第14話「獣王計画」

「率直に聞くが、この中で『獣王計画』と言う計画の話を聞いた者は居るか?」


 次なる獲物はマカロン家の獣王の王冠。これを手に入れたら大臣との本当の戦いが始まるのだろう。


 私は念の為に全員に質問したが誰も答えなかったので、私が説明する事にした。


⬛︎


 獣人の王国『カザタラ』は何百年も王が居なかった。


 理由は簡単だ、人間とは違って獣人は弱肉強食の世界。


 人間みたいに賢き者が王になるのではない。強くて強靭な者しか王になれないのだ。


 だから誰かが王位を継いでも次の王に殺される。


 だが、獣人達は気付いたのだ、王を殺して殺して殺しすぎて、カザタラの真の支配者を作れないことを。


 そこで残された獣人達は魔界の魔術師に頼んで永久不滅の真の王を作ってくれと懇願こんがんした。


 そこで生まれたのが獣王の王冠だ。


 この王冠を被った獣人は最強無敵の王になれる。


 これでカザタラは平和になる……はずだった。


 人間みたいに議論なんてしない。誰が王になるか内戦が始まった。


 結果的にカザタラは消滅した。この事実から、力だけでは国を支えられないことが判明した。


 そして、カザタラが滅びた後にマカロン家がカザタラの財宝をかき集めてる時に獣王の王冠を見つけた。


 マカロン家は、獣王の王冠を使って最強の王を駒として使おうとしたのだ。


 そこでマカロン家は100人の獣人を選んだが、残念な事に王冠が認める獣人は現れなかった。


 なので、その100人の獣人は今はマカロン家の使用人になっていて、いつか獣人の王が現れる時を待つ為に王冠を管理している。


 これがマカロン家の獣王計画だ。


 レミアが手に入れた折れた聖剣みたいに、何か条件があるのかもしれない。


 そこでクラウンバレットの獣人であるディンが王冠を被って何も起きないなら、そのまま盗む。


 今回は100人もの獣人が相手だからな。獣人は人間よりも五感が鋭い、下手な変装は簡単に見抜かれるだろう。


 なので、メイレーンと相談して、この薬を購入したんだ。


⬛︎


「その薬は?」


「どんな種族でも一日だけ獣人になれる『ケモノ薬』。これを私、サラ、レミア、アサンの分を用意した。今回は緻密な計画が必要だからな、ディンを観察して私達が本物の獣人に成り切るしかない」


「がうがう! ディンが獣人とは何なのか、みんなにレクチャーするぞ!」


 こうして、マカロン家に潜入する為にディンを教師役にしてクラウンバレットのみんなで獣人の勉強をした。

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