140文字の小説

桜海 ゆう

第1話 夏夜に彼女は泣く

「帰りたかった場所は、もう帰りたい場所じゃなかった」

彼女は悲しそうに夜空を見上げながら

夏の重たい空気に潰されるくらいの

小さな言葉で呟いた



パチンと弾けたコトバ



僕は返す言葉を探していた



「だめだなあ、こんな時は俺がいるだろとか言うんだよ」

彼女は弾けるように笑った



泣いていているような

彼女の笑顔に僕は抱きしめたかった

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