第35話 アダマンタイトの大剣、長剣、短剣セットを買いました!

 いつもどおり、混んでるなぁ。

 とりあえず、朝飯だ。

 食堂に入れば、いつもと違う視線がある。それは仕方がないことだけど、従魔とは違うぞ、俺の眷族は「家族だ!」と叫びたくなった。

 

 俺は定番メニューの大盛り、ウィズは普通盛り、ネロは大盛りだった。

 同じ物食べてくれるので助かるよ。お昼はどうするか、と二人と念話で話しながら食事をした。


 さて、どこから行くかと立ち上がった時、解体場からお呼びがかかった。


「おはようさん。買取査定は今計算中だけど、とりあえず、肉を渡す。マナバイソンがほしいんだろ? それとブラックベアもやっといたから。買取査定は昼からでいいか? 護衛依頼の分も出すか?」

「そうですね。出してもいいですか?」

「おう。昼間は暇だからな。出せ。明日になるけど、全部だと多いか?」

「ええと……買取してもらう奴は出してます。残りは一部ずつでも肉がほしいです。多めにお願いします」

「じゃあ、何を出す? 素材は?」

「サーペントが五体います。肉と皮がほしいので、皮は綺麗な色を見て決めたいです。あと、小型のクマも色々いるんですよ。毛皮がやわらかくて綺麗ならほしいです」

「なるほどな。じゃあ、皮と毛皮は肉を渡すときに選ぶか。他のはできるだけやるけど。そうだな、あと数体だぞ」


 できあがったマナバイソンとブラックベアを引き取り、サーペントは全部、小型のクマとディッグビッグも引き取れるだけ引き取ってもらうことにした。ストップがかかるまでは出したが、「今日の夕方にも戻ってくるから」と言われて納得した。


 それならドワーフのおじさんに剣の手入れをしてもらおう。

 皆で移動して、ドワーフのおじさんの店に到着した。


「こんにちは。ルノです」

「おう、ルノか。どうした、手入れか?」

「はい。続けて討伐に行ったので手入れしてもらおうかと思って。あと、手入れするセットはありますか?」

「ああ、あるぞ。今日の傷み具合を見てから用意してやる。どれ、見せてみろ」

 

 大剣と長剣、短剣を取り出してそっと置いた。


「代わりに使えるものがあるか?」


 とりあえず、盗賊のお宝を出してみた。

 おじさんはそれらを検証しているが、どうかな。


「これは、盗賊のお宝か?」

「そうです。ほぼ、同じ重さと長さのなので、こういうときに使おうと取っておきました」

「なるほどな。これらは、鞘もあるのか?」

「一応、こんなのが付いてました」

 

 取り出してみれば、おじさんはひっくり返りそうになった。


「この鞘は人前で出すなよ。他国のお貴族様の持ち物だったらしい。ここ確認しろ」


 そう言われてみれば、これは家紋だろうか?


「これはな、この貴族の家の印だ。剣には印も名も入ってない。その前だったんだろうな。だからお前が持つのはいい。長剣も同じだ。短剣はこっちの方がいいぞ。これらは全てミスリルだから、人前ではあまりぬかない方がいい。討伐に行った時なら問題ない。鞘はおそらく同じ物が使えると思うけど、どうだ?」


 確認のために、大剣をさしてみれば、問題なく入った。長剣は少し長さが余るくらいだな。短剣は全く問題なかった。


「これ、長剣は一本だけか?」

「いえ、もう一本あります。でも、おじさんの剣ほど切れますか。どれも少し軽いんですけど」

「……軽いか。それは困るな。討伐の時に疲れるぞ。まあ、普通ならお前の持つ剣を振り回せるやつはいないだろうが。どうする? 今日は狩りに行かないんだろ? それと気になることがある。お前、またデカくなったか?」

「あ、はい。おそらく少しだけだと思いますけど」

「やっぱりか。それならミスリルの剣は売った方がいい。同じミスリルでもお前にはもっと重い方がいいからな。で、どうする?」

「それはもちろん、おじさんの作った物の方がいいです。俺の体重や身長まで気にしてくれるので」

「面白いものを作ったんだ。ちょっと待ってろ」

 

 「はい」

 

 返事をして少し待つことにした。

 この大剣と長剣はどうするかな。短剣は持っておくか。まあ、他国の貴族が持ってたのはいらないかもしれない。もうワンセットあるのは鉄だが、これももう短くて使えないかもな。


「待たせたな。これ、どうだ?」


 真っ黒い剣だ。重さもほぼ同じ。長さが少し長い。抜いていいかと聞くと、裏に行けと言われて移動する。当然、ネロとウィズも一緒だ。

 大剣と長剣、短剣にはそれぞれしっかりとした鞘があった。これも手作りなんだよな。


 全てを装備し、あの人形の前に立つ。まずは短剣を振ってみる。

 うん、ぴったりだ。馴染む。次は長剣。ほんとだ、少し長いな。でも、重さは同じくらいかも。少し重いか? 最後に大剣だが、これはかなりの長さがあるように感じる。身長が伸びたからだろか。


 振ってみれば、ブン! と音がする。でも振り回される感じはない。長剣と同じくらいしっくりくる。


「これは全てアダマンタイトだ。大剣と長剣は少し長くして、重さも変えてある。うちの客で、これを使えるのはお前かオーランドだろうな。オーランドでも重いかもしれん。お前のことを考えていたから、こう出来上がったのかもしれんな。他にも魔鉄の同じセットもある。切れ味もほぼ同じだが、手入れの具合が違う。どっちがいい?」

「うーん、わかりません。獲物と戦ってみないと判断できないです。重さやサイズはピッタリきますね。ただ、俺、強化スキルをつかうんですが、どちらも使えますか?」

「剣を強化するのか?」 

「いえ、全体を強化します。だから大丈夫なのかと思って」

「ふうん。それは問題ないだろう。アダマンタイトやミスリルなんかは魔法金属と呼ばれるからな。手入れはアダマンタイトの方が簡単だぞ。浄化して鞘に戻しておけば、ほぼ手入れは要らない。磨くときにほんの少し魔力を流せば、綺麗に戻るだろう。他所に行くことがあるなら、こっちの方がいい」

「でも、これっていくらですか?」

「ちょっと高いんだが。大剣が白金貨二枚と大金貨三枚。長剣が白金貨一枚と大金貨四枚。短剣は大金貨七枚だな」

 

 それじゃ、セットにすれば……白金貨四枚と大金貨四枚か。


『ねえ、ルノ。戦う道具でしょ? 盗賊のお宝があるんだから買えばいいでよ。手入れも簡単ならいうことない。魔法鉄より硬いって聞いたことがあるよ。それにしなよ』

 

 そうだよな、それがいいかもしれない。


「おじさん、これとミスリルの同じようなやつなら、どっちを進めますか?」

「俺なら断然、アダマンタイトだな。ミスリルもいいが、スキルで強化するなら、断然こっちだ。ミスリルは元々軽いからな。魔鉄を芯につかうんだよ、ミスリルの大剣は」

 

 そういうことか。それならそれでいいかな。


「じゃあ、これにします。あと、この以前の剣は使えませんよね。とても具合がよかったんだけど」

「なるほどな。とりあえず、魔鉄の同じ物も作ってある。街にいる間はアダマンタイトは使わない方がいいぞ。魔鉄の方がやっかみがないと思うがな」

「じゃあ、それも一緒に買います。あと、今使ってるやつ、持ってても使えませんか?」

「いや、そうでもないぞ。持ち手を交換するか。少し長いのに入れ替えて、重さも調整すれば使える。ただ、コツがいるけどな」


 まあ、そうだろうな。多少、手元の位置を変えないとダメだろう。

 それなら持っておくか。せっかく買ったんだしな。


「それなら手直ししてください。いい方法で直してもらえるとありがたいです。もしもの時に使えるなら心強いので」

「わかった。じゃあ、それらは全部預かる。で、魔鉄の剣はどうする?」

「それも一緒に買います」

「わかった。じゃあ、アダマンタイトのセットと魔鉄のセットで白金貨六枚だ。それでいい。全て鞘も特製のが付いてるから。短剣はどうする? 同じものを使ってもいいぞ」

「いえ、両方ともセットでお願いします。手元の切れ味は同じ方がいいので」

「わかった。じゃあ、この手直しする魔鉄の剣は、出来上がってからの話になるからな。少し日数がかかるけど、待っててくれ。半月くらいは必要だから」

「わかりました。それと、おじさん。俺の眷属たちの名前を彫ってもらうことはできませんか? ネックレスに付ける小さな飾りとか」

「うーん、それは細工師の仕事だな。俺はデカいの専門だ。悪いな、細かいのをこの指で作るのは大変なんだよ」

「あはは、理解しました。じゃあ、今日は魔鉄の剣を付けます。アダマンタイトはアイテムボックスに入れておきます」

「おう、それがいい。じゃあ、こっちがアダマンタイトのセットだ。鞘はこれらだな。あと、磨く布はこれ。で、これをぬって磨けば魔力が補充されるからな。自分の魔力でも問題ないけど、一応な」

 

 はい、とそれぞれを鞘にいれて、帯剣ベルトに付けられるかを確認してからセットにしてアイテムボックスに入れた。

 魔鉄も同じ用にして収納した。魔鉄はあまりカタすぎるものを切るのは止めろと言われた。例えば岩とか鉄の扉とか。


「そんなの、切るんですか?」


 驚いて思わず聞いちゃった。


 どうやら、盗賊と戦った時などにはあるらしい。それはどういうことなんだろう。

 一応了解して、中を見て確認すれば、剣という括りの場所があり、その中に、アダマンタイト、魔鉄という小さな箱みたいなのがあった。これ、すごく便利だな。


 白金貨六枚を出して支払いをした。きちんと受け取りをくれるのはおじさんらしい。


「じゃあ、剣をお願いします!」


 預かり証を受け取り、店を出た。

 今、俺が背負っているのは魔鉄の大剣だ。腰には同じ魔鉄の長剣と短剣がある。解体ナイフは今までと同じ場所にくっついてる。

 

「長い時間悪かったな。この後はアークロイド商会だ」

「そうだね、ちゃんと事情を話しておかないとダメだよね」


「そうだな」と、ウィズを鞄に入れて、ネロの隣を歩く。道中、キョロキョロと街中を見るウィズは楽しそうだ。ネロも笑顔で歩いてる。もう覚悟を決めたか。それならいいんだけど。

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