第29話「二大病院」
「急病人が出たぞ!」
路上で倒れてるエルフの少女が居ると言う通報を受けてニシリカの医療スタッフが駆け付けた。
「……外傷は見当たらないが、即座にサヤカ病院に連れてくぞ!」
迅速な手順で医療スタッフ達はエルフの少女を担架で運んで医療用の馬車に乗り込んでサヤカ病院に連れて行った。
⬛︎
「きゃああ!!」
ニシリカ北東部。
突如ヒュドラの肉を食べていた獣人の少女が倒れたのだ。
近くに居た女性が悲鳴を上げて即座に医療スタッフが駆け付けた。
「毒? 食中毒か? 精密な検査をする為にクリス病院に搬送するぞ!」
⬛︎
ーーサヤカ病院の治療室。
そこに運び込まれたエルフの少女レミアは、医療スタッフ全員を眠らせてサヤカ病院に潜入する事ができた。
「こちらレミア、そっちはどうだディン」
『がうがう! 魔法の粉で全員眠らせたぞ! 今はクリス病院に居るのだ!』
「どうやら潜入は成功したらしい。しかも、折れた聖剣のメリットは刀身が無いから持ち運びが便利な所か。ワタシが武器を持ってないと油断してくれて助かった」
『がうがう、演劇は2時間なのだ。サヤカ病院、クリス病院のどこかに聖者の針があるのだ』
「国を支える秘宝だからな、ニシリカを象徴する二大病院のどちらかにあるとしか言えないか。ワタシは怪しい場所を探索する。ディンも失敗するなよ?」
『がうがう、分かってるのだ!』
ディンとの魔術通信を終えて、レミアは行動した。
⬛︎
一方、演劇の方。
『燃え尽きろぉぉ!!』
アサンのブレスがステージ上に向かって襲い掛かるが、これはあくまでも演出でアサンは手加減してるし、ブレスの炎が観客席に行かないように魔導士の獣人達で結界を張っていた。
リヴァイアサンのド派手なブレスを見て観客達は大盛り上がりだった。
「す、すげぇ、あんな炎に飲み込まれたら、ひとたまりもないじゃないか」
「頑張れリミカー!」
サラによる天使の加護で炎耐性を獲得した私だから大丈夫だが、でもアサンが本気を出したら私の炎耐性すらも上回る火力を出せるらしい。
本当にアサンが味方で良かったな。
「う、おおお! 観客達の声援が聞こえる、そうだ、こんな所で私は負けないぞ!」
観客にバレないようにアサンが炎を操作して、私の剣に炎が集まるようにした。
『ば、ばかな!? 我の炎を吸収しただと!?』
と言う設定です。私にそんな能力はありません。
演劇が始まってから30分が経過したか。
残り1時間半。頼むぞレミア、ディン!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます