第42話「獣人の友情」
「元魔王軍12魔将の第2席のナルタだぁよ。獣人だけど格闘家と魔術師のダブルクラスを持ってるだぁよ」
ディンの目の前に現れたのは、ナルタと名乗った獣人の少女だった。
どこか眠そうな顔の彼女だったが、ディンを見た瞬間に目を覚ました。
「あ!? そ、それって獣王の王冠? えぇ? ナルタが適当に作った王冠に合う獣人が居るとは思わなかっただぁよ」
「がうがう、お前がこの王冠を作ったのか? すごいな!」
「いや〜それほどでも〜。元々獣人達の無茶振りに応える形で適当に作ったんだけどねぇ……あれ? て事は、ナルタ負ける?」
「がうがう、勝負はやってみないと分からないのだ!」
「おぉふ、熱い言葉を言う獣王ちゃんだぁね。ナルタ安心した」
ナルタが眠そうな顔のまま両手を突き出した。
「第一階梯『メタトロン』」
それを発動したら、ナルタの両腕が金色の光の炎に包まれた。
「これは、あらゆる罪を浄化する最大級の魔法だぁよ。じゃあ行くのだ」
ナルタが消えたかと思ったら。
「がは!?」
あまりにも強烈な一撃だったが、それでもディンはナルタを掴んだ。
「がうがう! 次はこっちの番なのだ!」
ーー獣王拳『
ディンはナルタの腕を捻って投げ飛ばしたが、ナルタは軽やかに壁を張り付いて、手のひらから光線を放った。
「メタトロンビームだぁよ!」
神秘的な金色の光線が飛んできたが、ディンはすぐにかわして、ナルタと空中で殴り合いをした。
しかし、どうやら力ではディンの方が上らしく、圧倒的な手数でナルタを追い詰めた。
「あ、やば、負けるかも」
ナルタがそう思った瞬間、ディンの拳がナルタの
「うっはは! 良いもの貰っただぁよ。まさに獣王だねぇ。魔王軍を辞めた後に引きこもり生活してたから体が
「……がうがう、ディンはナルタに勝った気がしないのだ。だって、今のディンは獣王として勝っただけなのだ。こんなの勝利じゃなくて、獣王の王冠を作ったナルタの勝利なのだ」
「優しいねぇディンちゃん。アタシは、君みたいな優しい子が獣王になってほしいと願ったから、君は選ばれたんだぁね。ほら、早く行った方が良いのだぁよ」
「がうがう、なぁナルタ、これが終わったら、ディンの友達にならないか? ディンはナルタともっと遊びたいぞ!」
「お、良いねぇ、んじゃ待ってるね〜」
ナルタに背を向けて、ディンは走り出した。
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