夏に囚われてしまえたら【短歌集】

蒔田舞莉

1〜30

硝子玉いっそこのまま朽ちていけ!塗装の剥げた回転木馬

硝子玉いっそこのまま朽ちていけ!塗装の剥げた回転木馬



パステル調のフィルターがかかった記憶。

思い出のメリーゴーランドはペンキがはげて、魔法が解けたかのようになっている。

あの時彼にもらった指輪がイミテーションなことは知っていた。

いっそこのまま、誰にも気付かれずに朽ちてしまえばいい。

メリーゴーランドも、指輪も、記憶も、付き合っていた事実さえも。

子供のままではいられなかったのだから。

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