第五十五話 『皇帝との死闘の果て、現れた真なる敵』──知識・魔法・魅了の三魔王、融合始まる。
おれは柱の影に隠れた。 セリエスとルードリヒ、ミリアは拡散するがその目は閉じている。
「なるほど、余の力を封じるため、目を閉じて戦うつもりか...... それで戦えるならばな」
「セリエスくるぞ! 前振り下ろしてくる!」
セリエスはその剣を防いだ。
「なに......」
ルードリヒはそのまま皇帝をきりつけた。
「がっ!」
その隙をつきミリアの魔法が皇帝にあたる。
「貴様らなぜ動ける! やつの指示か! だがやつはなにもはなしていない!」
おれは口をみんなの耳もとにつけ、遠隔の目でみた情報を小声で指示していた。
おれたちの攻撃は皇帝に少しずつダメージを与える。
「くっ...... 貴様ら!!」
(やつからディムリアを奪うすきをつくらないと......)
「第二の
皇帝が剣を両手で振り下ろそうとする背後から剣をふるう。
ザシュ!!
「がっ......」
皇帝の肩から鮮血がとびちる。
「今だ!」
おれは皇帝から宝石を奪うとこちらに投げ、受け取った。
「貴様ああ!!」
「ディムリア!!」
おれは魔力の剣で宝石を切る。 赤い閃光が放たれるとその姿を人への変えた。
「......こんなところまできおって」
「ああ、お前とは契約があるからな」
「そのものを変化させても無駄なこと! 魔力の出力がないお前など驚異ではない。 また宝石へと変えるだけだ!」
「そうでもないぞ」
ディムリアはその腕から魔法を連射した。 炎、氷、風、石、雷など多彩な魔法が放たれる。
「ぬっ...... なんだ! この数の魔法は!」
「宝石となったあと、我は考えていた。 出力が弱いなら、それを数と種類で補えばいいとな。 【多速魔連弾】《マルチマジックバレット》!!」
絶え間ない魔法の連弾で皇帝はじりじりとおされていく。
「シュン、これではやつをとめるだけだ。 大きな一撃を!)
「わかった。 セリエス、ルードリヒ行くぞ!」
「はい!」
「おお!」
おれたちは三方向から皇帝に剣をふるう。
「がはっ!! き、貴様ら......」
皇帝の体に赤い宝石がみえた。
「よし、核だ! これを......」
その瞬間、閃光が走ると、衝撃と爆音が響き、おれたちは吹き飛ばされる。
「な、なんだ...... お前はグアレナ!」
皇帝の前にはグアレナがたっている。
「グアレナ...... よきところにきた。 奴らを仕留めよ」
「はっ......」
そうグアレナがいうと、剣をぬいた。
ガキッ
皇帝の核にその剣が深々と刺さる。
「なっ...... なに、グアレナ貴様......」
「皇帝...... やっとあなたを仕留められます」
「貴様!」
皇帝の拳がグアレナにあたると、その仮面が弾けた。 その下から女性のような整った顔があらわれる。 だがその目は赤い、そしてその体から黒い炎のようなものが噴出した。
「あれは!」
「グアレナ! 貴様も!」
「ええ、ではさようなら......」
皇帝の体が閃光を放ち宝石となってくだけると、その黒い魔力はグアレナに吸い込まれる。
「ふう...... シュンさん、ありがとうございました。 これで皇帝を排除できた」
「お前も魔王だったのか」
「ええ、私は知識の魔王......」
「そなた、皇帝を討たせるために我らを使ったのじゃな」
「そうです...... 私は封印から目覚めましたが、先に目覚めていた皇帝には力で遠く及ばなかった。 ですからこの魔力を封じる仮面を作り、皇帝に付き従ったのです」
「何が目的なんですか!」
「セリエスくん。 私の目的は元々の理想であった完全になることですよ」
「完全だと、魔王ではないのか」
ルードリヒがきくと、グアレナは口もとに笑みを浮かべる。
「魔王とは人間が名付けたもの。 この計画を作った古代人たちのもともとの目的は完全な存在を作り出すことです」
「完全な存在......」
「そうです。 人を導く正しき絶対な存在。 それが我ら。 しかし不完全な存在となって生まれ、ディムリアの理性によって勇者に倒された。 だから再び結合して今度こそ完璧で完全な存在へと到るのです」
グアレナはそう陶酔したかのようにいった。
「させると思うか! 第二の
「
「
おれたちの攻撃はグアレナに弾かれた。
「無駄です。 魔法と魅了の魔王を吸収した私に、あなた方の力なぞ通用するわけがないでしょう」
そういうとグアレナは近づいてきた。
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