7 ステーク③ 希望
「え? ちょっと待って。ぼくのスマートウォッチに【図書館】の
ぼくが抗議するように言うと、シャルはニヤリと笑って言った。
「フフフ。さっき観光客用のプログラムをいじくって、こっそり書き
六つのドアにはそれぞれ【児童・教養】【文芸・美術】【歴史・文化】【政治・経済】【資料・研究】【お手洗い】とプレートが
「とりあえず【児童・教養】から入ってみない? ぼくと同じ年代の子どもがいるかも知れないから」
「なるほどね。子どもは純真だから、生活の
シャルは大きくうなずいた。
ドアを開けると、
真ん中には、
シャルを抱いて壁に並んだ本を手に取ろうとした時、部屋の
「どうしたの?」
驚かせないようにそっと
「ぼくとシャルは観光でこの図書館に来たんだよ。シャルはスリムだけど、ぼくはきみに比べて
ぼくはモニターに映った細長い女の人が、実際の姿だと聞いた時に正直驚いた。逆の立場だったら、この子の表情が
「よかったら、どうして泣いていたのか教えてくれない? お
少し落ち着いた女の子を一番奥のテーブルに誘い、シャルとぼくは耳を
限られた場所じゃないと遊べない。外に出てみたいと親に言うと、すごい
息の
本の中に描かれた、キラキラして、広くて、自由な世界に飛び出して転げ回りたい。そんな決して
今度はぼくが
「ぼくの意見を聞いてくれる?」
すっかり泣きやんだ女の子に声をかけると、静かにうなずいた。
「冷たいようだけど、一人で泣いていても何も変わらないよ。願いを叶えるためには、何をすればいいかをまず考えないと。そして同じ願いを持った仲間を見つけて意見を出し合ってみる。すぐに答えは見つからないかも知れないけど、絶望が希望に変わっていくかも知れないよ」
女の子の瞳がきらりと光って表情が
シャルは
【児童・教養】のドアを閉めたあと、シャルがささやき声で言った。
「ユーはこのステークの塔が、いつから、どうしてここにあるのか、知りたくはない?」
「もちろん知りたいよ。ひょっとすると、
ぼくはシャルを左腕に抱いて【歴史・文化】のドアを開けた。
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