第三十話 『魔力が濃すぎる場所には、だいたいロクなものがいない』──ロックコーピオンと謎のダンジョン。

「それでモンスター討伐ですか」 


 セリエスはそういった。


「ああ、ミリアとルードリヒは向こうの依頼をしている。 セリエスとディムリアについてきてもらう」


「えーー めんどいの~ それにここはなんかやばそうなんじゃ」


「まあまあ、ディムリアさん。 やる気だしていきましょう!! シュンさんがいれば大丈夫!」  


「それが果てしなく心配なんじゃ」


 ディムリアはこちらをじとっとした目でみてくる。


「どういう意味だ!」


(とはいえ、おれも心配だが、まあセリエスがいれば荒事は大丈夫だし。 ディムリアはほっとくとおれよりだらけやがるから仕方ない......)



「それでシュンさん。 モンスターはどこですか?」


 セリエスがいう。 おれたちはヤーツ砂漠に向かっていた。


「どうやら北側にある山からでてきてるらしい。 モンスターは増えるらしいからな」 


「うむ。 モンスターは魔力がこい場所でそれを浴びた生物や無生物から発生する。 そこにはなにかあるのじゃろうて」


「そうなのか? てっきりただの生物だと思っていた」


「お主はゴーレムと戦っておろう? 普通にそんな生き物がいると思うか」

  

「確かにそうだな。 ああ、魔力といえば、魔力結晶を調べてほしいんだけど、誰か詳しいやつはいないかな」

 

「ああ、あの赤い結晶ですね。 それなら錬金術師ならわかるのではないでしょうか? ぼくの依頼人に錬金術師の方がいましたよ」


「ほんとうか? じゃあこれか終わったらいってみよう」


 

「ここか」   


 砂漠を進むと岩山があった。


「ここにきていた人たちがここはモンスターはの数が多くて強くて危険だから、手がだせないといっていましたね」 

 

「つまり、かなり魔力のこい場所ということじゃな。 確かに妙な魔力を感じる...... とはいえ我はミリアほど魔力感知ができん」  


「なら気を付けてすすむしかないな。 そういやディムリアお前魔法使える数が増えたといっていたな」


「ああ、だいたい三発じゃな。 炎魔法、氷魔法、姿を消す魔法が使えるようになった」


(おれも第二の器官セカンドオーガンなら、ついに六つまで増やすことができるようになっているし、二層《レイヤー)なら三つだ。 つまり二層は普通のスキル二つ分だな。 セリエスもいるし楽勝だ)


「準備万端だな! よし! いこう!」


 山を歩くと何か得たいのしれない圧力のようなものを感じる。


「明らかにおかしいな......」


「ええ、魔力を感知できないぼくでもこの異様さはわかります......」


「魔力の濃度が高い...... これはまずいかもしれぬ」


「どういうことだ?」


「アラクネはしゃべっていたじゃろう。 高位のモンスターとは、魔力を取り込み続けて成長し、知性をえた存在じゃ」  

 

「ほう、魔力をえれば知性もえるのか? つまりお前はえられなかったんだな」


「めちゃくちゃえておるわ! そんなことより無力をえれば強くなるということじゃ」


「それで増えて強くなっているのか」


「そうじゃ、くるぞ......」


 後ろの地面から大きな岩のようなサソリがあらわれた。


「おい! あれなんだ、サソリか!」


「ええ、ロックコーピオンです! かなり固いので、ぼくの剣でも1体切るのにかなりの時間が必要です!」 


「ディムリア!」


「いやひくぞ! あれをみよ!」


 次々と地面からロックスコーピオンが這い出てくる。


「まずい! 数が多過ぎる!!」


「下から来ます!!」 


「上に登るぞ!!」


 肺、口、足と腕を生やすと二人を抱えてにげだした。



「はぁ、はぁ...... くそっ、あんなの戦えん」


 おれたちは山を上に逃げ取りあえず休憩する。


「......おそらく地面に隠れていたのですね」


「しかもあの数じゃ、とても我の魔法三発じゃたらんぞ」


「......とはいえ全て倒していくのも無理だな。 この先には何がある」


「確か隣のリベンダル領ですが、かなり深い渓谷があります」


「そうか...... 難しいな。 他の場所から降りられる道をさがして進むしかないな」 


「そうじゃな。 ここにサソリがのぼって来ないとも限らんしな」


 そう決め山をすすむことにした。


「うぅ......」


「どうしたディムリア」


 ディムリアは少しうずくまると、おもむろにたちあがり歩きだした。


「おい!」


「どうしたんですか! ディムリアさん!」


 おれたちの呼び掛けにも答えず、ただ虚ろな目をして道を歩いていく、止めようとしてもまえに進もうとする。


「なんだこいつ? へんなものでも拾い食いしたのか?」


「わかりませんが、ついていくしかないですね」


 おれたちは様子を見て後ろについていく。


 しばらくついていくと岩山に穴らしきものがあった。


「これは......」


「人工物のようです」


「ダンジョンか......」


 ディムリアはダンジョンにむかう。 おれたちもそのあとをついてはいった。


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