第十八話 『焼き尽くせ群れの災厄』──そして始まるギルド建設戦線。

「やっと外だな。 どうやらデザートワームもいない」


 おれたちは研究所奥の通路から上への扉をみつけ地上にでた。


「それでどうするつもりじゃ。 奴らは魔力を嗅ぎ付けてくるぞ」


「特にそんなものもってると必ず見つかるですわ」


 ミリアは鞄の容器を指差した。


「あの数、とても戦ってまともに倒せるとは思いませんが......」


「ああ、普通ならな。 だが多分これで勝てる」  


 おれは容器を取り出した。


「それで呼び寄せて罠でもはるのか?」


「まあそんなところだ。 ミリアどこかにおけばこいつの場所はわかるか」


「ええ、まあ...... そっちに誘導するですわ?」


「ああ、よし、ここでまっててくれ」


 おれは足をはやして移動すると、砂の上に魔力の容器をおくと戻った。


「逃げないのですか?」


「ああ、おそらく全方向からくるから逃げてもむだだ。 このまま見てよう」


 ドドドドドドドド......


 周囲から地響きが聞こえた。


「よし、きた。 こっちだ」


 おれたちは研究所にむかう。


「なるほど、そうするつもりか」


「なんですの?」


「おれは通路上に魔力容器をおいてきた。 そいつにワームは集まってくるはずだ。 ミリア感知を頼む」


「わかりましたですわ!」


「そこを我がぶっぱなすのじゃな」


「ああ、放ったらすぐに扉をしめる」


 おれは腕を増やして研究所の扉をもつ。


 地響きが大きくなる。


「きましたですわ!」


「よし! ディムリア!」


 ーー灼たる息吹をもって、眼前の敵を焼き尽くせーー


「グレートプロミネンス!!」


「セリエス扉をしめるぞ!」


「はい!!」


 灼熱の炎が放たれた瞬間、おれたちは扉をしめた。


 ドオオオンッ!!


 凄まじい衝撃音が伝わってくる。


「すこしまつか」


 そっと出口の扉をあけそとの様子を見る。


「どうやら大丈夫みたいだな」


 地上にでる。 周囲にはすこしワームがいるだけで音もしない。


「あそこです」


 セリエスのいう遠くの方に巨大な穴があいていた。


「どうやら集まったワームは吹き飛んだようですわ」


「魔力容器によってきてそこを吹き飛ばしたか」


「なるほど、それで研究所ですか」


「ああ、あそこには魔力容器があるのにワームが集まってなかった。 なにかワームが近づかない仕掛けがあったんだろう。 ただまだいるかもしれん。 はやくここから離れるぞ」


 おれは足を増やして、みんなをかかえ砂漠地帯からはなれた。



 おれたちは町へと戻り、国への報告後、建設中の城へとむかう。 


「デザートワームがいないことが確認されたから国が兵士をだしてくれるって、私の故郷がよみがえるかもしれないわ」


 シェリガがそういった。


「ワームの掃討か行われれば、あそこにも人がすめるしな。 それでシェリガは力を貸してれるのか?」


「ええ、約束よ。 あなたたちについていくわ」


「よし、条件は揃ったラーク卿にあいにいこう」


 おれたちはラーク卿の屋敷へと向かう。


「デザートワームを討伐したうえ、シェリガを説得するとは......」


 ラーク卿は驚いておれたちをむかえた。


「これで冒険者ギルドの設立を許可してもらえますか?」


「ああ、国への許可申請は私がだしておこう」



「よし、モンスター屋に出店をたのみにいくか。 みんなは城にいてくれ」


「めんどくさがりなのに動くですわ」


「そんなことはちゃんとするのね」


 意外そうにシェリガがいう。


「あとすこしで夢のだらけ生活が始まるんだ! ここをちゃんとしとかないとその夢が崩れ去るからだ」


「わかりました! ぼくたちはまっています!」


「まあ、城のことはまかせておれ」


 おれはモンスター屋に相談にいった。


「えっ? 店をだせって」


 モンスター屋の親父にそう驚かれる。 そこで詳しく事情をはなした。


「ふーん、冒険者ギルドねぇ、確かに面白そうだが、いきなり新しいところでうまくいくかどうかなぁ」


「なら、店員でもいいから寄越してくれよ。 別におれたちがしてもいいが、査定や審査が難しい。 そっちも競合しないほうがいいだろ」


「まあそりゃ」


「ならあたしがやるよ」


 そう奥から少女が話にわって入ってきた。


「メイシァル、うちの娘だ」


「きてくれるのか?」


「ああ、ビッグビジネスだ。 のらないてはない。 親父ここは私にまかせろ。 支店をだそうぜ」


「ふむ、お前がやるか...... わかった。 何人かこっちから人をかす。 やってみろ」 


「おうよ」 


 そうやって、支店をだしてくれることになった。


「あとは武器屋だが...... あそこ店員いないな」


「ああ、それにあの武器屋ならもうしめるぜ」


「なに!? 本当かメイシァル!」


「ああ、年だしな。 跡継ぎもいないからな」


「やばいな。 他に武器の知識あるやつとかいないか?」


「武器か...... それなら私の知り合いに鍛冶屋ならいるぜ」


「鍛冶屋か。 よし! 紹介してくれ!」


 メイシァルについていった。



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