幼稚園児の娘をひとりで公園で待たせて、私は彼氏と不倫を楽しんでいました。でも、娘を虐待してません。謎の男の子が娘をいじめたんです。信じて!
第1話 幼稚園児の娘を公園に放置して、ワタシは不倫を楽しむ。すると、娘が手の込んだ嘘をーー?
幼稚園児の娘をひとりで公園で待たせて、私は彼氏と不倫を楽しんでいました。でも、娘を虐待してません。謎の男の子が娘をいじめたんです。信じて!
大濠泉
第1話 幼稚園児の娘を公園に放置して、ワタシは不倫を楽しむ。すると、娘が手の込んだ嘘をーー?
娘が通う幼稚園の近くに、遊具がいくつもある、大きな公園があった。
この公園は家からかなり遠くにあるから、ワタシにとっては都合が良かった。
娘の幼稚園を終えると、送迎バスをお断りして、この公園に直行する。
そして、いつも娘を待たせている。
今日も夕方近くになると、私用を終えて、公園に娘を迎えに行く。
すると、娘が奇妙な行動をしている最中だった。
花壇の縁に、ウサギのぬいぐるみを立てかけていたのだ。
「何してるの?」
と問うと、まだ幼い娘が、
「おそなえをするの。おとこのこにあげるの」
という。
その男の子は
「『おそなえをしないと、ひどいよ』って、おとこのこがいうの」
花壇に置かれたぬいぐるみを見ると、手足が少しもげていた。
誕生日に買ってあげたばかりのものなのに、他人に、しかも男の子にあげるなんて。
ワタシにはとても信じられなかった。
(自分で壊してしまった言い訳として、男の子の存在をでっち上げているのだろうな……)
ワタシはそう思った。
男の子じたい、幼少時にありがちな、空想上の友達だと思った。
「だったら、そんな男の子とのつきあいなんかやめて、バイバイしなさい!」
と、娘を叱った。
でも、娘は「おとこのこが、わたしのかみをひっぱるの」、と泣く。
じっさい、頭のつむじあたりを触ると、赤く腫れ上がった跡があった。
私は血の気が退いた。
(手の込んだ嘘をつくようになったものね……)
ワタシは腹が立った。
娘が置いたぬいぐるみを取り上げ、花壇のど真ん中に放り捨てた。
何本かのチューリップが押し潰れたが、構うものか。
どうせ、税金で整備してる草花だ。
ぬいぐるみも放置したまま、ワタシは娘を公園から追い立てた。
◇◇◇
翌日の昼過ぎーー。
幼稚園を終えると、また今日も、むずかる娘を無視して公園で待たせる。
そして、ワタシはひとりで出かける。
近在のホテル前で
お金を入れてチェックイン。
機械が吐き出したルームキーを持って個室へ。
部屋に入るなり、お互いに服を脱がせっこし、抱き合ってベッドへと倒れ込んだ。
「奥さんも大胆だね。いいの、子供は? まだ小さいんだろ?」
彼氏が不愉快なことを言う。
せっかくの逢瀬なのに、現実を思い出させるなっちゅうの。
「あなた、学生でしょ?
子育てなんかしたことないから、わかんないのよ。
幼稚園にあがるほどの子供はね、もう口が達者で、生意気にも嘘までつくんだから」
「ママとそっくりに?」
嫌なこと、言うわね。
さすがにカチンときた。
「だって、ワタシ、まだ二十四歳だよ?
あの子が〈出来ちゃった〉じゃなきゃ、あんなつまんないオトコと結婚なんかしてない。
とにかくね、あれぐらいの子供だったら、二時間ぐらい独りでいても、大丈夫よ。
『ママを待ってて』って言ってあるし、あれほど広い公園なのよ?
私がちょっと離れただけに思うわよ。
みな、自分の子供が可愛いだけなんだから」
迎えに行ったら、すぐに公園ママたちと歓談する。
アリバイ作りにも余念がないのだ。
上手いこと話を誘導して、周りの人達には、ワタシが公園でずっと子供と遊んでいたと思わせる。
それがいつもの日課だった。
が、その日は様子が違った。
カレと逢瀬を楽しんだあと、公園に行く。
しかし、いつものところに娘がいない。
(あれ、あの
打ち捨てられたぬいぐるみがそのままになってる花壇があるだけ。
(どこ?)
さすがにマズイ。
ワタシは広い公園の方々を探し回る。
その最中に、スマホが鳴った。
幼稚園からだった。
『今まで、どちらにいらしたのですか?
お子さんが救急車で運ばれたんですよ!』
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