けてしまっていた。


※ ※ ※


土曜日の午後。

青空の下、クラフト市は賑わっていた。

色とりどりのハンドメイド雑貨が並ぶ通りには、親子連れやカップル、観光客の笑い声が溢れている。


「ほら、これ、遥ちゃん似合いそうじゃない?」


タカタクが手に取ったのは、シンプルなシルバーのバングルだった。


「え? あ、でも、ちょっと可愛すぎない?」


私は笑いながら手を振った。


「いや、遥ちゃんって、シンプルなやつの方が逆に映えるからさ」


そう言って、冗談っぽく差し出すタカタクの手は、温かかった。

——ありがとう、タカタク。

そう思いながら、私はそっとバングルを受け取った。


「じゃあ、試してみる」


「うん」


そんな些細なやり取りが、心地良かった。

美味しそうなカフェワゴンでチュロスを買ったり、手作りキャンドルに目を奪われたり。

タカタクは気負わず、無理にリードしようともせず、でも自然に、私を楽しませようとしてくれていた。


私は、笑っていた。

でも——

胸のどこかに、小さく残る影が、完全には消えていなかった。


タカタクの言葉も、笑顔も、温かさも、

全部、ちゃんと届いているのに——

どこかで、誠のことを考えてしまっている自分がいた。


——これじゃ、だめだよね。

私は、自分の胸の内に小さく問いかけた。

その問いに答えが出せないまま、私はまた、タカタクに微笑み返した。


陽が傾き始めた頃、広場の一角にあるベンチで、私たちは並んでコーヒーを飲んでいた。

賑わっていたクラフト市も少し落ち着き、風が冷たくなってきていた。


「・・・楽しかったね」


タカタクが、カップ越しにふっと笑った。


「うん。ありがとう、連れてきてくれて」


素直に、そう答えた。

嘘じゃない。今日一日は、ちゃんと楽しかった。


「・・・遥ちゃん」


タカタクの声が、少しだけ低くなった。


「ん?」


「俺、やっぱり・・・もう一歩、進みたいなって思ってる」


静かに、でもはっきりと。

私は、胸の奥がぎゅっとなるのを感じた。


「前にも言ったけどさ。無理にとは言わないよ。

でも、こうして一緒にいて・・・やっぱり、もっと近づきたいって思った。

遥ちゃんが俺のこと、ちょっとでも“特別”って思ってくれたら、俺はそれで——」


「タカタク」


私は、思わず彼の言葉を遮っていた。

彼は驚いたように、私を見た。


「・・・ごめん。ありがとう。本当に・・・嬉しい」


言葉を選びながら、私は目を逸らさずに続けた。


「でも、私、今・・・誰かと向き合うってこと、自分でもまだ答えが出せてなくて。

楽しくて、嬉しくて、それでも・・・どこかで、ちゃんと“自分の気持ち”に自信が持てないの」


タカタクは、しばらく黙っていた。

やがて、少しだけ息をついて、穏やかに微笑んだ。


「・・・そっか。そっか。そりゃ、急に全部は無理だよな」


彼の笑顔に、私はまた胸が痛くなった。


「でもさ」


タカタクは、まっすぐに言った。


「俺は、遥ちゃんがちゃんと向き合ってくれるなら、どんな答えでも受け止めるつもりでいる。

だから・・・焦らない。焦らせない。それが、俺のやり方だから」


私は、言葉が出せなかった。

タカタクは、コーヒーを飲み干すと、にかっと笑って言った。


「でも、ちゃんと悩んでよ。俺のことも・・・自分のことも、さ」


「・・・うん」


私は、小さく頷いた。

その胸の奥で、またひとつ、答えを出さなきゃいけないことが増えた気がしていた。


——私、本当に向き合えてるの?

自分に、問いかけながら。


※ ※ ※


月曜日の昼休み。

私たちは、オフィス近くのカフェ「ラ・フォルテ」の奥の窓際にいた。

コーヒーカップから立ち上る香りが店内を優しく満たしている。

いつもの見慣れた風景。


「……で?」


「え?」


「だから、“で?”よ。デート、結局どうだったのよ」


綾香は、カップを置き、肘をついて私に身を乗り出した。

私は、観念したように小さく息をついて、話し始めた。


「うん・・・クラフト市、楽しかった。

普通に、タカタクさんと過ごすのは、楽だったし。

気遣ってくれるし、無理に詰めてこないし・・・」


「・・・けど?」


綾香は、即座に突っ込んできた。

私は視線を伏せて、正直に言った。


「でも・・・誠くんが、ちらつくの。たぶん、比べてるんだと思う。

何してても、なんとなく——ふと思い出す」


綾香はしばらく黙って、ふうっと息をついた。


「・・・あんた、無理してんじゃん」


「・・・え」


「顔に書いてあるよ。“これでいいのかな”って、自分に言い聞かせてるだけだって」


その言葉に、私は反論できなかった。


「・・・別に、誠のところに戻れって言ってるんじゃないよ。

でも、タカタクに“応える”って選択も、あんた、今は違うんじゃないの?」


「・・・でも、せっかく・・・」


「“せっかく”って言いかけたでしょ、今。それってさ、相手に失礼だよ?」


グサッと、刺さった。


「遥は、誠と向き合えないなら、せめてタカタクと・・・なんて気持ちでいたら、

また同じこと、繰り返すよ」


綾香は、まっすぐに私を見て言った。


「遥は、もっとちゃんと向き合う人でしょ。相手にも、自分にも。

“中途半端”って、一番あんたらしくないよ」


私は、思わず目を伏せた。


——たしかに、そうだ。


どこかで、自分に言い訳してた。

“誠は無理だから、タカタクとなら”って。


「・・・ごめん」


「謝る相手、違うでしょ」


綾香は、意地悪そうに言って、でもすぐに柔らかく笑った。


「ま、悩むなら、ちゃんと悩みな。それが、遥でしょ」


私は、小さく頷いた。そういえば、タカタクからも似たような事言われたっけ。

胸の奥では、はっきりと決意が生まれ始めていた。


——ちゃんと、自分の気持ちに向き合おう。

そして、きちんと決めよう。


自分のために。

そして、誰かを、傷つけないために。


※ ※ ※


その日の夕方。

私は、少し早めに仕事を終えて、タカタクにメッセージを送った。


<「今夜、少しだけ話せますか?」


すぐに既読がつき、

<「もちろん。例のカフェで?」

と返ってきた。


向かったのは、駅前の「カフェ・ヴェリテ」。

落ち着いた内装と適度な距離感が心地よい店だった。


先に着いていたタカタクは、窓際の席でコーヒーを前に、スマホを見ていた。

私が近づくと、顔を上げて、いつもの優しい微笑みを浮かべた。


「お疲れさま」


「・・・ありがとう」


私は向かいに座り、カップを手にした。

けれど、タカタクは何も聞かず、ただ静かに待っていてくれた。


だから私は、ちゃんと伝えた。


「・・・ごめんなさい」


タカタクは、少しだけ目を見開いた。


「この前、答えを出したみたいに言って・・・

 でも、私、ちゃんと向き合えてなかった。

 自分の気持ちも、あなたの気持ちも・・・誠くんのことも」


「・・・そうなんだ」


彼はゆっくりとカップを手に取ったが、飲まずにテーブルへ戻した。


「タカタクさんといると、楽しいし、安心できる。

 でも・・・誠くんのことが、まだ心に残ってる。

 だから、これ以上、あなたに甘えるのは違うと思ったんです」


言い終わったあと、私は胸の奥がきゅっと締め付けられた。


タカタクは、静かにうなずいた。

でも、その顔には、微笑みが浮かんではいなかった。


「・・・そう、か」


低く、どこか押し殺した声だった。


「正直・・・悔しいよ」


タカタクは、目を伏せた。


「やっと・・・あ、これからかもしれないって、思ったところだったのにな」


「・・・」


「俺、ずっと思ってたんだよ。なんであんなやつに傷つけられた遥ちゃんが、

なんで今さら、またそいつに惹かれるんだろうって」


声は静かだったけど、奥にある熱は確かに伝わってきた。


「俺のこと、ちゃんと見てくれたって思ってたんだけどな・・・

そっか、そう簡単にはいかないんだな」


私は、思わず唇を噛んだ。

タカタクはふっと苦笑した。


「ごめん、責めてるわけじゃないよ。ただ、悔しいだけ。

・・・遥ちゃんのこと、好きだから」


私は、目を伏せて小さく息を吐いた。


「・・・ありがとう」


「でも・・・」


タカタクは、言葉を切って、目を上げた。


「それでも、止めないよ。だって、好きな人には、いつも笑っててほしいから」


「タカタクさん・・・」


「それが俺のやり方なんだ。どうしようもなくて、格好悪くてもさ」


彼はそう言って、少しだけ照れくさそうに笑った。


「・・・また困った顔してたら、現れるかもしれない。その時は覚悟してよ」


私は、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえた。


「・・・はい」


「悔しいけど、応援する。本気で、そう思ってる」


最後は、力強く。

タカタクは、そんなふうに言ってくれた。


私は、深く頭を下げた。

心から、何度も——ありがとう、って。


――――――――――――――――――――――――――――――


タカタクと別れてから、何日かが過ぎた。

曇り空だった心の中に、ぽつぽつと何かが落ちてくる。

後悔とも違う、でも決して軽くない感情。

忙しない日常のなかで、ふと立ち止まる瞬間にだけ、私は自分の胸の奥を覗き込んでいた。


22時。

私は一人、部屋のソファに座っていた。

部屋は静かで、時計の針の音だけがやけに大きく聞こえた。


テーブルの上には、誠の名刺。

隣には、タカタクからもらった、あのバングル。


どちらにも、確かに“気持ち”はあった。

でも、自分の中に残っていたのは——


(まだ、決着がついてない)


そう思った瞬間、手のひらがじんわり汗ばんだ。

あの日、誠が見せたあの表情。

静かに微笑んで「それが、遥の気持ちなら」と言った、あの声。


その顔を思い出しただけで、胸の奥が、ほんの少しだけ痛んだ。


「・・・ねえ、私・・・?」


自分に問いかけても、答えは出なかった。

スマホを取る。

指はゆっくりと動き出していた。


<「誠くん、少しだけ、会って話せるかな」


打ったメッセージを、何度も見返す。

そして、躊躇して——それでも、送信ボタンに指を置いた。


(送ろう)


一度、深く息を吸い込み、送信。

送った瞬間、心臓がぽん、と跳ねた。



数分後。

返事は、思ったよりも早く、簡潔だった。


<「もちろん。いつでも」


それだけの短い文章。

でも、私はその言葉に、涙が出そうになった。

彼はいつでも、どんな時でも私を受け入れてくれる。


◆ 


同時刻。

仕事終わり、デスクライト以外の電気を落とした静かなオフィス。

ネクタイを緩めた誠は、遥からのメッセージを見つめていた。


彼の傍らには、ケースにしまわれた補聴器——Hear-01が、ただ静かに横たわっていた。


(ようやく・・・)


思わず、スマホを両手で包み込む。

期待と、覚悟と、少しの恐れが胸に広がっていく。


「・・・ありがとう」


小さく、誰にともなく呟く。

そして、彼はスマホをテーブルに置き、目を閉じた。


(今度こそ)


“過去”でも“技術”でもない、“自分自身”で。

遥と向き合う、その時が来たのだと思った。


デスクの奥にしまい込んでいた、Hear-01。

艶消しの黒い筐体が、わずかな光を受けて鈍く反射した。

何度も頼り、何度も縋った“最適解”の化身。

もう、こいつに導かれることはない。


誠は、無言でそれを手に取ると、軽くひとつ、見つめた。


「——ありがとう」


小さくそう呟いた。

それは未練でも、皮肉でもなかった。


自分を守ろうとした臆病な心と、

誰かのためになりたかった無様な願いと、

そのすべてに、今、静かに別れを告げた。


そして次の瞬間——

彼は振り返り、

オフィスの片隅にあるスチール製のゴミ箱へ、躊躇いなくHear-01を放った。


小さな補聴器は、乾いた音を立てて底に沈んだ。

誠は目を逸らさず、それを見届ける。


——これでいい。


これが、彼自身の選択だった。

次に会うとき、彼は誰の助けも借りない。

AIでも、演出でもない。


“誠”として、彼自身の言葉で——

——ふたりは、再び向き合う。

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