第22話 輝石と岩の歌
内壁の門が砕ける音は、一つの時代の最後の吐息だった。千年にわたり王たちの秘密を守ってきた石は、深い呻きと共に屈し、その死の塵が舞い上がり、二つの月の青白い光と交わった。裂け目に、マレディが現れた。侵入者としてではなく、すでに崩壊する運命にあったものを取り戻しに訪れた、時そのものとして。
彼女の赤い視線が広間をなめ回し、怯える騎士たちを無視し、アクセルと俺を通り過ぎ、ただ一つの目的に固定された。彼女は演説をしなかった。忠告もしなかった。捕食者は獲物と会話しない。ただ、前進するのみ。
連携した計画はなかった。ただ、義務とプライドが、殲滅に対する避けられない衝突があっただけだ。
グレタが最初に動いた。その鉄槌は黄金の彗星。彼女の一つ一つの動きは、古の戦歌の一節であり、正確で、規律正しかった。彼女は自分のために戦っていなかった。失われた七つの村の、一人一人の顔のために、彼女の指揮下で倒れた兵士たちのために戦っていた。彼女の力は筋肉からではなく、その記憶の重さから来ていた。
アメシストが次に攻撃した。生の力の激変。紫色の水晶が地面から噴出し、剣士の正確さではなく、火山の憤怒で。彼女は王国のためでも、民のためでもなく。自分のために戦っていた。戦うことは、彼女が存在し、強いことの証明だった。勝利こそが、彼女が知る唯一の正当化だった。
二つは相反する力であり、異なる燃料を投じて同じ火事を消そうとしていた。グレタの聖なる光とアメシストの混沌とした水晶は空中で衝突し、互いに邪魔をし、無力化し合った。そして中央のマレディは、無関心な落ち着きで、すべてを解体していた。
彼女はエントロピー。避けられない終わり。彼女の腐敗のオーラは、グレタの信仰とアメシストの力を同じ容易さで侵食した。騎士の鎧は輝きを失い、冒涜的な錆に汚された。魔術師の水晶は地面から現れた時点ですでに弱々しく、脆かった。
(彼女たちは死ぬ)俺の心は、恐怖に駆られて結論付けた。それは戦術的な分析ではなく、事実の確認だった。俺が今まで知った中で最も強い二人の人間が解体されていくのを、俺はただ見ていることしかできなかった。
マレディは、連携の取れていないことに気づき、アメシストに集中した。不可能な速さで、彼女は近づき、手の甲で一撃を放った。それは力の攻撃ではなく、純粋な軽蔑の仕草だった。アメシストは布人形のように空中を飛ばされ、広間の遠い壁に、石と、おそらくは骨が砕ける病的な音を立てて衝突した。彼女は動かない塊となって床に落ちた。
アメシストが倒れた瞬間、彼女の世界は溶け去った。もはや玉座の間ではなかった。太陽のない灰色の空の下、黒い砂の浜辺。唯一の音は、孤独で永遠のリズムを刻む、打ち寄せる波の音だけだった。彼女は小さく、痩せ、髪はもつれ、素足だった。彼女の前で、小さな帆船が遠ざかり、地平線の一点となっていく。その上には、彼女の民、村の長老たちの姿があった。彼らは振り返らなかった。
「名誉なことだ」長老の声が記憶の中で響いたが、その目に名誉はなく、ただ恐怖があった。「お前は、深海の神を鎮めるための生贄となる。お前の力は、彼への贈り物だ」
嘘だ。彼女の力は、彼らが恐れる呪いだった。彼らは彼女を犠牲にしているのではない。処分しているのだ。見捨てているのだ。
彼女は生き延びた。飢えは絶え間ない痛みだった。寒さは、夜ごとの仲間だった。彼女の力、彼女の呪いが、唯一の道具だった。根を探して掘ろうとすると、アメジストの水晶が手から生え、指を切り裂いた。彼女はそれを制御することを学んだ。才能からではなく、純粋な必要性から。貝を開けるための粗末なナイフを、魚を突くための槍を作り出した。毎日が生存のための戦い、孤独と絶望との戦争だった。彼女は理想のために戦ったのではない。次の日の出を見るために戦った。ただ一つの、頑固な思いに駆られて。私はここで死なない。誰かの忘れ去られた生贄にはならない。
彼女を見つけたのは、何年も後のズアンだった。彼は影でできたかのような船でやって来た。その穏やかな笑みは、彼女の灰色の世界とは著しい対照をなしていた。彼は同情を差し出さなかった。契約を差し出した。
「私の道具になりたいか?」彼は、彼女が彼に向けていた水晶の槍を見ながら言った。「行こうか? 二度と置き去りにされないと約束しよう」
アメシストは目を開けた。血と塵の味が口に広がった。背中の痛みは耐え難かった。だが、過去の痛みはもっとひどかった。彼女は立ち上がった。その体は震えていた。彼女が戦い、勝つ理由は単純だった。負けるわけにはいかない。負けることは、あの浜辺に戻ることを意味した。負けることは、弱く、見捨てられることを意味した。そして、彼女は二度と見捨てられない。ウロボロスは、彼女が失ったものを与えてくれた…人間への希望を。
アメシストが倒れている間、グレタは一人でマレディに立ち向かった。そして、粉砕された。鉄槌は重すぎ、その動きは遅すぎた。彼女は無限の夜に対する、ただ一つの光の輝きだった。彼女が受けた一撃一撃が、鎧だけでなく、その決意をも砕いていった。
そして彼女の心にも、彼女だけの浜辺が見えていた。七つの村の一つの、石畳の通りが見えた。彼女に花をくれた少女の、歯の抜けた笑顔が、それ自体太陽のようだった。「私たちを守ってね、騎士様」少女は言った。そして、彼女は失敗した。彼女はそこにいなかった。彼女の力、彼女の信仰、彼女の義務…そのどれもが意味をなさなかった。彼らはいなくなった。そして今、彼女の王、彼女の城、残されたすべてが、同じ道を辿ろうとしていた。彼女が戦う理由は、墓石のように重かった。彼女の失敗が無駄にならないように戦うこと。あの花の記憶が、完全に消し去られないように戦うこと。
マレディは彼女を、たった今立ち上がったアメシストの足元に投げつけた。二人の戦士は再び隣り合わせになり、血まみれで、敗北していたが、壊れてはいなかった。彼女たちは互いを見た。そして初めて、ライバルの向こう側を見た。アメシストはグレタの目の喪失の痛みを見て、自らの孤独のこだまを感じた。グレタはアメシストの生きようとする絶望的な意志を見て、自分を立たせているのと同じ炎を認識した。
言葉は必要なかった。ただ、頷いただけだった。
彼女たちは、一つのものとして動いた。絶望の交響曲。
アメシストは地面となり、グレタを上げ、動かした。グレタはアメシストの空の雷となり、その聖なる光が道を切り開いた。彼女たちはもはや二人の戦士ではなかった。岩と輝石。山と、それを打つ稲妻。共に、彼女たちは嵐そのものだった。そして初めて、大災害であるマレディが、より大きな大災害に出会った。彼女たちは、彼女を傷つけた。本当に。
だが、代償は計り知れなかった。彼女たちのエネルギーは、秒を追うごとに失われていった。
好機が閉じつつあるのを見て、マレディは全力を、純粋な殲滅の球体へと集めた。
グレタは攻撃が形成されるのを見て、知った。生き残れないと。彼女たちの交響曲が、最後の楽章に達したと。そして彼女の心に、花を持つ少女のイメージが戻った。騎士の義務は、勝つことではない。護ることだ。
「アメシスト!」彼女は叫んだ。その声は澄み渡り、しっかりとしていた。
アメシストは振り返った。そして、グレタが微笑むのを見た。純粋で、疲れた笑みだった。「よく戦うな」騎士は言った。
そして、彼女は彼女を押した。残された力のすべてで、彼女はアメシストを衝撃範囲から遠くへと投げ飛ばした。
一人、グレタは闇に立ち向かうために向き直った。その目に恐怖はなかった。ただ、義務があった。
爆発は、静かだった。光と音を飲み込む、無の波。
すべてが終わった時、マレディは膝をつき、ひどく傷ついていた。そしてクレーターに、グレタが横たわっていた。その光は、消えていた。
呆然としたアメシストは、彼女のもとへ駆け寄った。グレタは目を開けた。その中の最後の輝きと共に。
「魔術師よ…」彼女は囁いた。「あなたは…勝たねば…」彼女は咳き込み、血が唇を汚した。「…ならば、勝て。彼らのために…」
彼女の手は、力なく落ちた。
アメシストはそこに立ち、ライバルの体を見つめていた。彼女が軽蔑していた女が、たった今、誰も彼女に与えたことのない唯一のものを与えたのだ。信頼。戦いを終わらせる義務を。
彼女は立ち上がった。そしてマレディに向けたその視線には、もはやプライドはなかった。怒りもなかった。
約束の重みがあった。戦いはまだ終わっていなかった。だが今、アメシストにとって、それは目的を持っていた。
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