14 ルーマー③ とんぼ返り
「まぁ
カラオケの入力装置をもとの場所に戻したシャルに、ぼくは言った。
「わたしも一緒に行くわ。
受付のカウンターから少し離れた場所に、ソフトドリンクやコーヒー、お湯を
「シャルは何にする?」
「フフフ。やっぱり
シャルは周囲を確認しながら、
ぼくはシャルの白湯と自分のオレンジジュースを注いだ後、小声でシャルに
「他の部屋も盗聴されているのかな? だとすると、一体誰が? 何のために?」
シャルはぼくの肩に乗っかって、耳元でささやくように答えた。
「実は、さっき横断歩道を渡った
町の治安を守る
わたしはこの町の
部屋に戻り、ソファーに座ってジュースを飲み始めると、シャルが急に白湯を飲むのをやめて、ぼそりと言った。
「なんだか
「わかった。さっさと空港に戻ろう」
ぼくはジャンプしたシャルをしっかりと
見つかるとなんだか
「観光客の子どもがこの店に入ったことを確認している。間違いないか?」
「ええ、先ほどスマートウォッチを身につけた男の子とネコさんが、うちの店に来ましたよ」
「その二人は公安警察の重要
ぼくは急いで顔を引っ込め、シャルと目を合わせた。
「廊下の突き当りに、屋上へ行く階段があったはず。急いで!」
ぼくはシャルの言葉を聞く前に走り出していた。フェルト敷きの廊下に、
「足音が聞こえた。逃げたぞ!」
壁の向こうから
ぼくはしっかりとシャルを胸に抱いて、わき目もふらずに階段を駆け上がった。
屋上のドアを閉め、急いでビルの
「シャル、どうしよう?」
「一か八か、スマートウォッチの作成能力に
シャルはスマートウォッチを操作しながら、
屋上のドアが乱暴に開いて、二人のおじさんが息を切らして出て来た。
ぼくはシャルを
「早まるな! いや……死んでくれたほうが秘密がバレなくていいかもな」
おじさんたちはお互いに顔を見合わせ、ニヤリと笑った。
「それじゃあ、さようなら!」
ぼくはシャルをしっかりと抱いて、ためらうことなく飛び降りた。
シャルとぼくは大きなカナブンに乗って、無事に空港へとんぼ返りしたのだった。
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